第114回日本外科学会定期学術集会 外科学の最前線 ―地域医療と高度医療の連携―

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演題募集(公募)

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特別企画

2.メディカルスタッフの育成と外科医労働環境の改善(公募・一部指定)

人口の高齢化、疾病の複雑化に伴い医療はますます高度化し、さらに患者さんの権利意識の変化による事務仕事の増加等、医療現場の仕事量は増大の一歩を辿っている。特に外科医は、手術の他に術前検査、周術期管理、および、がん患者に対する外来化学療法等を担っており、長時間の労働を余儀なくされている。医師と看護師の中間職種を含むメディカルスタッフを充実させ、外科医が本来業務である手術に専念できる体制を整えない限り現状は打破できない。本特別企画では外科医の労働環境を改善するための方策、各施設での取り組みを発表していただきたい。現行の医療制度を改革するためには外科医自らが行動を起こす必要がある。

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5.若手外科医の育成―大学と関係病院の連携―(公募・一部指定)

外科医の育成には綿密な教育プログラムを長い年月をかけて実行することが必要である。新臨床研修制度導入以後、外科志望者は大学医局を離れて自身でカリキュラムを選択できるようになったが、場当たり的な異動も多く、必ずしも有効な教育システムにはなっていない。新しい専門医制度でも専門医育成には「大学病院等の基病院と地域の協力病院等(診療所を含む)が病院群を構成すること」が唱われており、今改めて大学と関連病院一体となった新しい若手外科医の育成のあり方が問われている。

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6.女性外科医の労働環境とキャリア形成(公募・一部指定)

日本外科学会の女性外科医の数は年々増加しており、外科医療における女性外科医の役割は益々重要なものとなっている。しかし、実際の医療現場における女性外科医の労働環境は十分に整備されていないのが現状である。また、そういう現状で女性外科医がキャリア形成や継続に苦慮しているのも実情である。本セッションでは、女性外科医の労働環境とキャリア形成に対する取り組みや支援の現状、問題点、将来展望や目指すべき姿などを提示していただき、女性外科医のみならず男性外科医も働きやすい職場環境、体制づくりへの指針を示していただきたい。

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シンポジウム

1.乳癌局所治療における新展開(腋窩リンパ節転移の診断治療、術前薬物療法症例の治療など)(公募・一部指定)

乳癌局所治療では乳房温存療法、センチネルリンパ節生検に留まらず、乳房再建手術も普及しつつある。しかし、術前薬物療法後の乳房温存手術における切除範囲の決定やセンチネルリンパ節生検のタイミングと適応、さらに乳房再建手術の適応と方法などいくつかの問題を抱えている。また、センチネルリンパ節の同定法と診断法、センチネルリンパ節陽性症例に対する郭清省略か非省略かといった問題もある。そして、乳房再建手術においては根治性と整容性から見た手技とその適応などが問題と思われる。本シンポジウムでは、これら乳癌局所治療における主として手術療法の問題点について専門家の研究成果と考えを発表していただきたい。

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2.大腸癌肝転移の治療戦略―切除の適応とタイミング―(公募・一部指定)

大腸癌肝転移の就学的治療において主軸をなすのは肝切除であることは言を俟たない。さらに近年の分子標的薬併用の化学療法の登場・進歩は切除不能症例を切除可能とし、予後改善に大きく貢献している。しかしながら肝切除のタイミングについてはいまだ見解が得られていない。同時性肝転移症例には同時切除、異時切除のいずれが有効なのか、切除可能症例に対する術前化学療法は有効か、どこまで肝切除をして安全かつ有効か?などを焦点として実際の治療成績を提示していただき、あらたなコンセンサスを導きだすシンポジウムにしていただきたい。

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3.肺癌の個別化医療時代における外科医の役割(公募・一部指定)

肺癌の薬物療法においては、今世紀に入ってEGFRやALKといったドライバー癌遺伝子変異の検索とそれによる薬剤の選択が実地診療で行われるようになった。さらに新規のドライバー遺伝子も次々と発見され、今世紀の初めには非小細胞肺癌と一括して取り扱われていたことを考えると、まさに隔世の感がある。われわれ外科医もこの大きなパラダイムシフト中で新しい役割について考える必要があろう。手術術式、切除範囲、補助療法、あるいは手術適応そのものはどう変わるのか、そのためにはどのような基礎研究や臨床試験が必要か、将来の展望を含めて論じていただきたい。

