学会案内

理事長挨拶

Last Update:2022年5月16日

理事長:池田 徳彦このたび、森正樹前理事長の後任として、日本外科学会第5代理事長を拝命いたしました。
本学会は創立120年を超え、来る150周年に向け外科学を更に発展させ、社会貢献していく使命がありますこと、強く認識しております。
外科治療も根治と低侵襲の両立が主流となり、内視鏡手術の適応も複雑術式や進行癌にまで拡大しております。ロボット支援下手術も均てん化しつつあり、遠隔手術も実施される準備が進んでおります。悪性疾患の評価にゲノム医療が導入され、薬物治療も分子標的治療、免疫療法など急速に進化しております。このような高度かつ広汎な技術と知識を修得するために、教育事業の拡大が必要であります。
専門研修における基本領域の専攻医採用数(2022年)は9519人であり、このうち外科専攻医は852人(9%)でありました。総数に対する外科志望者の比率は若干の低下傾向にあり、若手外科医の確保は課題であります。外科医を志す場合は3年間の外科専門研修を行い、続いて外科系サブスペシャルティ領域研修へ移行します。連動研修によって基本領域の研修中に興味ある領域を集中して研修する方式も稼働しています。これは6サブスペシャルティ領域(消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺外科、内分泌外科)との緊密な連携によるものです。一方で多くの症例経験を積むことにとどまらず、専攻医の技術や知識の到達度を客観的に評価し、フィードバックする方法も検討すべきと思います。働き方改革に準じワークライフバランスを保ちながら、技・知・心を修得する一段階上の研修環境を構築すべく努力いたします。
生涯にわたって外科を継続するために、労働環境・体制の改善には森正樹前理事長も注力され、インセンティブ導入、タスクシフト促進、訴訟対策などに取り組まれました。「働きやすさ」が備われば、我々も安心して若い年代を外科に招くことができます。次世代育成のためにも外科医の労働環境も魅力あるものとするよう、引き続き重視していきます。

学術集会の様式もCOVID-19の感染をきっかけに変貌いたしました。2020年以降、会頭の先生方の御努力により、現地参加とweb視聴を併用し、会員はいずれかの方法で学会参加が可能となりました。本学会のアンケート調査でもハイブリット方式は研修の便宜の点で強い支持があり、今後も継続となりましょう。学会としても配信インフラの所有なども検討してまいる所存です。Web参加者も十分な議論ができる場をソーシャルメディアなどで構築できるかなど、模索しております。

本学会の女性会員も年々増加し、現在の女性会員比率は10.3%です。女性医師の労働環境の改善、学会や委員会での活躍の場を増やすことも理事会で女性理事とともに鋭意、検討中であります。女性医師に限らず、本学会に属する多様な外科医全体の環境改善が出来るよう、ダイバーシティー推進の意識を啓蒙していきます。学会運営に対しても女性医師、若手医師から多くの意見を頂戴したいと思います。
上記の事項は歴代の理事長、理事会、代議員が取り組まれてきた事業を基盤としております。社会や時代の変化に対応するため、まず着手すべき課題を述べさせていただきました。
解決に向け、会員の皆様のお声に耳を傾けつつ、努力してまいります。
どうか御指導のほどお願い申し上げます。

理事長紹介

氏名:池田 徳彦(いけだ のりひこ)

所属:東京医科大学呼吸器甲状腺外科学分野(主任教授)
専門分野:呼吸器外科、肺癌の外科治療など

略歴:
昭和61年 東京医科大学医学部卒業
昭和61年 東京医科大学外科入局
平成2年 東京医科大学大学院修了
平成5年 カナダ ブリティッシュコロンビア大学留学
平成14年 東京医科大学外科1講座講師
平成17年 国際医療福祉大学三田病院呼吸器外科教授
平成20年 東京医科大学外科1講座(現呼吸器甲状腺外科学分野)主任教授

会員歴:
昭和61年8月23日~ 入会
平成22年2月16日~ 代議員選任
平成30年4月4日~ 理事選任
(NCD連絡委員長、総務委員長、コロナウイルス対策委員長、専門医制度副委員長、英文誌編集副委員長、将来計画副委員長などを歴任)
令和2年4月22日~ 副理事長選任
令和4年4月14日~ 理事長選任

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