お知らせ

「わが国における特定看護師(仮称)の早期確立」に関する要望書

Last Update:2010年3月19日

平成22年3月18日

チーム医療の推進に関する検討会
座長 永井 良三 殿

要望書

 産科、小児科および地方における医師不足、それに起因すると思われる患者の収容拒否、外科系勤務医の過重労働、勤務医の精神的トラブル等の医療に関する種々の問題が発生し、医療崩壊の危機とも言われています。これらの大きな要因は、医師不足、医療費抑制、医師の偏在化等にあるとされ、政府は医師数を増加する方針を決定し、多くの医学部で定員増が計られていますが、外科系勤務医の過重労働はそれのみでは解決出来うる問題ではない様に考えられます。日本の外科系医師数は、減少傾向にありますが、主な外科系医師数は欧米と比較して多くなっています(表)。一方、手術件数は米国では日本の3~5倍あるので、1人の外科医師が施行する手術経験数に大きな差が発生しています。現在、わが国の主な外科手術成績は欧米と比較できる程度ですが、この結果は若手外科医の献身的な努力によって支えられているものであり、今後若手外科医、外科系専門医数が減少することや外科医一人当たりの手術経験数が少ない状態が続けば外科手術成績が欧米に比して有意に低くなる恐れがあると思われます。
 上述の様に、米国では日本に比して主な外科系医師数が少なく、手術数が多いにも関わらず日本の外科医に見られる様な過重労働、精神的トラブルの発生等が大きな社会問題とはなっておらず、この最大要因は外科医とともに周術期管理を協働する医師と看護師の中間レベルのnurse practitioner(NP)、およびphysician assistant(PA)の充実にある事を示すデータがあります。
 日本の主な外科系医師数は現時点では欧米と比較して人口当たり多くなっていますが、ハードな勤務に比べて恵まれない待遇、明確なキャリアプランが描けない将来への不安などが原因で主な外科系学会への若い新入会員の加入数は減少傾向にあり、この事は日本の外科医療における人手不足を若手の研修医が主にカバーしてきたこれまでの体制を崩壊させる大きな要因になり、国民に安全で良質な外科医療の提供が困難になると考えられます。
 外科系関連学会はこの日本の外科医療崩壊を食い止める一つの手段として、専門的な臨床実践能力を有する看護師を新たに養成すべきであることを要望してきました。今年2月18日付けでチーム医療に関する厚労省素案として外科系関連学会が要望してきた様な専門的な臨床実践能力を有する新たな看護職[特定看護師(仮称)]に関する素案が提案されました。素案は新しいチーム医療確立に貢献し、高い日本医療のレベルを維持、更に向上させ、医療の安全性、透明性、効率性をも高めることが期待できる内容となっており、連名外科系関連学会は全面的に賛同するものです。
 日本外科学会および関連学会は、下記事項についてご尽力たまわりますよう強く要望致します。

「わが国における特定看護師(仮称)の早期確立」

表.日米の外科、脳神経外科、胸部外科、整形外科医数の比較

  外科 脳神経外科 胸部外科
(心臓血管外科+呼吸器外科)
整形外科
米国(人/人口10万人) 24.1 1.2 1.6 10.2
日本(人/人口10万人) 29.7 5.4 4.5 17.6