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4.Borderline resectable膵癌―術前診断と治療方針の将来展望―(公募・一部指定)

膵癌の切除成績は手術手技の開発、術後化学療法の発展などにより向上してきているが、いまだ最も予後が不良な癌である。なかでも、Borderline Resectable(BR)膵癌は、門脈系への浸潤、動脈へのabutmentにより、手術単独ではR0を得ることが困難な膵癌と定義され、正確な術前診断のもとに適切な術前化学(放射線)療法を行うことが重要と考えられる。NCCNガイドラインは米国におけるBR膵癌の定義と治療指針を示しているが、手術手技の較差・化学療法の違いにより、わが国の実情に即した術前診断と治療方針が必要である。さらに、手術術式の選択および術後化学療法までの集学的治療の見地から討論していただきたい。

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5.腹腔鏡下胃癌手術の適応拡大―進行胃癌に対するLAGは妥当か?―(公募・一部指定)

最新の胃癌治療ガイドライン(第3版)において、腹腔鏡下胃切除術は依然臨床研究としての治療法のままである。T2N0までの症例に対する十分な経験を有する施設における安全性は立証されたが、リンパ節転移陽性進行胃癌についてのエビデンスは存在しない。現状では先進的な施設においては、すでに進行癌に対しても腹腔鏡下手術を適応とし、中長期成績も開腹手術に劣らないと報告している施設も散見される。JLSSG0901試験などの開腹手術vs腹腔鏡手術の前向き比較試験もいくつか進行中であるが、これまでの治療成績を基に、進行胃癌に対する腹腔鏡手術の適応拡大の可能性について論じていただきたい。

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6.直腸癌に対する治療戦略(公募・一部指定)

中下部進行直腸癌に対してわが国では側方リンパ節郭清が、海外では術前放射線(化学)療法が主流であるが、MRIなどの画像診断の進歩と治療による副作用・合併症を考慮して、その適応条件を再検討する動きが見られる。さらに術前放射線(化学)療法の著効例に対しては“watch and wait”の方針も提唱されている。新規抗癌剤・分子標的薬の術前使用も含め多岐にわたる治療手段が模索される中で、側方リンパ節郭清など手技も含めた自施設で行われている治療方法・成績に基づき、今後の治療法の展望を示していただきたい。

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7.肝移植におけるイノベーション(公募・一部指定)

今、時代はイノベーションである。肝移植においても、移植成績向上やドナーの安全性向上を目指して、様々なイノベーションが行われてきた。その中には、ドナー・レシピエントそれぞれにおける手術術式や各種吻合法・再建法の工夫、グラフト選択など、手術に関するイノベーションのみならず、肝癌に対する拡大移植適応や血液型不適合移植に対する減感作療法、栄養療法や感染症対策など、適応や周術期管理に関するイノベーションも含まれる。本シンポジウムでは、各施設の肝移植におけるイノベーションについて、多方面からエビデンスに基づいた発表をしていただきたい。

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8.小児の胸部・腹部外傷に対する治療戦略(公募・一部指定)

事故を含む外傷は小児にとって最大の生命の脅威となっている。今回は小児期の胸部・腹部外傷の手術治療について、(1)最適な損傷評価方法、(2)外傷を受けた臓器別の手術適応、(3)臓器温存のために手術手技の工夫、(4)外傷患児の治療システムの課題、などをテーマとしたシンポジウムにしたい。肺損傷や肝臓・膵臓損傷の治療方針については、成人外科医の意見も求めたいと考え、各施設から貴重な経験例を持ち寄って、小児の外傷治療を前進させる議論を展開したい。

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9.進行胃癌に対する集学的治療―外科治療の位置づけ―(公募・一部指定)

進行胃癌に対する標準外科療法は、D2リンパ節郭清であり、化学療法は根治切除後のStage II、III胃癌に対するS-1単剤の術後補助療法および切除不能進行再発胃癌に対するS-1/CDDP療法や一部症例での分子標的治療薬が標準である。一方、さらなる補助化学療法の向上を目指す試みや、多剤併用化学療法の進歩等による切除不能進行胃癌における外科治療の位置づけも変わりつつある。外科治療を含めた集学的治療が必要である。術前化学療法の補助療法の強化やConversion Therapyなど現状での治療成績を基に、対象症例や薬剤の選択、手術のタイミングなど最近の知見等、次世代に継承すべき治療戦略について報告いただきたい。

