特別企画
01.特別企画
COVID-19は外科医療にどのような影響を及ぼしたか ―現状と展望―
2020年初頭からのCOVID-19パンデミックは人命だけでなく医療体制、経済に未曾有の禍難をもたらした。外科診療も、手術症例数減少、外科医労働環境の変化だけでなく、医学教育、研究、救急医療など様々な面で影響を受けた。また、検診率低下による病勢の進行などがん診療への影響も危惧される。COVID-19が外科医療に与えた影響を様々な角度から検証し、その経験を生かしたpost COVID-19時代さらには新たなパンデミックも見据えた将来への提言を行っていただきたい。
02.特別企画
外科医の働き方改革と特定行為研修修了者の協働
2024年に実施される医師の働き方改革では、勤務時間、時間外労働時間の上限規制、 確実な有給休暇の取得等が実施され、外科診療への影響が懸念される。外科に対するインセンティブの導入や主治医制からチーム制への移行等の対策に加え、特定行為研修修了看護師には外科業務のタスクシフトが期待されている。本セッションでは、外科医の働き方改革への取り組み、特定行為研修修了者の臨床現場での活躍、将来への展望を示していただきたい。
03.特別企画
男女を問わず外科医が輝き続けるために
日本社会において、2015年に女性活躍推進法が成立、2020年には同法が改定され、女性労働者が働きやすい環境づくりが推進されている。女性医師は近年増加傾向であるが、その一方女性外科医のキャリアの継続や向上、男性外科医の増加は十分とは言えない。本セッションでは、女性外科医が抱える様々な困難を克服し、労働環境の改善、キャリアの継続、活躍の場の拡充、また女性外科医のみならず男性外科医も輝き続けるために必要な方策について語っていただきたい。
04.特別企画
NCDデータから紡ぐ外科学の進歩
2011年1月から外科手術のNational Clinical Database (NCD)への登録が開始され、2019年までに1200万件以上の膨大な診療データが蓄積された。そのビックデータを解析することにより、新たなエビデンスの創出や外科医療品質のさらなる向上が期待されている。本セッションでは、NCDデータの活用法、NCDを利用した最新の研究成果、NCDデータの解析から見えてきた日本の外科医療の現状、解決すべき課題、そして日本の外科医療の展望などを示していただきたい。
05.特別企画
外科系新専門医制度の現状、課題そして展望
新専門医制度は2018年度より開始され、2021年度には新制度下での外科専門医が誕生する。今後、新専門医制度での外科医養成はますます本格化する一方で、地域間での人材確保のばらつきや、各サブスペシャルティおよびさらなる高次専門医へのキャリアパスをどのように繋げていくかなど検討すべき課題もある。2022年度に5年目を迎える新専門医制度について現状・課題を示していただき、次世代の外科医にとって魅力的な制度に発展させるための提言を行っていただきたい。
06.特別企画
医療安全を支えるNon-Technical Skills
手術関連の重大な医療事故の大半は、専門的知識・技量などtechnical skillの不足ではなく、non-technicalなエラーが原因となっている。安全な外科治療を提供するためには、チームとしてのnon-technical skillを向上させ、ヒューマンエラーを防ぐことがきわめて重要である。本セッションでは、各施設での外科医療における多職種連携の現状、ヒューマンエラー防止のための取り組みを示していただきたい。
07.特別企画
外科発展の礎―外科志望者増加のための取り組み
近年の外科志望者の減少は深刻であり、外科医減少による外科医療の崩壊が懸念される地域も少なくない。「自らのメスで患者を救う」といったドラマのような華やかさとは裏腹に、「外科は3K」と敬遠されているのが現状である。自らの手で患者を救うことの喜び、外科医としてのやりがいを医学生や研修医に伝えていくことで、外科志望者の増加、さらなる外科発展に繋げたい。本セッションでは、各施設の外科志望者増加のための取り組み、現状、今後の展望、そして外科の魅力の伝え方について語っていただきたい。
08.特別企画
手術教育のイノベーション
手術は開胸・開腹から内視鏡下、さらにロボット支援下へと変遷している。これまでは手術経験、見学や書籍からの学習が主だったが、手術ビデオによる遠隔学習が一般的となっている。また、ドライラボ、シミュレーター、アニマルラボだけでなく、カダバーを用いたトレーニングも可能となってきた。さらには、3D プリンター・VR など最新テクノロジーを活用した教育・トレーニングの普及も期待される。未来を担う若手外科医が、解剖を深く理解し、効率的で安全な手術手技を習得するための、革新的な手術教育やトレーニング方法について示していただきたい。
09.特別企画
過去から未来に繋げる災害医療と外科医の役割
我が国は、諸外国と比較して自然災害が発生しやすい国土であり、2011年の東日本大震災以降、様々な大規模災害に見舞われている。こうした大規模災害発生時における外科医の役割は非常に大きい。今後も、南海トラフ大地震や首都直下型地震等が発生する可能性は高く、未曽有の事態に対して外科医には臨機応変な対応が求められる。熊本地震から6年目となる2022年にこの熊本の地で、外科医としての対応、ピットフォールや残された課題などについて過去の経験を踏まえて語っていただきたい。
外科学の未来を拓く
01.外科学の未来を拓く
AIが拓く未来の医療
近年、医療分野における人工知能(AI)の応用が進んでおり、AI技術を搭載したシステムが人を支援する機会が広がっている。外科医療に関わる分野としては、decision making支援や、術中ナビゲーションへの応用、治療効果・予後予測などへの活用があげられる。本セッションでは、AIを利用した外科治療と実臨床への応用について、画像・病理診断、ゲノム解析を含め、その現状と未来展望を示していただきたい。
02.外科学の未来を拓く
未来を担う研究者からの発信
外科学を含め、現代の医学・医療は、日進月歩で発展を続けている。これまでノーベル生理学・医学賞を日本人5名が受賞しているように、日本の医学研究のレベルは世界的に見て極めて高い。現在も、特筆すべき研究成果を挙げている日本人研究者、特に若手研究者が大勢おり、世界の臨床研究・基礎研究を牽引している。本セッションでは、未来を担う新進気鋭の研究者に、医学研究への想い、これまでの研究成果、今後の展望などについて語っていただきたい。
03.外科学の未来を拓く
世界で活躍する外科医からのメッセージ
社会のグローバル化に伴い海外へ進出する日本人は年々増加している。その一方で、海外へ進出し活躍する日本人外科医は他国に比べると未だ少なく、さらに近年は、日本人外科医の海外留学も敬遠される風潮にある。本セッションでは、世界を舞台に活躍する日本人外科医に、その経験や苦悩、海外で外科医として生きることの意義、未来や夢、そしてこれから世界を目指す若手外科医を刺激するような熱い思いを語っていただきたい。
04.外科学の未来を拓く
ロボット手術と遠隔医療の未来
2018年度以降の診療報酬改定により、外科領域でのロボット支援下手術は増加しており、ロボット手術は最先端治療から標準治療へと移行している。現在、国産をはじめとして複数の企業から次世代の手術支援ロボットの開発が進んでいる。また、通信テクノロジーの新規格である5Gの登場により、今後は手術支援ロボットを用いた遠隔手術の導入も期待されている。本セッションでは、ロボット手術と遠隔医療の現状と近未来を示していただきたい。
05.外科学の未来を拓く
ムーンショットが拓く2050年の医療とは?
