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会頭挨拶

第125回日本外科学会定期学術集会 会頭
東北大学大学院外科病態学講座消化器外科学分野
海野倫明

 この度、第125回日本外科学会定期学術集会を2025年4月10日(木)~12日(土)に、宮城県仙台市で開催させていただくこととなりました。仙台の地で定期学術集会を開催するのは、2001年に第101回定期学術集会を開催された松野正紀先生以来、24年ぶりとなります。東北大学にとって大変名誉なことであり、本学会役員の方々をはじめ、すべての会員、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

 さて、外科を取り巻く環境はこれまで以上に厳しくなっております。私たちが日本外科学会に入会した1980年代は毎年1200名以上の外科専門医を育てておりましたが、その数は徐々に減少し、2024年の外科専門医プログラム希望者は約800名と、以前の約2/3になりました。2つの新設医大ができ医学部の定員が増加し、他のすべての専門医が増加している中、唯一、外科専門医のみが減少しているのが現状であります。また働き方改革が2024年に施行されることになりました。これにより外科医の労働環境は改善される予定ですが、逆に、これまで多くの時間外労働をしてきた外科医の給与が下がる、という側面もあり、外科にとってむしろ逆流になると思っています。

 医学部生と話をしますと、将来は外科医になって難病を治したい、というような高いモチベーションをもった学生は多数います。しかし、卒業が近づくにつれて徐々に外科離れをし、初期研修医時代には、どうしても楽な科を選ぶ傾向が強くなるように思います。振り返ってみますと、私たちが育った昭和から平成前半の時代は、「24時間働けますか?」という長時間勤務と、今ではパワハラ認定される厳しい指導が当たり前の「不適切にもほどがある」時代でした。それでも外科医を辞めなかったのは、手術が楽しい、患者さんに寄り添うのが楽しい、外科研究が楽しい、からだったと思います。ですが、私たちはついつい、「いやぁ、昨日の手術は大変だったよ」と苦労自慢をし、いつも眉間に皺を寄せ厳しい顔をしがちです。このような姿をみて医学生や初期臨床研修医は外科に行く道を断念しているのではないか、と思います。外科医を増やすことは喫緊の課題であり、さまざまな制度改革が必要であることは十分承知しておりますが、まずすぐに実行できることとして、外科医がいきいきと働き、笑顔を絶やさず、人生を謳歌することと思っています。
 本学術集会では多くのシンポジウムなどの主題演題に加えて、様々な特別企画を予定しております。その中でも目玉企画として、全国81大学の医学生を招待し、「外科の魅力を語ろう!」セッションに参加してもらうことを予定しています。多くの医学生・研修医が外科学の楽しさ、を実感していただければ幸いです。
 仙台の地で日本外科学会定期学術集会を開催するのはほぼ4半世紀ぶりになります。仙台出身の漫画家で『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの作者である荒木飛呂彦氏にポスター制作を依頼したところ、快く引き受けていただきました。また第125回学術集会のテーマは、外科の面白さをストレートに伝えたく、「楽しい外科学―手術が楽しいッ!、臨床が楽しいッ!、研究が楽しいッ!」と、少し荒木節にさせていただきました。
 会場は、青葉山の麓にある仙台国際センターと東北大学萩ホールの「青葉山地区」と、ウエスティンホテル仙台と仙台国際ホテルがある「東二番丁地区」に分かれますが、バスなどを準備し、皆様の移動が不便にならないよう配慮いたします。
 仙台の地は『ジョジョの奇妙な冒険』の作中の舞台のモデルにもなった街です。皆様に仙台に来ていただき笑顔で過ごしていただけるよう、東北大学外科学教室をあげて準備いたしますので、ぜひ現地会場に来ていただきたく、医局員一同でお待ちしております。

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