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ビデオシンポジウム

1.肝静脈根部大型肝癌に対する肝切除術式の工夫(公募・一部指定)

肝切除術における主肝静脈、下大静脈およびそれに流入する短肝静脈の処理は鬼門である。門脈や肝動脈からの出血は肝門部で制御が容易だが、静脈からの出血は時に進退窮まる状況に陥る。特に肝静脈根部に接した大型肝癌では腫瘍による圧排・浸潤で脈管の正確な術前評価が困難なことに加え、術中の視野の確保が制限され静脈処理に難渋する。以上の点で肝静脈根部大型肝癌の肝切除が高難度手術であることに異論はなく、授動脱転、前方アプローチ、Hangingなど幾つかの提案がなされてきた。本ビデオシンポジウムでは、各施設の肝静脈根部に接した大型肝癌を安全に切除するための工夫、それぞれの注意点を具体的に提示していただきたい。

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2.腹腔鏡下胃切除における消化管再建術の工夫(公募・一部指定)

腹腔鏡下胃切除は近年急速に普及し、早期胃癌に対する治療として一般化しつつある。再建術に関しては、術後のQOLを大きく左右するため、安全性ならびに確実性を担保した上で、術後障害を減らす工夫が各施設で行われている。本ビデオシンポジウムでは、各施設で行われている様々な再建術式の工夫やコツをビデオで供覧し、蓄積されたデータから術後短期ならびに長期成績についても報告していただきたい。

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3.腹腔鏡下直腸癌手術の現状と展望(公募・一部指定)

腹腔鏡手術が進歩し多くの施設で直腸癌の手術も日常的に腹腔鏡下に行われつつある。また、カメラ機器の進歩により外科的解剖の理解も進んできている。本ビデオシンポジウムでは、直腸癌の低位前方切除を安全に行う手術手技上のポイントと、局所再発、縫合不全を避けるための工夫を盛り込んだ形でビデオを提示し討論していただきたい。更に、超低位前方切除やISR(内肛門括約筋切除術)などより低位の手術の理解に必要な骨盤解剖について高画質で教育的なビデオ提示をしていただきたい。

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4.肝動脈再建を伴う肝門部胆管癌の手術手技と治療成績(公募・一部指定)

肝門部胆管癌は、その解剖学的特性から、根治切除のためには肝動脈あるいは門脈の合併切除・再建を要することが少なくない。門脈合併切除・再建に関しては、最近では手技の安全性はほぼ確立されており、その意義や妥当性について概ねコンセンサスが得られているが、肝動脈合併切除・再建は、ハイボリュームセンターにおいても施行例は未だ少数であり、その適応について一定の見解は得られていない。本ビデオシンポジウムでは、特に肝動脈合併切除・再建に焦点を当て、各施設の適応や治療成績を提示いただくとともに、その手技の特徴や工夫を供覧していただきたい。

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5.弓部大動脈手術―Open Surgery vs 低侵襲治療―(公募・一部指定)

弓部大動脈瘤の発生頻度は他部位の大動脈瘤よりも高く、高齢者においてもその傾向が高い。従来の弓部大動脈全置換術は確立された手術術式であるが、高齢、閉塞性肺疾患、腎不全などの多様なcomorbidityを有する患者群において、その侵襲度は高く、成績も劣化する。一方、血管内治療の手技を駆使した弓部大動脈瘤に対するTEVAR、Hybrid手術などの良好な成績が報告され、重症患者にとっては朗報となった。本シンポジウムではこれらの手術手技を供覧し、議論場を提供したい。

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6.Robotic Surgeryによる呼吸器外科手術(公募・一部指定)

近年、胸腔鏡手術の進化版とも言える Robot Surgery(ダ・ヴィンチ)が、肺癌や縦隔疾患に対して行われるようになり、注目を集めている。ダ・ヴィンチの特徴は、3Dカメラを有すること、7つの関節を有するロボットアームによる自由度、そして手振れのない正確な操作である。ロボットアーム同士のfightingを避けるためのポートの位置や体位、Robot挿入の角度などが重要である。また、第3アームの使用方法も鍵となる。本ビデオシンポジウムでは、肺癌や縦隔疾患に対する各施設の手術ビデオを供覧してもらい、ダ・ヴィンチならではの手術手技向上の方法について討論していただきたい。