少子高齢化の進展やCOVID-19パンデミックへの対処など、我が国は多くの困難な課題を抱える中、医療分野においても破壊的イノベーションの創出を目指した科学技術に挑戦し、未来社会における新しい医療体制を切り拓いていくことが求められている。本セッションでは、超早期の疾患予測・予防、センテナリアンが当たり前となる社会の実現、自ら学習・行動するAIロボットと連携した医療・介護体制など、現在を生きる私たちの想像を超えた2050年の医療について論じていただきたい。
06.外科学の未来を拓く
ゲノム医療は未来の外科医療をどう変えるか?
2000年代半ばに次世代シークエンサーが開発され、大規模なゲノム情報が実地臨床へ導入された。がんゲノム解析によりその恩恵を受ける疾患領域があり、がん治療のパラダイムシフトのきっかけとなった。外科領域においても、得られたゲノム情報は遺伝性腫瘍に対する手術適応や、周術期補助療法の感受性、有害事象の予測などの重要な情報となる。本セッションでは、がんゲノム解析に基づいた未来の外科治療のイノベーションを示していただきたい。
07.外科学の未来を拓く
未来を拓く手術手技の伝承-1(心臓・血管・呼吸器・小児・乳腺内分泌分野)
伝統工芸や宮大工などの「匠の技術」は、先達から後続に伝承し、その間にさらに洗練されあるいは工夫されることにより、高度な技術として現在に継承されている。剣豪として名高い宮本武蔵は、剣を磨く事によって心を高め『五輪書』にその極意をまとめ、後世に継承した。技術・心構えの伝承は、外科手技も同様に重要と考える。本セッションでは、日々鍛錬してたどり着いた外科手術手技・心構え、手術チームの作り方、今後の課題などについて自らの経験をもとに、これから一流を目指す若手外科医に向けて語っていただきたい。
08.外科学の未来を拓く
臓器再生・置換の未来
外科手術による臓器の摘出は、その機能の喪失や低下により患者のQOLを損ねる場合も多い。その解決法として、近年発展著しい再生医療を応用した『臓器再生・置換』への期待が高まっている。iPS細胞からの分化誘導、細胞シートによる部分置換、脱細胞鋳型や3Dプリンターなどの足場の利用、胚盤胞置換技術など様々な取り組みが注目を集めている。本セッションでは、その研究の現状とそれぞれが拓く未来像を示していただきたい。
09.外科学の未来を拓く
未来を拓く手術手技の伝承-2(消化器分野)
伝統工芸や宮大工などの「匠の技術」は、先達から後続に伝承し、その間にさらに洗練されあるいは工夫されることにより、高度な技術として現在に継承されている。剣豪として名高い宮本武蔵は、剣を磨く事によって心を高め『五輪書』にその極意をまとめ、後世に継承した。技術・心構えの伝承は、外科手技も同様に重要と考える。本セッションでは、日々鍛錬してたどり着いた外科手術手技・心構え、手術チームの作り方、今後の課題などについて自らの経験をもとに、これから一流を目指す若手外科医に向けて語っていただきたい。
10.外科学の未来を拓く
未来へ向けた外科教室の創造
低侵襲手術手技の発展や医師の働き方改革、チーム医療の推進など外科医を取り巻く社会情勢が変革する中で、われわれ外科医も変化に対応し成長していく必要がある。理想となる外科医像(General surgeon or/and Specialist)も地域によって異なり、地域のニーズに応じて外科教室の持つ役割も異なる。外科医数の減少が社会問題になりつつある昨今、外科を志す若手医師を増やすためには、それぞれの外科教室のvisionや成果を情報発信し、新しい価値観や多様性を持つ若手外科医の創成が求められる。本セッションでは、外科医がより活躍できる魅力ある外科教室を作り上げるための取り組みについて紹介していただきたい。
11.外科学の未来を拓く
未来へ羽ばたくUnder40の外科医たち
外科学の将来は若手外科医の双肩にかかっている。すでに、国内外さまざまな分野で若手外科医が目覚ましい活躍をみせ始めており、日本の外科学の未来は明るいといっても過言ではない。本セッションでは、次世代のリーダーになっていくであろうUnder40の若手外科医に、今取り組んでいること、誰にも負けない強み、外科医療に対する想い、将来の目標・夢などについて自由に語っていただきたい。
シンポジウム
救急・外傷
Acute Care Surgeryがわが国の外科診療にどの様に貢献しているか
Acute Care Surgeryは2005年に米国外傷外科学会により新たな診療領域として提唱されたもので、外傷外科、救急外科、外科集中治療の3つの領域を一体として取り扱う外科領域の一分野である。本邦においては、日本Acute Care Surgery学会が主体となり徐々に普及してきており、2018年よりAcute Care Surgery認定外科医が誕生した。本セッションでは、新しい診療分野であるAcute Care surgeryがわが国の外科診療にどのように貢献しているか、示して頂きたい。
下部消化管
直腸癌に対するロボット支援手術の現状と展望【Video】
直腸癌に対するロボット支援手術は、2018年4月から保険適用となり、多数の症例経験をもつ施設も増えてきている。ロボット支援手術は従来の腹腔鏡下手術と比較して、多くの利点を備えているが、直腸癌に対するその有効性は未だ明らかではない。一方、症例を積み重ねることによって、ロボット支援手術の優位点や問題点、注意すべきピットフォールが明らかになってきた。本セッションでは、直腸癌に対するロボット支援手術に関する術式の工夫や、新規技術導入例、共有すべきピットフォールなどを各施設よりご発表いただきたい。
小児
小児内視鏡外科手術の現状と今後の展望【Video】
国内では小児外科領域に内視鏡外科手術が導入され約30年が経過した。この間に成人と共通する疾患から小児外科特有の疾患、さらには新生児外科疾患に 適応・保険収載が拡大され、その一部にはロボット支援手術も導入されている。世界的な低侵襲外科手術の潮流はさらに加速すると考えられるが、稀少 疾患が多くを占める小児外科でもこの傾向がさらにすすむのか? 代表的な疾患に対する内視鏡外科手術の現在の手術手技・治療成績をもとに、術式標準化、今後の適応拡大や教育体制、さらには普及を含めた展望について示していただ きたい。
肝胆膵
癌に対する肝移植の現状と展望:再発肝癌に対する再肝切除とサルベージ生体肝移植【International】
肝細胞癌に対する肝移植は、国内では2019年に拡大ミラノ基準として5-5-500基準が採用され、海外でも脈管侵襲を含む高度進行例への適応拡大の議論が続いており、再発肝細胞癌や肝芽腫に対してはサルベージ生体肝移植の治療成績が注目されている。一方で、切除不能な肝胆道悪性腫瘍の集学的治療の一環としての肝移植(Transplant Oncology)が新たな概念として注目され、海外では胆道癌や転移性肝腫瘍で良好な予後が報告されている。癌に対する肝移植の各施設の現状・成績と展望を論じていただきたい。
総論
navigation surgeryの現況と未来
