お知らせ

テデュグルチド製剤の在宅自己注射指導管理料への対象追加の要望書

Last Update:2020年12月15日

令和2年11月24日

厚生労働省保険局長
濱谷 浩樹 殿

一般社団法人日本外科学会
理事長 森  正樹
保険診療委員長 越永 従道

テデュグルチド製剤の在宅自己注射指導管理料への対象追加の要望書

謹啓
時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は弊学会にご協力賜りまして、心より感謝申し上げます。
短腸症候群(SBS:Short bowel syndrome)は、小腸の外科的切除または先天性欠損に起因し、外科的切除後の機能的腸管順応にもかかわらず、多くのSBS 患者は、必要な水分および栄養の維持のために非経口的栄養補助(静脈栄養・補液[PN/I.V.:parenteral nutrition/intravenous hydration])の持続的な投与を必要とします。PN/I.V.により基礎栄養素及び必要な水分を満たすことは可能ですが、患者の栄養吸収能力の向上にはつながりません。SBS は、その深刻で重篤な症状に対し非常に限られた対症療法のみが存在する疾患です。また、本邦の研究において、クローン病の患者のうち約4%で腸管不全を伴うことが確認されており、クローン病という難治性疾患に加え、PN/I.V.が必要な状況下で、生存期間の短縮、重篤な合併症(敗血症、血管の血栓、閉塞、もしくは肝障害など)に加え、外出制限など著しい生活の質(QOL)の低下する恐れがございます。
テデュグルチドは、遺伝子組換えヒトグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)類縁体で、腸管の表面積の増加などの構造的変化や腸管の適応を促進する機能的変化をもたらし、腸管吸収能を高めPN/I.V.量の軽減及び離脱を可能とします。
本剤は本邦において希少疾病用医薬品に指定され承認申請中で、既に欧米では2012年に承認され、実臨床において8年以上使用されております。また、本剤は1日1回投与の皮下注射製剤であり、既承認の欧米では承認時より患者の在宅自己注射が認められています。本邦での開発会社である武田薬品工業株式会社では、国内第III相試験において在宅自己注射を実施し、特に自己注射による大きな問題事例もございませんでした。
本剤の自己注射の対象となる患者は、成人では20歳前後から高齢まで「在宅にてPN/I.V.を投与している短腸症候群」と考えられますが、既に在宅医療にて、静脈栄養療法や補液を継続的に投与しており、適切な指導を行えば安全に施行可能で、廃棄物の処理も同様に行えると判断いたします。短腸症候群の患者は、少なくとも1-3カ月ごとに受診し、血液検査などの症状管理を行っており、予想される副作用については事前に患者及びその家族に説明することで対策は十分に取れると考えております。短腸症患者では、寝たきりや1人では外出が困難なケースも多く、連日の通院は身体的・経済的な負担が大きく、本剤の自己注射への医療ニーズは極めて高いと言えます。
上記のような理由で、テデュグルチドの在宅自己注射の承認がなくては、患者は大きな制約または不利益を受ける可能性が高いと考えます。既に、手技の安全性については確認されていることなども考慮し、テデュグルチドの在宅自己注射の保険適用を強く要望いたします。
ご高配のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

謹白

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