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7.腹腔鏡下膵切除術(公募・一部指定)

腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術は、既に保険診療として多くの施設で行われるようになった。しかし、術式の定型化、膵液瘻防止などの課題が残されている。また最近では、膵癌への適応拡大、さらには腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術などへの術式拡大が模索されており、わが国でどのようにして安全に腹腔鏡下膵切除術の適応拡大と術式拡大を進めていくべきかを考えておく必要がある。膵癌に対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(門脈合併切除を含む)を導入している海外の先端施設の報告を参考にしつつ、本邦における腹腔鏡下膵切除術の現状を冷静に分析し、今後の課題について議論していただきたい。

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パネルディスカッション

1.細胞・臓器移植における基礎的研究の最前線(公募・一部指定)

外科医が行なう基礎研究は、現在の臨床治療における課題を明確にすることから始まる。そのうえで横断的な知識を導入して、現代外科学の抱える課題克服に挑む基礎研究を展開してほしい。近年、外科技術の発展と免疫抑制薬の進歩で一般治療となった細胞・臓器移植治療であるが、今後10年以上将来を見越し乗り越えるべき点も明らかになってきた。免疫抑制(調節)法、ドナー臓器の作出法などの課題に対し外科医が繰り広げている最前線の基礎研究に関して論議を行なっていただきたい。

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2.心臓再手術のPitfalls(公募・一部指定)

心臓胸部大血管の手術成績は近年特に向上してきているが、再手術の成績はまだ不良である。弁膜症再手術の病院死亡率は10%、CABG再手術は5.5%、胸部大動脈瘤再手術は13%の病院死亡率である。一方、再手術症例でも、例えば単弁形成術後の単弁置換術や1~2枝バイパス術後の再CABGのように初回手術と変わらぬリスク予測で手術に臨める症例も多い。本パネルディスカッションでは、どのような症例の再手術が困難でどのような注意点と対処が再手術成績の向上に有効であるかを、症例提示を中心に論じていただきたい。

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3.腹腔鏡下肝切除―安全な系統的の実際と問題点―(公募・一部指定)

腹腔鏡下肝切除は急速に普及しつつあり、手術手技およびデバイスの向上に伴い、系統的肝切除も行われる現状にある。しかし、腫瘍の位置、大きさ、脈管との関係などにより、腹腔鏡下手術の適応が制限される症例も少なからず存在する。また、腹腔鏡下肝切除のメリットが強調される一方、合併症を含めた問題点についての議論は少ない。そこで、安全な腹腔鏡下系統的肝切除の普及を目指して、各施設での工夫および問題点を提示して討論していただきたい。

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4.鏡視下食道切除術の工夫―側臥位 vs 腹臥位―(公募・一部指定)

胸腔鏡下食道切除術では、左側臥位と腹臥位という2つのアプローチが可能である。近年、アクセスの容易さだけではなく、助手の熟練度に依存しない、術後肺合併症が少ないといった特性より腹臥位手術を採用する施設が増えている。一方で上縦隔リンパ節郭清の精度や開胸移行への困難性などの問題も残されている。まずは、左側臥位と腹臥位ともに発展途上の段階であるので、それぞれの弱点を克服するような術式の工夫について紹介していただきたい。そして、両術式のメリット・デメリットを明らかにし、従来の開胸術を含め、その適応や選択基準を明らかにしていきたい。

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5.肝細胞癌治療のガイドライン・コンセンサス・アルゴリズムの検証(公募・一部指定)

肝細胞癌(HCC)治療に関してわが国では「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」の治療アルゴリズムが広く受け入れられ、活用されている。近年欧米を中心に、分子標的薬をより積極的に取り込んだアルゴリズムが唱えられつつある。HCCに対して詳細な切除成績・再発および合併症データを提示、これらを基にわが国および欧米のHCC治療の各種コンセンサス・アルゴリズムの正当性の検証を行っていただきたい。また、画像診断技術・鏡視下手術進歩による術式の多様化を含め、予後のみならず、真に患者に有益なHCC治療アルゴリズムを議論していただきたい。

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6.小児外科疾患における内視鏡外科手術の功罪(公募・一部指定)