 日本外科学会、American college of surgeons,

 日本脳神経外科学会、American association of neurosurgical surgeons,

 日本胸部外科学会、American medical association,

 日本整形外科学会、American academy of orthopaedic surgeons

のデータを参考とした。

社団法人日本外科学会
理事長 里見  進

特定非営利活動法人日本気管食道科学会
理事長 甲能 直幸

特定非営利活動法人日本胸部外科学会
理事長 田林 晄一

特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
理事長 近藤  丘

一般社団法人日本消化器外科学会
理事長 杉原 健一

特定非営利活動法人日本小児外科学会
理事長 岩中  督

特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
理事長 高本 眞一

一般社団法人日本大腸肛門病学会
理事長 寺本 龍生

日本内分泌外科学会
理事長 高見  博

一般社団法人日本乳癌学会
理事長 園尾 博司

日本腹部救急医学会
理事長 平田 公一


平成22年3月18日

厚生労働省医政局
医事課長 杉野 剛 殿

要望書

 産科、小児科および地方における医師不足、それに起因すると思われる患者の収容拒否、外科系勤務医の過重労働、勤務医の精神的トラブル等の医療に関する種々の問題が発生し、医療崩壊の危機とも言われています。これらの大きな要因は、医師不足、医療費抑制、医師の偏在化等にあるとされ、政府は医師数を増加する方針を決定し、多くの医学部で定員増が計られていますが、外科系勤務医の過重労働はそれのみでは解決出来うる問題ではない様に考えられます。日本の外科系医師数は、減少傾向にありますが、主な外科系医師数は欧米と比較して多くなっています(表)。一方、手術件数は米国では日本の3~5倍あるので、1人の外科医師が施行する手術経験数に大きな差が発生しています。現在、わが国の主な外科手術成績は欧米と比較できる程度ですが、この結果は若手外科医の献身的な努力によって支えられているものであり、今後若手外科医、外科系専門医数が減少することや外科医一人当たりの手術経験数が少ない状態が続けば外科手術成績が欧米に比して有意に低くなる恐れがあると思われます。
 上述の様に、米国では日本に比して主な外科系医師数が少なく、手術数が多いにも関わらず日本の外科医に見られる様な過重労働、精神的トラブルの発生等が大きな社会問題とはなっておらず、この最大要因は外科医とともに周術期管理を協働する医師と看護師の中間レベルのnurse practitioner(NP)、およびphysician assistant(PA)の充実にある事を示すデータがあります。
 日本の主な外科系医師数は現時点では欧米と比較して人口当たり多くなっていますが、ハードな勤務に比べて恵まれない待遇、明確なキャリアプランが描けない将来への不安などが原因で主な外科系学会への若い新入会員の加入数は減少傾向にあり、この事は日本の外科医療における人手不足を若手の研修医が主にカバーしてきたこれまでの体制を崩壊させる大きな要因になり、国民に安全で良質な外科医療の提供が困難になると考えられます。
 外科系関連学会はこの日本の外科医療崩壊を食い止める一つの手段として、専門的な臨床実践能力を有する看護師を新たに養成すべきであることを要望してきました。今年2月18日付けでチーム医療に関する厚労省素案として外科系関連学会が要望してきた様な専門的な臨床実践能力を有する新たな看護職[特定看護師(仮称)]に関する素案が提案されました。素案は新しいチーム医療確立に貢献し、高い日本医療のレベルを維持、更に向上させ、医療の安全性、透明性、効率性をも高めることが期待できる内容となっており、連名外科系関連学会は全面的に賛同するものです。
 日本外科学会および関連学会は、下記事項についてご尽力たまわりますよう強く要望致します。

「わが国における特定看護師(仮称)の早期確立」

表.日米の外科、脳神経外科、胸部外科、整形外科医数の比較

  外科 脳神経外科 胸部外科
(心臓血管外科+呼吸器外科)
整形外科
米国(人/人口10万人) 24.1 1.2 1.6 10.2
日本(人/人口10万人) 29.7 5.4 4.5 17.6

日本外科学会、American college of surgeons,

日本脳神経外科学会、American association of neurosurgical surgeons,

日本胸部外科学会、American medical association,

日本整形外科学会、American academy of orthopaedic surgeons

のデータを参考とした。

社団法人日本外科学会
理事長 里見  進

特定非営利活動法人日本気管食道科学会
理事長 甲能 直幸

特定非営利活動法人日本胸部外科学会
理事長 田林 晄一

特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
理事長 近藤  丘

一般社団法人日本消化器外科学会
理事長 杉原 健一

特定非営利活動法人日本小児外科学会
理事長 岩中  督

特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
理事長 高本 眞一

一般社団法人日本大腸肛門病学会
理事長 寺本 龍生

日本内分泌外科学会
理事長 高見  博

一般社団法人日本乳癌学会
理事長 園尾 博司

日本腹部救急医学会
理事長 平田 公一

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