会員各位
一般社団法人日本外科学会
教育委員会
ATOM コース(Advanced Trauma Operative Management)の受講について、下記の通り、ご案内申し上げます。
第9回帝京大学コース
日時:令和7年3月20日(祝日)
主催:帝京大学病院
場所:J&J東京サイエンスセンター
募集人数:2名
登録受付期間:令和6年12月9日~12月25日
受講料:33万円(税込)
注)受講生募集が多数の場合は抽選になります。
ATOM (Advanced Trauma Operative Management)
外傷外科トレーニングコース
ATOMコース(Advanced Trauma Operative Management、外傷外科トレーニングコース)とは、胸腹部の穿通性外傷に対する手術とマネージメントに必要な外科的知識と手技を学ぶためのトレーニングコースです。
歴史
ATOMコースは、米国コネチカット州ハートフォード病院の外科医レンワース・ジェイコブ医師によって開発されました。米国でも外傷外科手術の機会が減少しており、外傷外科における手術手技を学ぶために1998年に始まりました。本コースは米国東海岸を中心に普及し、カナダ、アフリカ、中東へも広がり、2008年からは米国外科学会外傷委員会が監督をしています。
我が国では、2007年より導入準備が進められ、2008年12月に米国より本コースを担当する外傷外科医を招聘し、自治医科大学において第1回日本ATOMコースが開催されました。現在、米国外科学会に認定された日本のATOMコース開催サイトは、北海道大学、東北大学、自治医科大学、帝京大学、大阪公立大学、九州大学、自衛隊中央病院です。2023年には、コース教材の改訂に伴い、翻訳版スライドも改訂されました。
コースの目標
- 外傷患者に対する適切な外科手技について説明できる。
- 各臓器の外傷を診断し、外科的治療を行うための管理計画をたて、実践することができる。
- コース受講を通じて以下のことを達成する。
○外傷患者の管理について自信を持つ
○穿通性外傷の治療に関する知識を習得する
○コース中に行われる全ての外科手技を安全かつ確実に実施する
対象
ATOMコース受講の対象となる方は、外傷外科診療にかかわる一般外科医であり、受講条件は以下のとおりです。
- 日本専門医機構外科専門医、又は日本外科学会専門医の資格を有すること、または1・2年以内の専門医取得を予定していること
- 日本における外傷初期診療の標準化教育コースであるJATECを受講していること
- 日常診療において救急あるいは外科診療に従事していること
補足)
平成23年11月19日、日本外科学会教育委員会からの許可を頂き、ATOMコース受講生の応募資格を、専門医を取得していない若手外科医にも拡大することになりました。受講生の外科医としての質を担保するために、応募においては、受講希望者の直属の指導医からの推薦を確認したいと思います。
応募の際には、指導医氏名と日本外科学会会員番号を記載して下さい。
認定・単位
コース修了後、米国外科学会発行の修了証明書が授与されます。
受講料
33万円(税込) (受講生1名あたり:令和7年1月より値段変更)。
受講料には、ATOMコース受講に伴う米国外科学会のシステム(LMS pass:プレテストやポストテストの受験、米国外科学会への受講登録)使用料 175ドルが含まれます。システム使用に加え、PDF化されたテキストを含む各種資料へのアクセスが可能となります。米国外科学会により定められているシステムのため、受講に際し必須の費用となります。ご理解いただきますようお願いいたします。
なお、個人でもPDF版テキストを同額で購入することは可能ですが、LMS passが含まれませんのでご注意ください。
日本ATOMコース
責任者(Principal Investigator)
大阪公立大学大学院医学研究科 救急医学 教授 溝端康光
コース管理者(course manager)
自衛隊札幌病院救急科 永田 高志
1日コースであり、7コマの講義(各30分)の後、3時間の実技において12の外傷に対する外科実習を行います。
講義の内容は以下の通りです。
- 外傷における開腹手術
- 脾臓・横隔膜損傷
- 肝損傷
- 膵十二指腸損傷
- 泌尿生殖器損傷
- 心血管損傷
実技では受講生と指導者が1対1となり、Live animal(実験ブタ)を用いてシナリオに基づく症例が提示されます。受講生は臓器損傷を同定し、外科的治療を行います。