近年、内視鏡の高精細化、手術器具の小型化により小児外科領域においても多くの疾患で内視鏡外科手術が可能となってきた。内視鏡手術は本来、手術創の縮小化及び低侵襲を目的としているが、開腹術では起こりえない合併症が生じたり、手術時間が開腹手術の数倍を要するような内視鏡手術は低侵襲と言えるか疑問が残る。一方、開腹術でもアプローチ法などを工夫することにより整容的に優れた低侵襲な手術も可能である。これまで行なわれてきた小児外科疾患における内視鏡外科手術を振り返り、その功罪について討論したい。

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7.術後感染症に対する予防対策および治療の課題(公募・一部指定)

術後感染症は、周術期合併症のうち、もっとも頻度が高く、時に致命的な状態となる。1999年にCDCのSSI予防ガイドラインが発表されたのを機に、外科医のSSIを含む術後感染症に対する予防、治療に対する意識が一層高まった。わが国においては、平成19年施行された改正医療法により、すべての医療機関において院内感染対策のための体制確保が義務化され、各施設でSSIサーベイランス、感染制御チームの設立など様々な周術期感染症対策の整備が進んだと考えられる。本パネルディスカッションでは、各施設でこれまで取り組んできた周術期感染対策、術後感染症治療あるいは臨床試験の結果を基にして、今後の課題点を提起していただきたい。総合討論では、これらの課題点克服に向けた方略を議論する予定である。

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8.小児および若年性甲状腺癌の診断と治療(公募・一部指定)

震災後の福島第一原子力発電所の事故に伴い、小児での甲状腺癌の診断や治療が大きな話題となっている。わが国における診療ガイドラインや超音波ガイドブックなどが上梓された現時点に於いて、欧米との治療方針の違いや、超音波機器の発展に伴う診断基準の違いなどが挙げられる。また、治療の対象にならないような嚢胞などの所見が数多く指摘され、その対応や周知が問題にもなっている。小児甲状腺癌の診断および治療について多くの専門家による最新の知見を発表していただきたい。

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9.食道癌・胃癌におけるロボット支援手術の有用性(公募・一部指定)

ダ・ヴィンチ手術システムに代表されるロボット支援手術は、わが国でも急速に認知されつつある。食道癌や胃癌に対するロボット支援手術は出血量の減少や在院日数の短縮、また反回神経周囲リンパ節郭清における神経愛護的な効果などの面で、通常の鏡視下手術より優れるとの報告がある。しかし、安全性や臨床上の有用性、コストベネフィットバランスやトレーニングシステムなどの問題などが議論されており、従来の内視鏡手術と比較してロボット支援手術導入の意義は何か、その優越性に関する科学的な検証が重要である。様々な側面から次世代への展望を討論していただきたい。

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10.Stage IV大腸癌(肝転移単独は除外)に対する切除の適応と限界(公募・一部指定)

多臓器転移を有する大腸癌に対する治療は、根治切除が見込まれる場合には原発巣および転移巣の切除が望ましいが、一期的切除か、分割切除か、あるいはneoadjuvant chemotherapyを先行すべきかはcontroversialである。また、非治癒切除因子を有する症例に対する治療方針のコンセンサスが得られていない。本パネルディスカッションでは、原発巣切除の意義や周術期化学療法の利害得失を考えながら、外科的治療が多臓器転移を有する大腸癌に果たす役割を明らかにし、その適応と限界について討論していただきたい。

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11.薬物療法の進歩に応じた炎症性腸疾患の外科治療(公募・一部指定)

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)に対して、5-ASA製剤や免疫調節薬の他にも、新たに抗TNF抗体や免疫抑制剤が広く使用されるようになった。このような薬物療法の進歩に応じて、外科治療の対象となる炎症性腸疾患数や外科治療法に変化はあるのか、新たな手術術式が考案されているか、癌の発生に変化はあるのか、癌合併の際の外科治療の特徴や問題点は、などを提起し議論していただきたい。

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12.外科医に求められる危機対応能力(公募・一部指定)

手術中の予期しない大量出血や、術後患者の急変など、日常の診療において外科医には様々な危機対応が求められる。また、危機対応はリスクマネジメントとも密接に関連していることから、手術における安全管理の観点からも近年注目されている。このような危機対応で必要となるのは、緊急の処置や手術の技術だけではなく、他の医師や看護師、コメディカルなどと共に活動するチームリーダーとしての能力である。そこで、本パネルディスカッションでは、外科医が修得すべき危機対応に必要な能力、そのためのトレーニング、診療現場での危機対応の実践等について議論していただきたい。

