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周術期の直腸がんに対するミスマッチ修復機能検査の実施と対象患者さんの治験への紹介のお願い(周知依頼)

Last Update:2024年9月3日

会員各位

一般社団法人日本外科学会

周術期の直腸がんに対するミスマッチ修復機能検査の実施と対象患者さんの治験への紹介のお願い(周知依頼)

 この度、標題についての周知依頼がございましたので、お知らせいたします。

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周術期の直腸がんに対するミスマッチ修復機能検査の実施と対象患者さんの治験への紹介のお願い

謹啓
 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、深く御礼申し上げます。
 ミスマッチ修復機能検査には、主に「MSI(PCR)検査」と「免疫染色」による2つ測定法があり、手術前後でも保険診療での実施が可能となっております。これまで手術前後に「リンチ症候群の診断の補助」「大腸癌における化学療法の選択の補助」を目的に検査が行われてきましたが、現在周術期の直腸がんに対して治験が実施されております
 ミスマッチ修復機能検査で陽性となった患者さんには、免疫チェックポイント阻害薬を用いて、手術をしないでがんを治す試験が選択肢になります。米国で行われた試験で、42人の検査陽性患者さんに免疫チェックポイント阻害薬であるDostarlimabを投与し、全症例でがんが消失し、その後1例も再増大が見られなかった結果が報告されています(Cercek A, et al. NEJM 2022., Cercek A, et al., ASCO 2024 #LBA3512)。すでに米国のNCCNガイドライン2024 ver.3でも推奨されており、標準治療と見なされています。
 我々も、2023年2月よりミスマッチ修復機能検査で陽性になった切除可能局所進行直腸がん患者さんを対象にニボルマブを用いた治験(VOLTAGE-2試験)を開始し、患者さんのリクルートを進めております。主な適格基準は下記になります。

  • ミスマッチ修復機能検査(PCR検査、免疫染色など)で判定が陽性
  • 主解析パート:ステージII/IIIの直腸がん、探索パート:ステージIの直腸がん
  • 活動性の自己免疫性疾患もしくは高用量(プレドニン換算で10mg/day以上)のステロイドが投与ない

 ミスマッチ修復機能検査陽性の直腸がんは、直腸がん全体の2%程度と稀少ですが、患者さんに直腸・肛門機能を落とさず治癒を目指せる重要な治療と考えております。
 大腸がんの臨床の最前線で診療される先生方におかれましては、是非とも術前にミスマッチ修復機能検査を実施し、検査陽性の患者様をご紹介いただきたく存じます。試験の参加施設は、「北海道大学病院」「東北大学病院」「国立がん研究センター東病院」「国立がん研究センター中央病院」「がん研有明病院」「神奈川県立がんセンター」「静岡県立静岡がんセンター」「新潟大学医歯学総合病院」「岐阜大学医学部附属病院」「国立病院機構大阪医療センター」「倉敷中央病院」「九州大学病院」の12施設です。
 ご判断に悩まれる症例、あるいは本治験の内容に関するお問い合わせにつきましては、いつでも研究事務局までご連絡いただけますと幸いです。先生方の温かいご理解と、ご支援・ご協力に深謝いたします。

令和6年9月吉日
国立がん研究センター東病院 消化管内科 坂東英明
大腸外科 塚田祐一郎
研究事務局メールアドレス:voltage-2_core@east.ncc.go.jp

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