- 膀胱
- 尿管
- 腸管
- 十二指腸
- 腎臓
- 胃
- 横隔膜
- 膵臓
- 脾臓
- 肝臓
- 心臓
- 下大静脈
受講生はプレテスト、ポストテストおよび各評価をオンラインにて英語で修了することが求められます。
Q&A
Q. なぜATOMコースの受講に先立ち、外傷初期診療の標準化教育コース(JATEC:Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)を受験しなければならないのですか?
A. 日本における外傷初期診療は基本的にJATECに準拠して行われています。そして外傷外科の手術の位置づけもその中で明確に決められています。外傷外科手術を行うためには、病院前そして病院到着後手術室搬入までの診断・蘇生の流れを理解し実践できることが不可欠です。
米国では外科レジデントは米国外科学会の外傷初期診療の標準化教育コースであるATLS(Advanced Trauma Life Support)レベルの知識を最低限習得しており、加えて外傷センターでの研修を行なうため外傷診療を身につけた上でATOMコースを受講しています。
なお、JATECに関する情報はhttp://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html(外部リンク)を参照ください。
Q. 動物感染症が問題となっていますが、大丈夫でしょうか?
A. 実習で使用する実験ブタは契約業者によって管理され、感染症のスクリーニングを経たものです。ATOMコースは手術のトレーニングコースですので、手術に伴う各リスクがあることはご理解の上、自己責任で参加していただきます。
Q. 費用が非常に高額ですが、なぜですか?
A. 本コースでは、受講生1名に実験ブタを1頭ずつ割り当てています。加えて手術用縫合糸、自動吻合器、麻酔薬、麻酔担当医・手術補助看護師の人件費も含まれています。米国でのATOMコースは受講生2名に実験ブタ1頭であることが多く、受講のための旅費と宿泊費・雑費を考えますと、国内受講の費用負担は高くないと考えられます。
関連サイト 米国外科学会ATOM https://www.facs.org/quality-programs/trauma/education/advanced-trauma-operative-management/(外部リンク)
Q. 動物愛護についての対応はされていますか?
A. 法律に基づいて行われます。また、受講生には倫理講義の受講を義務づけています。
Q. 見学はできますか?
A. 見学は一切認めておりません。コースにおける安全を確保するための処置ですので、ご理解ください。
Q. 日本語で受講できますか?
A. 講義や実習はすべて日本語です。ただし、テキストやプレテストは英語で受けていただきます。
Q. 印刷版テキスト購入は必要でしょうか?
A. 受講者の判断にお任せします。受講のために購入いただくLMS passにはPDF版テキストのファイルが含まれています。
Q. コースの募集人数が少ないようですがいかがでしょうか?
A. 実技では、各受講生に対して1名のインストラクターと1頭の実験ブタを割り当てるため、一度に大勢の受講生を受け入れることができません。
Q. 受講決定後は受講料の払い戻しを行わないと聞いていますがなぜですか?
A. ATOMコースの受講決定時点(コース開催の2~3ヶ月前)で、実験ブタを購入し準備を行います。そのため、その時点から費用が発生します。万が一、何らかの理由で受講できなかった場合は、各サイトの責任者と相談の上、受講生自身が責任を持って代わりの受講生を探す努力をして下さい。
受講生登録、及び申込み方法
E-mail:first_division@jssoc.or.jpまで以下の必要事項を明記の上、ご応募下さい。
登録に必要な情報
- 氏名(漢字、ひらがな、英語表記)
- 学位(MD,Ph.D.)
- 性別
- 年齢
- 日本外科学会会員番号
- メールアドレス
- 所属
- 所属住所
- 所属電話番号
- 有資格者の方は専門医番号を記載して下さい
- 専門医未取得者は、直属の指導医の氏名、日本外科学会会員番号を記載して下さい
- 外傷初期診療の標準化教育コースの受講歴(最後に受講したコースと日時)
- 日常診療で外傷を含めた外科手術を行う状況であることを明記
- 申込み回数(自己申告)
- その他(自由記載)
- いずれの日程を希望するか明記(例:第1希望○月○日、第2希望○月○日)
問合せ先
日本外科学会教育委員会 E-mail:first_division@jssoc.or.jp
注)コースに関する問い合わせは必ずE-mailにてお願い致します。