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ワークショップ

1.胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の診断と外科的治療の選択(公募・一部指定)

近年、胆管内を乳頭状に発育し、紡錘状~嚢状の胆管拡張あるいは多胞性嚢胞性変化を呈する腫瘍の総称として、胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の概念が提唱され、膵IPMNとの類似性が指摘されている。膵IPMNに関しては、既に多くの知見が集積され、その診断体系や取扱いについてコンセンサスが得られているが、IPNBは疾患概念そのものが新しく、診断治療体系は未だ確立されてはいない。本ワークショップでは、各施設の経験を発表いただき、IPNBの診断には何が必要か? 手術適応は? 術式の選択は? といった臨床上の問題点を明らかにしたい。

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2.Amputationを避けるためのTotal Footcare―血行再建、形成から再生医療まで―(公募・一部指定)

下肢閉塞性動脈硬化病変は、高齢化が進む社会状況に加え、食生活の欧米化や生活様式の変化により急速に増加し、さらに糖尿病患者や慢性透析患者の増加が重症化に拍車をかけている。これら重症下肢虚血症例に対する治療法は、従来の動脈間バイパス術に加え、近年血管内治療の進歩に伴い、その勢いは下腿動脈まで拡大してきている。さらに、これらの治療適応外の症例も少なからず存在し、血管新生療法が試みられている。ただ、決定的な治療法が無い中で、治療法の選択肢が増加したことは、却って我々は、「いつ」「どの」あるいは「どの組み合わせで」治療を行うことが予後改善に効果があるのか、という新たな問題と対峙しなければならなくなった。本ワークショップにおいて、救肢という観点から、重症化する下肢虚血症例に対し、複雑化した治療方法を駆使した治療戦略の道筋が明らかになることを期待する。

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3.高齢者肺癌手術に対する治療戦略(公募・一部指定)

社会の高齢化と原発性肺癌の増加に伴い、高齢者肺癌の手術機会が増加している。歴年齢に比して肉体年齢の若い高齢者もいるが、一般的に高齢者には呼吸機能低下、循環器疾患、平衡感覚障害、認知症などの術前併存症が多く、術後合併症のリスクが増大する。低栄養状態に伴う創傷治癒遅延などの回復遅延の問題もある。根治手術により癌の治癒が得られても他疾患による早期の死亡の可能性もあり、悪性腫瘍に対する外科治療が生存延長に寄与するかどうかも考慮する必要がある。高齢者肺癌の外科治療の安全性と成績の向上を図るため、手術適応、術式、胸腔鏡手術の意義、術後合併症の予防、補助療法の適応などを多面的に議論していただきたい。

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4.小児の難治性の良性腫瘍に対する治療戦略(巨大な奇形腫、広範囲のリンパ管腫、重要臓器周囲のリンパ管腫、顔面・頸部など)(公募・一部指定)

小児悪性腫瘍の治療成績は集学的治療(外科療法、化学療法、放射線療法)の進歩により向上をみる一方、臨床においてしばしば治療に難渋する巨大血管腫や顔面・頸部リンパ管腫などの難治性良性腫瘍には未だ確立された治療戦略はない。これまでの報告を元に「手探り」の治療を行っているのが現状である。さらに成長に伴った合併症や長期的なQOLの障害にも対策が必要であるといえる。今回、これら難治性良性腫瘍に対する各施設の治療経験を発表いただき、外科的治療の有効性あるいは集学的治療における工夫など治療成績の向上に向けた議論を行いたい。

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5.食道癌・胃癌における栄養管理の実践とエビデンス(公募・一部指定)

食道癌・胃癌は背景因子(ピロリ菌感染、飲酒喫煙)や通過障害により診断時に低体重であることが多い。更に手術による体重減少も他癌より顕著である。低体重・低栄養は患者のQOLを損なうだけではなく、手術や化学療法、放射線療法などの治療の遂行に障害をきたし、最終的には予後の悪化を招くと考えられる。近年、栄養管理は単なるケアではなく、積極的に治療計画に組み入れることが必要と考えられている。食道癌・胃癌治療の特性を考慮しアウトカムを明確にした臨床試験を中心にそれぞれの施設での試みを紹介していただきたい。