近年、手術の安全性や癌手術の根治性向上のために、術中ナビゲーションの臨床応用が進んでいる。術前画像情報の術中活用、ICG蛍光法による血流・リンパ流評価、術中センチネルリンパ節生検などの有用性が広く認識されている。現在は、産学連携にて、人工知能(AI)を用いた術中ランドマーク教示、複合・拡張・仮想現実ナビゲーションなどの新たな技術の開発も進んでいる。本セッションでは、Navigation Surgeryの現況やブレークスルーに繋がる可能性のある最新のデータ(基礎的研究含む)を提示いただき、その有用性と課題、そして今後の展望について論じていただきたい。
上部消化管
食道癌に対するロボット支援手術の手技と成績【Video】
2018年4月にロボット支援下食道悪性腫瘍手術が保険適用となり、ますます全国に普及することが期待される。その安定した緻密な動きと3次元画像により、より精緻なリンパ節郭清を伴う食道切除が可能となり、反回神経麻痺をはじめとした合併症の低減や患者QOLの向上が期待できる。一方で、開胸や胸腔鏡とは異なるロボット支援手術特有の臨床上の問題点や手術手技におけるピットホールも少なからず存在する。ロボット支援手術の手技の工夫やその成績を提示いただき、臨床導入から定型化へ向けた今後の方向性を示していただきたい。
上部消化管
食道胃接合部癌に対する治療戦略
近年、本邦においても食道胃接合部腺癌が増加しているが、欧米と比較するとその頻度は少ない。欧米から食道胃接合部腺癌に対する集学的治療に関するエビデンスが創出されてきているが、食道胃接合部の定義や分類が異なるため、これらの結果をわが国に外挿するには注意が必要である。わが国でも日本胃癌学会、日本食道学会合同ワーキンググループが発足し、わが国独自のエビデンスの創出が試みられてきた。食道胃接合部癌に対する適切な術式、リンパ節郭清、周術期補助療法、集学的治療などの多角的な治療戦略を示していただきたい。
肝胆膵
転移性肝癌の総合的治療戦略(分子標的、分子マーカーなど含む)
分子標的薬を含めた化学療法の進歩、手術技術の発展により、大腸癌肝転移に対する治療成績は飛躍的に向上し、大腸癌肝転移の治療はまさに集学的治療の集大成といえるだろう。しかしながら、大腸癌肝転移はその病態の多様性から、外科的切除の術式やタイミング、周術期化学療法、局所凝固療法の是非、肝移植など、多くのクリニカルクエスチョンが存在する。本セッションでは、大腸癌肝転移に対する外科的切除を中心とした集学的治療戦略をその成績とともに提示していただき、最適な総合的治療戦略について論じていただきたい。
乳腺・甲状腺
ゲノム・遺伝子情報を用いて乳癌診療の未来を拓く【International】
乳癌領域では、予防領域における遺伝性乳がん卵巣がん症候群診療の一部保険収載、ホルモン受容体陽性/HER2陰性例に対する術後薬物療法決定のための多遺伝子発現解析(Oncotype Dx®やCureBest 95GC®など)の臨床応用、コンパニオン診断と対応する標的治療(BRACAnalysis®-オラパリブ)、がん遺伝子パネル検査の保険収載、liquid biopsyの手法を用いた予後予測や治療選択などゲノム・遺伝子情報を用いた診療が普及しつつある。現在のゲノム・遺伝子情報を用いた診療の現状と問題点・解決すべき点を示すとともに、この分野の将来展望についてお示しいただきたい。
下部消化管
結腸癌に対する腹腔鏡下手術の手技の工夫と治療成績
腹腔鏡下結腸手術は結腸癌に対するスタンダードな治療として定着して久しいが、基本手技は膜構造に沿ったリンパ節郭清および腸管切除・吻合である。近年は体腔内吻合やICG蛍光ナビゲーションを用いたリンパ節郭清の有用性が報告されており、さらに8K技術などによる高精細の映像を用いた手術が発展してきた。本セッションでは、各施設における最新の腹腔鏡手術手技をご発表いただき、郭清のテクニックや、安全な外科手術を施行するための取り組みとその治療成績をご発表いただきたい。
心臓血管
重症心不全に対しての外科治療【International】
近年、心不全患者は増加傾向にあり、重症心不全に対しての治療方針の多様性、ニーズの高まりが生じている。補助人工心臓を用いた治療は、治療成績の向上に伴い、非移植適応例(Destination therapy)や軽症例へ適応が拡大されつつある。また、欧米においては心臓移植医療への関心の高まりや、臓器配分システムの変更といった変化もみられてきている。
さらに、急性心不全においては、新たな補助循環用ポンプカテーテル(Impella)の登場によって、従来の心不全治療と比べ治療戦略に大きな変化がみられるようになった。諸外国と日本での現状を踏まえつつ、これからの本邦での重症心不全治療の進むべき指針を示していただきたい。
呼吸器
ICI・TKI・SBRT時代の肺癌の集学的治療と外科手術
近年、肺癌の内科治療、放射線治療の進歩には目覚ましいものがある。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬等の分子標的薬や、抗PD-1/PD-L1抗体等の免疫チェックポイント阻害薬により、有意な生存期間延長が認められている。放射線治療も、照射技術や精度管理の向上により、大幅に進化している。局所進行肺癌に対する外科手術の進歩に伴い、新たな肺癌集学的治療を考える時期に入ってきたと言える。本セッションでは、肺癌に対する集学的治療と外科手術の最新の成果を示していただきたい。
総論
ビッグデータを利用して外科学の未来を拓く
National Clinical Databaseや各学会主導によるビッグデータの蓄積が行われており、リアルワールドの医療ビッグデータの利用環境が整備されつつある。ゲノム情報との統合や人工知能(AI)を用いたデータ解析も進行しつつあり、外科医療においてもビッグデータサイエンスはますます重要になっている。本セッションでは、ビッグデータの利活用法とそれにより得られた成果を提示いただき、ビッグデータに基づく外科学の未来について論じていただきたい。
下部消化管
大腸癌に対するPrecision Medicine
がん組織の遺伝子変異について次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析し、個々の患者に最適な治療を選択するプレシジョン・メディシンが広まりつつある。臓器横断的に適応される薬剤開発やリキッドバイオプシーを用いたゲノム診療が実臨床に応用され始めている。プレシジョン・メディシン時代における大腸癌診療の課題として、個々の症例における予後の評価、最適な治療法とその効果のモニタリングを評価していくことが必要である。本セッションでは、大腸癌診療の中で期待されるプレシジョン・メディシンの役割とともに、その応用例、今後の展望を示していただきたい。
乳腺・甲状腺
乳腺・甲状腺に対する外科的治療の未来を拓く【Video】