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6.直腸癌局所再発に対する外科治療の適応と限界(公募・一部指定)

直腸癌局所再発進行例の臨床像はmiserableである。局所再発の外科治療ではsurgical marginを確保するために周囲臓器の合併切除を伴う拡大手術となることが多い。また、手術後の問題として骨盤内感染や後出血、ダブルストーマによるQOLの低下、下肢神経痛、局所再々発、肺転移など課題も多い。本ワークショップでは、局所再発症例のうち、どのような症例を手術適応として良いのか、その適応と限界について討論していただきたい。更に手術を安全に遂行するためのポイントについて、例えば側方郭清後の症例や仙骨合併切除例などの高難易度手術ではどのように大量出血を避けるかといった工夫について紹介いただきたい。

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7.外科医と再生医学の最前線(公募・一部指定)

外科学の抱える欠点の一つとして、切除に伴う様々な機能の喪失が挙げられる。その機能の補完方法としては、人工臓器置換や臓器移植が行われているのが現状であるが、何れにおいても限界があると言わざるを得ない。このような背景の下にあって、自己組織細胞、ES細胞、iPS細胞を応用する再生医療は、今後最も発展が期待される分野である。臨床応用可能な再生医療技術の最前線について、基礎的な研究も含めて報告いただき、外科分野における近未来的な展開について討論していただきたい。

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8.乳癌のMolecular Portraitsと治療への応用(公募・一部指定)

乳癌の分子プロファイルに関する研究の進展には目を見張るものがある。腫瘍のサブタイプに関連して、原発癌のheterogeneity、微小環境、間質反応における違い、転移や治療に伴うクローンの選択と変化、circulating tumor cell(CTC)の分子特性、また家族性乳癌、遺伝性乳癌卵巣癌に関する研究も急速に進展している。治療の観点からは、molecular portraitsを考慮した治療法の設計、新しい治療法の開発が極めて活発に行われている。最新分析機器を用いた分子特性の解析、分子標的治療の導入がこれらの研究と臨床への展開を支え、診療の革新を可能にしている。最先端の知見の発表をお願いしたい。

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9.本邦におけるNET治療の実態―診療ガイドラインへの展開―(公募・一部指定)

NET(neuroendocrine tumor)は、様々な悪性度を持つ多様性が著しい腫瘍の総称であり、希少性も相まってその診断、治療法は標準化されていない。現在、膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン作成委員会による診療ガイドライン作成が進められており、その公開が待たれるところであるが、その根拠となるエビデンスの多くは欧米由来である。本邦と欧米では、NETの病態に少なからず差異が見られることから今後ガイドラインには本邦発のエビデンスを反映させていくことが必要である。本ワークショップでは、現時点での本邦におけるNETに対する最新の外科治療の実態を持ち寄り、その解析を発表するとともに、欧米での検討をふまえつつエビデンス構築に向けた外科のNET治療に対するスタンスを明らかにしていただきたい。

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10.外科診療におけるNSTの役割と将来像(公募・一部指定)

近年のNSTの普及によってわが国の栄養療法の進歩は目覚ましく、外科領域における栄養管理は飛躍的に向上している。特に周術期においては、疾患による低栄養に伴うリスクの回避、早期経口・経腸栄養の実施による食力を始めとする身体機能の保持や回復支援、特殊組成の栄養素による侵襲からの早期回復や臓器再生の促進など、様々な場面でNSTの活躍が見受けられる。本ワークショップでは、高齢化が進むわが国において外科診療でのNSTの役割を確認し、将来へ向けての問題点やその対策について討論していただきたい。

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ビデオワークショップ

1.結腸癌手術の郭清範囲と手術手技(公募・一部指定)

結腸癌手術は原則的に中枢側D3のリンパ節郭清が実施されているが、血管走行にバリエーションの多い横行結腸、ことに脾曲部癌では必ずしもコンセンサスは得られていない。右側結腸癌でもsurgical trunkの郭清には各施設の特徴が認められる。本ビデオワークショップでは腹腔鏡下、開腹下にかかわらず、各施設で行われている合理的な郭清範囲の決定についての術前画像診断、ならびに手術の手順・手技、用いるエネルギーデバイスについて供覧し、コンセンサスの確立を目標に討論していただきたい。