EscalationとDe-escalationの概念によるバランスのとれた治療開発が一般的になりつつあるが、外科的治療においては整容性保持あるいは機能温存というもう一つの観点からの治療法開発も極めて重要である。乳腺・甲状腺領域においては乳房再建、non-surgical ablation、センチネルリンパ節生検、鏡視下手術、術中神経モニタリング、局所進行あるいは再発例に対する手術など取り組むべき課題は多岐にわたる。最新の外科的治療についてvideoを用いた手技のポイントの解説、治療成績やQoL等をお示しいただき、その外科的治療の現状と将来展望について論じていただきたい。
上部消化管
胃癌におけるconversion therapyの現状と課題
腹膜播種、肝転移、遠隔リンパ節転移を有するStage IV胃癌に対してR0切除をチャレンジすることは従来より行われてきたが、未だその予後は不良である。近年、新規抗癌剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤の導入により非治癒因子が消失あるいは縮小し、R0切除を狙える症例が増えてきている。また従来NACの対象と思われてきた16A2/B1リンパ節転移例もconversion therapyの適応と考える方がよいというデータも出ており、適切な化学療法レジメンの選択、手術のタイミング、術式など様々な側面からconversion therapyの臨床的意義について論じていただきたい。
肝胆膵
肝門部胆管癌の手術限界を考える
肝門部領域胆管癌においては外科的切除のみが根治を得られる治療法と考えられるが、その侵襲・難易度ともに高度である。また術前の病変範囲の評価、肝予備能とその切除率の評価や、血管・胆管走行のバリエーションにより手術適応決定に難渋する症例も多いが、門脈塞栓術や血行再建術など様々な術前・術中の工夫により切除が可能となる症例が増加している。本セッションでは、各施設における肝門部領域胆管癌に対する根治切除を目的とした様々な術前・術中のアプローチを提示していただくと共に、その手術リスク予測や限界について議論いただきたい。
心臓血管
小児開心術後遠隔期の大動脈基部手術【Video】
小児開心術はこの30年ほどで大きな発展を見た。早期成績が向上するにつれ遠隔期の問題が着目されるようになった。中でも手術侵襲が大きく困難を伴う領域として遠隔期の大動脈基部手術が挙げられる。たとえば肺動脈弁を大動脈弁の代用とする動脈スイッチ、スタンセル吻合を伴う手術、Norwood手術などの遠隔期がこれに相当する。また小児のRoss手術や、ファロー四徴症修復術後の遠隔期などにも該当例があると思われる。本セッションでは、ビデオを提示していただき、これらの大動脈基部手術における危険性やそれを回避する工夫などを検討したい。
パネルディスカッション
心臓血管
重症大動脈弁狭窄症における外科治療戦略
近年、平均寿命の延伸に伴い、大動脈弁狭窄症に対する手術は高齢者でも広く行われるようになり、またその長期成績も良好なものが得られている。また、外巻き弁やsuture less valveなどの人工弁技術革新やMICSの普及などが外科手術成績の向上に寄与していると思われる。さらに、超高齢者や多くの併存疾患を有するなどの手術リスクが高い症例に対しては、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が積極的に行われるようになった。しかしながら、外科手術後の廃用や臓器障害、超高齢者手術の周術期合併症やTAVIにおける弁輪部破裂や弁周囲逆流などの問題があり、患者の状態に応じた治療方針の選択が重要と思われる。本セッションでは、長期遠隔成績や周術期合併症を見据えた大動脈弁狭窄症の術式選択について議論していただきたい。
下部消化管
進行直腸癌に対する治療戦略【International】
進行直腸癌に対する標準治療は日本と海外では未だ大きな違いがあり、この違いを埋めるエビデンスも乏しいのが現状である。海外におけるTotal neoadjuvant therapyによる高いCR率、Watch & Waitストラテジーの広まりを考えると、日本のTME+側方リンパ節郭清という標準治療を再考する必要があると考える。ロボット支援手術やTaTMEなどによる直腸癌手術の進化により、外科治療はどのように向上しているのか?本セッションでは、各施設における進行直腸癌に対する治療戦略を示していただき、将来展望について議論していただきたい。
乳腺・甲状腺
乳癌に対するセンチネルリンパ節ナビゲーションサージャリーの解決すべき課題
近年、NAC療法によりpCRが得られたリンパ節転移症例(cN+→ypN0)に対する腋窩郭清は有意性なく、リンパ浮腫などの発症率も高いため、回避すべきと考えられる。しかし、NAC後のSN生検は偽陰性率が高く、リンパ管や転移リンパ節の退縮パターンが多様で、SNの同定は困難である。そのため、cN+でNAC後のypN0症例に対する最適な腋窩のアプローチについて未だ結論が出ていない。今後、臨床試験を含む課題を解決するどのような取り組みが必要かについて討論し、また、進行中の外科領域の臨床試験についても現時点での知見などを発表していただきたい。
総論
外科侵襲による炎症とがん再発の分子論
外科治療による侵襲や術後感染症などに伴う炎症反応は、がん再発・転移と深く関わると考えられている。これは、炎症反応が循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells:CTC)や転移予定先に残存する癌細胞の生着・増殖を助長し、予後に影響を及ぼすことを示唆している。また近年では、内視鏡手術やロボット手術などアプローチの工夫により、外科侵襲を制御することが長期予後改善に寄与することが期待されている。本セッションでは、外科的侵襲に伴う生体反応とがんの再発・転移について、各領域で行われている基礎から臨床研究にいたるまで様々な視点で議論をいただきたい。
肝胆膵
肝胆膵悪性疾患に対する低侵襲手術【Video】
肝胆膵悪性疾患に対しても、高難度腹腔鏡下肝切除やリンパ節郭清・神経叢郭清を伴う腹腔鏡下膵頭十二指腸切除、ロボット支援下膵切除が保険収載された。しかし、日常診療として提供するには未だそのハードルは高く、様々な施設でアプローチの工夫・改善が進められている。本セッションでは、特に難易度の高い腹腔鏡下右葉系肝腫瘍に対する葉切除、区域切除、(S7, S8)亜区域切除および腹腔鏡下膵頭十二指腸切除、ロボット支援下膵手術の定型化に向けた取り組みと工夫について、将来展望を交えて討論していただきたい。
上部消化管
進行胃癌に対する腹腔鏡手術の手技と成績【International】
JCOG0703およびJCOG0912の結果によりcStage I胃癌に対する腹腔鏡下胃切除は標準術式となった。さらに臨床の現場では進行胃癌に対しても腹腔鏡手術が行われてきている。また化学療法の進歩に伴い、今後は術前化学療法後の腹腔鏡手術も増加することが予想される。低侵襲性を担保しながら、腫瘍学的観点からその妥当性が維持されることが必要であるが、未だエビデンスは確立されていない。各施設での進行胃癌に対する腹腔鏡手術の適応、手術手技について提示していただき、その短期・長期治療成績について発表していただきたい。
上部消化管
経口摂取不能上部消化管癌に対し外科医は何ができるのか?
狭窄や閉塞により経口摂取が不能となった上部消化管癌症例に対して、palliative treatmentを要することは少なくない。そのような患者に対して外科医として手術をするべきなのか、ステントなどの非外科的方法が良いのかは明確にされていない。経口摂取不能により低栄養状態、免疫能低下などの問題も抱える状況で、外科医として何ができるのか、palliative treatmentの現状と展望に関して議論していただきたい。
上部消化管
進行胃癌に対する集学的治療の現状と展望
切除可能な進行胃癌に対しては、これまで拡大手術でコントロールしようと試みてきたが臨床試験によりその有用性は否定され、手術単独での治療の限界が明らかになった。一方、化学療法の進歩により進行胃癌の治療成績は向上してきている。さらなる治療成績の改善を目指すためには手術と化学療法を組み合わせた集学的治療が有効と考えられるが、本邦ではそのエビデンスはまだ確立されていない。進行胃癌に対する臨床試験の成績を中心に論じて、集学的治療における外科治療の有効性、適応、今後解決すべき課題について議論していただきたい。
救急・外傷
Hybrid ERの実際【video】
近年、救急初療室に手術室機能を有するIVR-CT装置を設置した『Hybrid ER』が、全国の救命救急センターに急速に広がりつつある。患者の移送リスクを排除し、迅速なCT診断と外科的および経カテーテル止血により、重症外傷例の救命率向上が期待されている。これまでのJATECにおける外傷初期診療とは異なる戦略判断と治療プロセスが求められる。本セッションでは、先行施設での経験とデータを基に、Hybrid ERの活用状況と今後の課題について外科医が活用するという視点に立ったご討議を頂きたい。
呼吸器
浸潤性縦隔腫瘍に対する手術【Video】
縦隔には大血管や神経など損傷すれば重篤な結果に至る解剖学的構造が含まれる。そのため浸潤性縦隔腫瘍に対する手術では、アプローチを含む手術手技の工夫、および他診療科(心臓血管外科、耳鼻科等)とのコラボレーションが必要となる症例がある。また、術前のresectabilityの判断基準や、術前・術後の放射線、化学療法の適応など標準化されていない問題も多い。各施設における浸潤性縦隔腫瘍の症例数は限定されるため、本セッションを通じて手術の適応、術式の工夫、集学的治療などに関するノウハウを共有したい。
下部消化管
直腸癌に対する側方郭清【Video】
日本における局所進行直腸癌に対する標準治療として、側方郭清は未だ重要なモダリティーである。現在、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術、TaTMEなど、直腸癌に対し様々な手術アプローチ法が登場し、術前画像シミュレーション、術中ICG蛍光ナビゲーションの利用など、直腸癌側方郭清への様々な取り組みがなされている。本セッションでは根治性と機能性の観点から、予防的郭清、転移リンパ節郭清、両者における手術手技の工夫、治療成績、将来展望について討論していただきたい。
肝胆膵
膵癌術後早期再発の危険因子
近年、膵癌に対する術前・術後化学療法を含む集学的治療の有用性が報告され、膵癌患者の予後改善に寄与しているが、一方で未だに術後早期再発を来す症例をしばしば経験する。術後早期再発を来した症例の予後が不良であることは言うまでもなく、こうした術後早期再発症例の危険因子を同定し、治療戦略を構築していくことが膵癌患者の更なる予後改善の手掛かりになると考えられる。本セッションでは各施設の膵癌切除企図例における術後早期再発の危険因子と対策について報告して頂き、その治療戦略についても論じていただきたい。
肝胆膵
膵切除周術期栄養療法の意義
膵切除は手術侵襲が大きく術後合併症発生頻度が高い傾向にある。また疾患により術前から黄疸、肝機能障害、内分泌代謝機能異常、感染症、サルコペニアなど多様な病態を抱え栄養状態が不良であることも多い。そのため周術期の積極的な栄養療法やリハビリテーションを行うことで、手術成績の向上を目指した取り組みがなされている。本セッションでは、各施設における膵切除周術期栄養療法やリハビリテーションの取り組みとその成績を示していただき、膵切除周術期栄養療法をどのようにすべきか議論していただきたい。
心臓血管
包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)に対する治療 ―Global vascular guidelineを踏まえて―
CLTI患者集団は多様性に富んでおり、治療戦略は各施設により様々である。一昨年GVGが発表され、患者リスク、下肢の状態、解剖学的条件を総合的に考慮した治療指針が示された。しかし、透析が多い本邦では、患者リスクと解剖学的条件で、推奨される血行再建法に乖離があることも珍しくなく、また血管内治療デバイスや技術の発達により、すでにGLASS分類により推奨される血行再建が実臨床にそぐわない例も経験される。本セッションでは、各演者の現行の治療戦略をGVGに即して発表いただき、GVGの意義と解決すべき課題について議論していただきたい。
下部消化管
大腸手術において縫合不全を起こさない工夫
大腸手術における術後縫合不全は、腹膜炎をきたし侵襲的処置や絶食が必要となるばかりでなく、長期予後を悪化させると報告されている。縫合不全を防ぐため、術前の食事・栄養管理や術前腸管プレパレーションの工夫、手術では、ICG蛍光法を用いた血流評価、吻合器材の選択・使用方法など、様々な取り組みが行われている。近年、開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下手術、TaTMEと手術アプローチも様々で、縫合不全対策も多様化している。本セッションでは、大腸手術における術後縫合不全を回避するための工夫と治療成績について議論していただきたい。
乳腺・甲状腺
中リスク甲状腺癌に対する治療戦略
中リスク甲状腺乳頭癌は、超低、低、高リスクのいずれにも該当しない癌である。その症例範囲はT1N1M0またはT2N0,1M0であり、かつ、リンパ節転移がある場合は3cm以下でEx2相当の転移がないものであり、幅が広い。中リスク症例に対する治療方針(手術は全摘か葉切除か、術後治療はヨード内用療法やTSH抑制療法を行うか否か)は、患者背景や予後因子を考慮して症例ごとに決定されている。本セッションでは、中リスク症例に対する治療戦略をエビデンスや自施設データを基にお示しいただくとともに、今後解決すべき課題とその解決策について議論していただきたい。
小児
少子化社会と小児外科育成
小児外科専門医や指導医が不在の地域も少なくない。昨今の医療技術の格段の進歩により、小児外科医療も時に集約化され、少子化も加わり、専門医・指導医取得が格段に難しくなり、その養成が自前で完結できない場合も少なくない。本セッションでは、各地域の特殊性を勘案した小児外科医療を実践されている先生方から日本の各地域における小児外科医療の現状や問題点、今後の可能性について議論していただきたい。
総論
腫瘍免疫学とがん免疫療法の最近の進歩
近年、がん細胞と宿主の免疫応答を制御する免疫チェックポイント分子が、がん免疫逃避機構を担う因子として同定され、がん治療戦略は変革の時期を迎えている。本邦でも抗PD-1抗体が複数のがん種において保険承認され、免疫チェックポイント阻害薬を軸とした複合がん免疫療法の開発研究が数多く行われている。本セッションでは、腫瘍免疫に関する新規標的分子やそれらを応用した治療戦略、また治療効果予測に有用なバイオマーカー研究などについて、最新の知見を示していただきたい。
ワークショップ
下部消化管
直腸癌局所再発の診断・治療の現状