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2.ATOMコース(Advanced Trauma Operative Management)―瀕死の外傷を救う熟練ワザ―(公募・一部指定)

外傷患者への対応は外科医にとって不可避のものであるが、普段の予定手術に基づく思考や術式では瀕死の外傷患者の救命はできない。外傷手術では、出血や凝固障害に対する戦略と戦術を明確にした特有のアプローチが必要となり、その知識と技術の習得が求められる。近年、外傷手術のアプローチを教授するOff the jobトレーニングがわが国でも開催されるようになり、ATOMなどの受講により瀕死の外傷患者が救命される機会が増えつつある。本ビデオワークショップでは、外傷外科トレーニングでの指導内容を臨床で実践した症例をビデオで掲示していただき、外傷外科における戦略と戦術について発表していただきたい。(尚、発表はATOMコース受講者に限定したものではない)

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3.房室弁形成術―新生児から高齢者まで―(公募・一部指定)

房室弁形成術は先天性心疾患でも後天性弁膜症でも、必須の高度な手術手技である。しかし、両分野には決定的に異なる背景がある。先天性では基本的に人工弁置換術の選択余地は無く、成長の必然が人工弁輪の適応を制限している。これらを背景に先天性心疾患での房室弁形成術はコンセプトも手術手技も後天性の弁形成術とは根本的に異なっている。一方、後天性には上記のような制限は無く、自由な発想を表現しやすい環境で手段の多様性と洗練化が進んでいる。ここにこそ両者が共に論じあうことのメリットがあり、着想のヒントが眠っている。バリエーション豊かな演題を期待する。

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地域医療関連セッション

1.救急診療における急性虫垂炎治療の最前線(公募・一部指定)

救急診療における急性虫垂炎は、外科医にとって最も慣れ親しんだ疾患であり、虫垂切除は外科医教育の基本となる術式である。近年、腹腔鏡下虫垂切除術が多くの施設で選択されるようになり、さらに優れた整容性を目指して単孔式手術も行われている。しかし炎症の程度により、重症度および手術の難易度は様々であるので、より正確な術前診断の必要性が再認識されてきた。虫垂膿瘍に対しては、保存的に治療を行ったのち、待機的に虫垂切除術を行うinterval appendectomyの有用性も検討されている。各施設における診断法、治療法選択アルゴリズム、成績を示していただき、整容性と安全性を兼ね備えた至適な虫垂炎治療について議論していただきたい。

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2.地域外科医療を支えるための工夫(公募・一部指定)

近年、一般外科医の減少が指摘され、特に地域医療崩壊が叫ばれる厳しい状況のなか、地方においても中央と遜色のない最先端の医療レベルを確保し、維持するために、さまざまな工夫が行なわれています。学生や若手医師の視線で魅力的な地域医療外科とは?少ないスタッフで地域格差をなくすには?手術症例の集約化は是か非か?大学病院とは異なる、地域外科医療を支えるための戦略と工夫を広く募集します。

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3.鼠径ヘルニアにおける術式選択(公募・一部指定)

わが国における成人鼠蹊ヘルニアに対する手術はメッシュ法が全盛で、術式的にはLichtenstein、Plug、Bilayer、Direct Kugel、Kugel、TEP、TAPPなど、多岐にわたっている。鼠蹊ヘルニアに対する治療はクリニックから教育病院まで幅広く行われており、各々の機関における麻酔法を含む様々な条件や術式に関するポリシーの違いが、術式の多様性を生んでいるともいえる。術後のoutcome(再発率、慢性疼痛など)や医療経済面のデータ、さらには医療機関の規模を踏まえた上で、初発成人鼠蹊ヘルニアに対する標準術式の合理的な選択に関して、議論していただきたい。

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4.肛門疾患のベストプラクティス(公募・一部指定)

ALTAの導入により、痔核手術は根底から術式の変貌を遂げた。また肛門部超音波検査やMRIなどの画像診断の導入により、痔瘻手術はより低侵襲、再発率の低い術式に変化しつつある。骨盤臓器脱に対するTVM手術など、近年、肛門疾患に対する治療戦略に大きな変化が生じつつある。本セッションでは、各種の肛門疾患に対して「これがベストプラクティス」と自信を持って紹介できる治療法の手技と工夫を発表していただくとともに、手術法の選択基準や成績を提示して論議していただきたい。

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