直腸癌局所再発に対して、再発腫瘤の他臓器や骨盤への浸潤を正確に診断し、確実にR0切除が行える切除範囲を決定しなければならない。主要血管や他臓器と近接した病変では、病理学的な癌の遺残を防ぐため、術前放射線治療や周術期化学療法などの集学的治療の有用性が検証されている。手術療法において、術中偶発症、術後合併症の頻度が高く、定型化が難しい症例も多い。術後成績に関しては、局所の病変制御のみならず、遠隔臓器再発の予防も必要である。本セッションでは、直腸癌局所再発症例に対する術前診断と手術適応、周術期治療と最適な術式および手術成績について議論いただきたい。
呼吸器
胸部悪性腫瘍のトランスレーショナルリサーチ【International】
胸部悪性腫瘍、特に肺癌領域は、この20年、様々なドライバー遺伝子の発見、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬の開発など多くのトランスレーショナルリサーチの恩恵を受けてきた。しかしながら、基礎研究から生み出される今後の癌診断、治療に繋がる新たな知見を実臨床に橋渡しするためのシステムは欧米と比較して遅れていると言わざるを得ない。各施設でのトランスレーショナル研究への取り組み、研究成果、今後の課題、展望について議論していただきたい。
心臓血管
大動脈気管支瘻腸管瘻に対する治療
感染性大動脈疾患に対する外科治療は、グラフト感染等により成績は不良であるうえ、さらに気管支瘻や腸管瘻を合併した場合、その治療は困難を極める。喀血や吐血を伴えば緊急性も要求され十分な準備・検討のできないまま手術に臨まざるを得ないことも多い。一方で、ステントグラフトを用いたbridge治療や、感染制御後の根治的TEVARも試みられている。本セッションでは、瘻孔を伴う感染性大動脈疾患(胸部、腹部)の最新の治療戦略について、遠隔成績を踏まえて討論していただきたい。
上部消化管
胃がんに対するQOLを考慮した郭清、再建手技
胃癌手術はD3郭清や他臓器合併切除を伴う拡大手術から、腫瘍学的効果を維持しながらも機能温存を考慮した術式へと変遷してきている。腹腔鏡下手術、ロボット支援手術などの低侵襲手術や、噴門側胃切除、幽門保存切除などの機能温存手術は、術後QOLを保つことが期待できる。しかしながら、これらの術式と従来の術式との術後QOLや長期生存に関する明確なエビデンスは少ないのが現状である。本セッションでは、術後QOLを考慮した低侵襲、機能温存手術に関して、至適リンパ節郭清範囲や再建手技などについてご討論いただきたい。
肝胆膵
肝胆膵領域における Oncology 研究の最前線
肝臓、胆道、膵臓に発生する癌は、罹患数・死亡数が多い癌であり、外科治療、放射線治療、薬物療法などの進歩により治療成績は向上しているが、他の消化器癌と比較し依然として予後不良である。肝胆膵癌の克服のためには、癌発育進展の新たなメカニズムを解明するための基礎研究と臨床応用につなげるためのトランスレーショナル研究の推進が不可欠である。本セッションでは、肝胆膵癌に関する基礎研究やトランスレーショナル研究の最新の研究成果について提示して頂き、肝胆膵癌の克服にむけて活発な議論を行って頂きたい。
乳腺・甲状腺
未来を拓く乳腺外科領域の臨床試験
近年の乳がん手術の潮流として、腋窩郭清省略や乳房部分切除などの「De-escalation」と乳房再建術などの「Oncoplastic surgery」が挙げられる。より高い質の根治性と整容性、機能性を満たすべき乳がん局所治療の発展には、clinical questionに応えるための臨床試験の実施やbig dataの解析による適切なエビデンスの創出が必須となる。また外科手術のみを対象としたものでなく全身薬物療法や放射線療法など集学的治療や診断能の向上なども重要である。本セッションでは、乳がん治療発展のための乳腺外科領域における臨床試験について討議をしていただきたい。
総論
腸内細菌叢コントロールが外科治療成績を変えるか?
腸内細菌叢は、ヒトの代謝系や免疫系に影響を及ぼすことから、多彩な病態形成に関わっていることが認識され注目を集めている。腸内細菌叢の乱れはdysbiosisと呼ばれ、外科領域においても、術後合併症、予後、麻痺性イレウスの発生などと腸内細菌との密接な関連性が指摘されている。このような観点から、術前・術後に腸内細菌叢をコントロールすることは外科治療の治療成績を向上させる可能性を有している。本セッションでは、外科治療に関連した腸内細菌叢の変化やコントロールに向けた今後の方向性について論じていただきたい。
肝胆膵
肝胆膵領域における再生医療研究の最前線
肝胆膵は消化・吸収・代謝・解毒などの重要な役割を担っている。その機能が失われる様々な疾患に対する解決法として「内在する体性幹細胞を活用した再生医療」、「膵島細胞等の細胞移植による再生医療」、「ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療」、「Tissue Engineering技術を利用した再生医療」などが開発の途上にある。本セッションでは、各再生医療の開発状況や問題点を討議することで、今後の肝胆膵領域における再生医療の早期の実用化を促進するために取り組むべき課題とそのあるべき未来像について広く議論したい。
肝胆膵
肝胆膵領域におけるシミュレーションとナビゲーションの最前線
安全かつ根治性を追求した肝胆膵手術のためには、個々の局所解剖を熟知する必要がある。近年の手術支援システムの飛躍的な発展により、肝胆膵外科領域では最新の術前画像解析による術前シミュレーションに加え、ICGを用いた術中の病変同定や、XR、AI学習、高解像度撮像機器開発などのデジタル環境による脈管解剖の確認を目的としたナビゲーション手術の有用性が報告され、手術をより安全かつ精緻なものとしている。本セッションでは肝胆膵外科手術における最新のシミュレーションとナビゲーション技術についてご提示いただき、各施設の経験や問題点、今後の展望について論じていただきたい。
小児
小児外科における最先端医療の現状と展望【International】
先天性疾患を多く扱い、欠如した臓器機能の再建を診療の大きな目標とする小児外科こそ、再生医療が必要とされる領域である。その再生医療も細胞機能を補完するものから欠失・不全臓器を置換するものまで幅広い適応が考えられる。また使用可能な細胞ソースに関しても患児の長期的予後を考慮する必要がある。一方で細胞治療や外科的アプローチを含めた胎児治療の研究も盛んに行われている。本セッションでは、小児外科疾患に対するこれらの最先端医療の基礎研究から臨床応用にむけた取り組みについて提示していただきたい。
下部消化管
炎症性腸疾患に対する外科治療
炎症性腸疾患に対する薬物療法の進歩により、内科的治療の成績は飛躍的に向上している。一方で、治療抵抗性の潰瘍性大腸炎や大腸癌合併症例、クローン病による瘻孔や狭窄など手術が必要となるケースも少なくない。潰瘍性大腸炎においては、手術の適応とタイミング、術後の機能障害が問題となり、クローン病においては、病態に応じた術式の選択が重要である。本セッションでは、炎症性腸疾患に対する外科治療の適応とタイミング、機能温存のための工夫と治療成績について議論していただきたい。
総論
地域医療における外科医の役割とは
地域医療の現場では、外科医は手術などの外科診療のみならず救急診療、集中治療、化学療法、緩和ケアなど広範な領域を受け持つことが多い。そのため、メジャー手術のハイボリュームセンター化に伴う都市部偏在による外科医不足は地域医療の活力低下に直結する喫緊の課題と言える。本セッションでは、地域医療における外科医の役割とその現状、解決すべき課題、そして将来の地域医療を支えるための方策について論じていただきたい。
上部消化管
食道癌術後合併症ゼロに向けた取り組み
食道癌手術は侵襲が大きく、いかに術後合併症を回避するかは長期予後へも影響を与える。癌の進行度に加え、年齢、術前の併存疾患、栄養状態などは術後合併症発生のリスク因子であり、その予測は手術適応、術式の決定に重要である。また、これらハイリスク症例に対しては多職種からなる周術期管理チームも重要であり、チーム医療の有効性を示すエビデンスも発信されている。食道癌の予後向上、術後QOLの向上に向けて、併存疾患の重症度評価、手術適応や術式決定、周術期管理などについての独自の工夫や取り組みを提示していただきたい。
上部消化管
LECS(腹腔鏡内視鏡合同手術)の現在と未来
胃粘膜下腫瘍に対する画期的な低侵襲手術としてLECS(腹腔鏡内視鏡合同手術)が開発された。そのコンセプトをもとに、inverted LECS、Closed LECS、CLEAN-NET、NEWSなど様々な関連手技が開発された。適応疾患についてもGISTをはじめ間葉系腫瘍から上皮系腫瘍の胃癌へ適応拡大が期待されている。また、十二指腸や大腸などの胃以外の臓器にも応用されつつある。本セッションではLECSがどこまで進歩したのか、その現状と、今後どこまで発展するのか、その展望についてご発表いただきたい。
呼吸器
転移性肺腫瘍に対する治療戦略
転移性肺腫瘍に対する外科的切除は大腸癌における予後延長効果が証明されて以来、肺転移を有する様々な癌に対する集学的治療の一環として一般的に行われるようになってきた。近年、化学療法や定位放射線療法の進歩、分子標的薬や免疫療法、ラジオ波焼灼療法など新たな治療法の開発に伴い、転移性肺腫瘍に対する治療は複雑化してきた。本セッションでは、大腸癌を中心とした転移性肺腫瘍に対する最新の治療戦略について提示していただきたい。
乳腺・甲状腺
未来を拓く術前薬物療法を用いた乳癌治療戦略
術前薬物療法は、surgical outcomeを改善する目的で主に用いられてきた。以前、術前薬物療法は術後薬物療法と比較して予後の改善が得られない治療法と考えられていたが、最近のエビデンスからは、術前化学療法後の残存腫瘍に対する術後治療(Residual disease-guided treatment, CREATE-X試験やKATHERIN試験)や術前薬物療法中の治療反応性に応じたその後の治療選択(response-guided treatment、GeparTrio試験)により術前薬物療法を用いた治療戦略で予後改善効果が示されている。本セッションでは、術前薬物療法を用いた最適な周術期薬物療法や術前薬物療法に関する最新の知見および将来展望について討議していただきたい。
救急・外傷
Open Abdomen Managementの実際と工夫
Open Abdomen Management(OAM)は外傷外科において、damage control surgeryを実施するための一時的閉腹法として活用されてきた。近年、その経験が非外傷手術にも応用され、救命率が向上している。しかし、OAMにより腹腔内臓器は比較的長期にわたり外気に晒される非生理学的状態にあり、特殊な管理が必要となる。このOAMについて、各施設における治療戦略と工夫点、腸管損傷を防ぐ対策、閉腹のタイミング、閉腹法、腹壁再建法などについて症例を提示し、ご討議頂きたい。
上部消化管
高齢者の上部消化管癌に対する治療方針
急速な高齢化に伴い高齢者の上部消化管癌も増加している。高齢者は老化による身体機能、臓器機能、認知機能の低下や様々な併存疾患などの背景を抱えている。上部消化管癌は生命に関わるような出血や穿孔に加え、経口摂取困難による栄養・全身状態の悪化を伴うことも少なくない。高齢者においては全身状態、治療の侵襲、治療後のQOLを考慮したバランスのとれた治療戦略が求められる。本セッションでは80歳以上の高齢者の上部消化管癌における手術、化学療法、放射線療法の適応、治療中のマネージメントについて議論していただきたい。
肝胆膵
重症胆嚢炎に対する治療戦略
2018年に刊行されたTokyo Guidelines 2018では、胆嚢炎の重症度ごとにその治療方針や手術による安全なアプローチ方法が提唱されている。しかしながら、腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆管損傷の発生率や手術関連死亡率は経時的にあまり低下していないのが現状である。特に重症胆嚢炎では手術のタイミングやそのアプローチ方法の決定に難渋する場合もあり、様々な合併症を引き起こす場合もある。またガイドラインの推奨が必ずしも地域前線病院の現状にそぐわない点も議論が必要である。本セッションでは、重症胆嚢炎に対する治療における各施設での工夫、短期成績や合併症に対する対処法など、その治療戦略を論じていただきたい。
心臓血管
透析症例に対する冠血行再建
透析症例における冠動脈バイパス術(CABG)では、標的血管にびまん性の強い石灰化を認めることが多く、そのため吻合が困難となる場合がある。加えて、透析症例においては、撓骨動脈が使用できないことや、シャント側の内胸動脈の使用を許容すべきかなど、グラフト選択における制約も存在する。また、透析症例におけるCABGの手術死亡率は、非透析症例に比べて高く、未だ満足できるものではない。本セッションでは、透析症例に対するCABGにおける手術戦略(on-pumpかoff-pumpか、グラフト選択など)や、PCIと比較したCABGの優位性などについて議論していただきたい。
下部消化管
直腸癌術後機能温存に対する取り組み
腹腔鏡下・ロボット支援手術による拡大視効果、出血の制御により、正確な剥離操作、神経温存が行われるようになった。超低位でのDST吻合、ISRにより肛門温存率も向上している。一方で術後に排尿、排便、性機能などの機能障害を呈する症例もあり、その治療に難渋することもある。各機能障害に対して、機能検査による評価に基づいた、薬物療法、機能訓練、仙骨神経刺激療法、外科的なアプローチも試みられる。各施設での直腸癌術後機能温存に対する取り組みについて、評価方法および治療成績を含めて議論していただきたい。
ディベート
下部消化管
直腸癌に対する予防的側方郭清は? -必要 vs 不要-
進行下部直腸癌に対し、TMEおよび側方リンパ節郭清が行われ、後方視的研究で側方リンパ節転移陽性症例に対する郭清効果が示されてきた。予防的側方リンパ節郭清に関して、JCOG0212試験の結果、術前画像診断で側方リンパ節転移のない症例の約7%に病理学的転移を認め、予防的側方郭清の再発抑制効果が示された。しかし、全生存率に有意差はなく生存改善効果は限定的とされる。進行下部直腸癌の予防的側方リンパ節郭清に関し、側方リンパ節転移の術前診断、治療戦略、側方郭清の治療成績を提示頂き、予防的側方リンパ節郭清の必要性に関して討論いただきたい。
呼吸器
呼吸器外科における低侵襲手術-ハイブリッド手術 vs ロボット支援手術・単孔式手術-
肺癌に対する低侵襲手術として90年代から多孔式の胸腔鏡手術が開始された。近年ではハイブリッドもしくは完全鏡視下の他に、単孔式、さらにロボット支援手術を導入する施設も増加している。しかし、各アプローチの適応や特徴、そして今後の方向性は未だ明確ではない。肺癌手術としては、低侵襲性だけでなく根治性が要求される。本セッションでは、ハイブリット(もしくは完全鏡視下)、単孔式、ロボット支援手術における工夫をビデオで供覧の上、各術式の長所・短所、手術のコツについて討論していただきたい。
救急・外傷
わが国のAcute Care Surgeonはどうあるべきか?-都会の立場 vs 地方の立場-
本邦において緊急手術を取り扱う外科医は、救急部に所属する救急外科医の他、平素は外科の一般診療を行う消化器外科医、胸部外科医など幅広く存在する。その担い手であるAcute Care Surgeonが今後どのような診療領域、専門領域を診療実践し、そのアイデンティティーを確立していくのかは喫緊の課題である。『わが国のAcute care surgeonはどうあるべきか?』に関して、ご自身の施設や地域におけるシステムをご紹介頂くとともに、都会の立場と地方の立場についてご討議頂きたい。
上部消化管
食道胃接合部癌に対する術式選択:適切なアプローチは?
世界的に食道胃接合部癌は増加している。欧米では周術期化学療法、化学放射線療法を主軸とした治療戦略が議論されているが、わが国からは優れた手術成績を主軸とした治療戦略の構築が期待される。日本胃癌学会、日本食道学会合同の多施設共同前向き試験にり、食道胃接合部癌のリンパ節転移に関する貴重なデータが集積され、最適なアプローチについて、ますます議論が深まるところである。このセッションでは、食道胃接合部癌に対する至適なリンパ節郭清と安全な再建に必要なアプローチについて討論していただきたい。
小児
食道閉鎖症に対する手術 -開胸 vs 胸腔鏡-(適応も含め)
かつては食道閉鎖症の治療成績がその施設や国の小児外科医療レベルを反映すると言われ、国内の多くの小児外科施設では皮膚切開部位の差異はあれ、胸膜外アプローチによる食道吻合術が標準手術として行われてきた。一方で食道閉鎖症根治術に対する内視鏡外科手術の導入、国内での保険収載により胸腔鏡手術を導入する施設も徐々に増えつつあるが、標準化されてはいない。本セッションでは、開胸手術と胸腔鏡手術のそれぞれの立場から、術式の詳細、低出生体重児・心疾患を含めた併存疾患症例への適応と方策、Long Gap症例、教育、長期成績を中心にディベートしていただきたい。
肝胆膵
Intermediate HCC に対する治療戦略:-手術 first vs 非手術 first-
Intermediate HCCに対する世界の標準治療はTACEのみであるが、その病態は多様性に富み、日本では病態に応じて肝切除も行われている。進行肝癌の治療が複数の分子標的薬に加え複合免疫療法の登場により新たな時代に突入したことで、Intermediate HCCの治療に大きなパラダイムシフトが起きており、その中で肝切除の役割も変わろうとしている。本セッションでは、Intermediate HCCに対する治療戦略として手術first、非手術firstの立場から、ディベート形式で議論し、最善の治療を探っていただきたい。
上部消化管
胃癌におけるロボット支援手術は腹腔鏡手術を凌駕するか?
2018年4月にロボット支援下胃切除術が保険収載され、手術件数が増えている。人間の手と同等以上の可動域を有するEndoWrist、高解像度3次元ハイビジョンシステムによるすぐれた視野、手振れ防止機能による精緻な操作により術後合併症の軽減が期待されているが、手術時間延長や費用対効果の問題がある。一方、腹腔鏡下胃切除はすでに標準化され、短期、長期とも安定した治療成績を提供している。胃癌手術において、ロボット支援手術ははたして腹腔鏡手術を凌駕できるのか、またそのためには今後どのような技術が必要なのか。ロボット派、腹腔鏡派、それぞれの立場で議論していただきたい。
肝胆膵
膵癌に対するリンパ節郭清:-する vs しない-
膵癌は生物学的悪性度が高く、外科的治療成績は未だ不良である。外科的切除が根治的治療であることは変わりないが、拡大郭清を積極的に推奨する根拠はなく、治療ガイドラインでも術後合併症を予防するうえでは行うべきではないとされる。最近では、術前・術後の化学療法を含めた集学的治療が基本戦略となり、外科手術の役割も抗癌剤治療の発展とともに変化しうる。集学的治療としての外科的膵切除の進むべき方向性、とくに膵癌に対するリンパ節郭清のあり方について、短期成績・長期成績を踏まえて、議論していただきたい。
乳腺・甲状腺
乳房温存可能なBRCA生殖細胞系列変異陽性乳癌に対する手術選択
2020年4月より遺伝性乳癌卵巣癌症候群の遺伝子検査が保険適用となり、乳癌の治療開始前にBRCA1/2遺伝子に生殖細胞系列病的バリアント(BRCA遺伝子変異)陽性が判明する症例も増えてきた。BRCA遺伝子変異を有する乳癌に対して、乳房内再発・対側乳癌発症リスク、生存率への影響に関して、乳房温存療法と乳房全切除術と比較した明らかなエビデンスはない。本セッションでは、乳房温存可能なBRCA遺伝子変異陽性乳癌に対する術式選択をどのように考え、決定していくのか、そのプロセスも含め、討議していただきたい。
心臓血管
腹部ステントグラフト術後における遠隔期瘤拡大に対する治療戦略:-血管内治療 vs 開腹手術-
ステントグラフト治療(EVAR)が保険適用になって10年以上経過し、中長期成績での功罪も明らかとなりつつある。中でもエンドリークはEVAR特有の合併症であり、瘤拡大や破裂につながるため適切な治療が必要とされる。エンドリークに対する治療は主にカテーテル治療と開腹手術に分けられるが、両者ともその適応、成績に不明確なところがある。本セッションでは、双方の立場からディベート形式で議論し、最善の治療戦略を探っていただきたい。
総論
トランスレーショナル研究における外科医の役割
トランスレーショナル研究を進める上で、多くの治療プロセスに関わる外科医は重要な役割を果たさなければならない。個別化治療に向けた遺伝子やタンパク質の網羅的解析、再生医療に向けた質の高い検体採取のためには、研究を熟知した外科医による患者由来サンプルの適切な管理が必要不可欠である。本セッションでは、将来に繋がる萌芽的な基礎研究から臨床研究に伴う優れたトランスレーショナル研究を推進する上で必要となる独創的な発想と外科医の役割について熱く論じていただきたい。
下部消化管
直腸癌に対する手術アプローチは? -Robot vs TaTME-
直腸癌に対する腹腔鏡手術では、骨盤や周囲組織による鉗子可動域制限のみならず、肥満や腫瘍サイズにより手術難易度が高いことも多い。ロボット支援手術では、より狭い空間内での緻密な手術が可能となり、直腸癌手術アプローチは新たな局面を迎えている。一方、TaTMEは、新しい術式としての解剖学的認識の難しさ、特有の合併症が報告されているが、視認性、操作性に優れる。直腸癌に対するロボット支援手術、TaTMEについて、それぞれの手術手技、手術成績を示して頂き、安全性、根治性の観点から討論いただきたい。