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演題募集(公募)

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特別企画

01.特別企画
高難度新規医療技術導入に対する取り組み

2016年の医療法施行規則の改正により、高難度の医療技術を用いた医療を実施する際には、その適否について診療科の長以外の者が確認するプロセスなどが特定機能病院の承認要件として義務付けられ、その他の病院においても努力義務とされた。厚生労働科学特別研究班(研究代表者:國土典宏 東京大学教授)により共通する基本的な考え方が纏められる一方、外科学会においても関連学会の協力の下、術式のリストアップを行っている。「当該病院で実施したことのない医療技術で、その実施により患者の死亡その他重大な影響(永続的または顕著な障害・機能不全に陥る)が想定されるもの」と定められる高難度新規医療技術導入に関し、その取り組み、現状、問題点などを提示していただき、高難度医療技術の導入法・維持体制づくりの標準化について議論したい。

02.特別企画
各領域から考える外科専門医制度

2018年4月に新たな外科専門医制度が発足し、これまでに3期の外科専攻医を迎え研修が進められている。その一方、外科専門医制度において外科学会専門医を1階とした場合、2階部分に当たるサブスペシャリティ6領域(消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺外科、内分泌外科)から3階部分となるさらに高次の専門医をどう位置づけるかに関しては未だ確定していない。外科医としての資質を修練、発展させ、さらに高次の専門医、指導医へと効率的に進んでいける魅力あるキャリアパスをいかに提示できるかは、質的のみならず量的な外科医養成にも結びつき、外科学発展のために非常に重要である。本企画では、こうした点を踏まえて各サブスペシャリティ領域の視点から新専門医制度の抱える問題点をあぶり出し、新しい専門医制度の構築について提言していただきたい。

03.特別企画
待ったなしの働き方改革への対応・対策

近年、本邦では少子高齢化の進行に伴う生産年齢人口の減少が問題視されており、働き方改革が政府の重要政策の一つに位置づけられている。外科の世界に目を向けてみると、外科志望者が減少し女性外科医の占める割合が増加する傾向にある。今後の外科学発展のためには外科医の働き方の見直しが喫緊の課題である。このように長時間労働の是正や女性医師にも対応した多様な働き方の実現が求められる一方、外科の診療と研究さらに教育には十分な時間が必要であることもまた事実である。これを克服するためには、新しい外科のあり方を探求すべく、タスク・シフティングの推進などが必要となる。我々に差し迫っている働き方改革に対し外科の将来へつながる対応・対策を提言していただきたい。

04.特別企画
情熱・努力を継続できる外科教育

外科医を志す医学生や若手外科医に対する教育はきわめて重要であり、専門医として独り立ちし、指導医として自立するまでには長い時間が必要である。魅力的な教育プログラムを構築し、外科医となった若手医師が成長を実感できるよう継続的な教育を施すことは重要であるが、まさに外科医を志したその時に抱いた情熱をいかにその後も燃やし続けさせられるかが鍵となる。さらには教育する側の外科医自身のモチベーションを維持し続けることも、終わりのない外科教育には必要不可欠である。以上を踏まえ、情熱・努力を継続できる外科教育についての取り組みや工夫とともに、これから目指すべき外科教育のあり方について提示していただきたい。

05.特別企画
各疾患登録とNCDの課題と将来

2011年に始まったNational Clinical Database(NCD)においては、全国から収集された莫大なデータの解析により、術式別の死亡率、安全性などの論文が発表されるなど、ビッグデータとして活用されている。一方、各サブスペシャリティ領域の専門学会においても疾患ごとのデータベース登録が実施されており、いくつかの専門学会ではそれぞれの疾患登録のデータベースをNCDに統合する方向で進められている。各疾患登録をNCDという統一したデータベースで行うことによる、データ利用、費用など多方面からの利点や問題点を明らかにしていただき、疾患登録の今後の方向性を提示していただきたい。

06.特別企画
リーダーを担う女性外科医の育成

医療界のみならず、各領域でダイバーシティ―の重要性が唱えられて久しい。「2020年には30%を女性管理職で」というキャンペーンがあったが、実態はどうだろう?昨今、外科医を目指す男性医師は減少の一途をたどる一方で、女性医師はわずかであるが増加している。外科医は男女を問わず人材の充足が求められているが、女性の比率の増加が必ずしも一般的に歓迎されている状況ではない実態がある。その背景には、女性外科医が育っていく間のハードル、指導する側のジェンダーの偏り、多様性の真の意義が理解されていない社会の存在が推察される。今後、女性外科医がリーダーを担うことが当たり前の社会を目指して、今、成すべきことを論じたい。

07.特別企画
資源の集中と地域医療

医療人材の不足や医師偏在、医療従事者の働き方改革といった新たな課題への対応策として、限られた医療資源の配置の最適化が検討されている。一般的な経済理論からは資源の集中が求められる一方で、近年の外科志望者の減少による外科医不足は深刻であり、外科医療が崩壊する危険性を孕む地域も少なくないという大きな問題が存在する。また、地域医療を担う外科医の教育、専門医の維持、働き甲斐などの問題もある。本セッションでは、資源の集中と地域における健全な外科医療とをいかに両立させうるかを議論し、地域医療を維持する理想的な形態について示していただきたい。

緊急特別企画
パンデミック状況下における外科診療と教育

COVID-19の世界的感染拡大は世界の人命のみならず医療システム、経済に未曾有の禍難をもたらし、今後もその影響について不確実な状況が続いている。本邦においても緊急事態宣言が発出され医療崩壊の危機を目の当たりにした。手術治療を根幹とする外科医療はパンデミックに伴うリスクが特段に大きいと考えられ、患者、医療関係者双方を守りながら、いかに効率的、効果的に対策を行い、診療、教育、研究を進めていくかが今後のきわめて重大な課題と言える。グローバル化した現代社会におけるパンデミックが今そこにある危機の中において、post COVID-19さらに新たなパンデミックも想定した包括的な方策について検討、提言していただきたい。

領域横断セッション

01.外科学再興シンポジウム
外科における多施設臨床試験の意義と方向性

癌に対する治療の中心的役割は依然、外科が担っている。しかし各施設における限られた治療成績を紹介するのでは、その再現性は低い。治療法のエビデンスを構築するために、多施設臨床研究の必要性は近年ますます高まっている。ただし外科が手術のみ行う施設と化学療法や術前検査などまで行う施設が多施設共同研究で混在している際には、症例の選択法に工夫が必要である。また手術治療のみの研究においては、手術の技術やアプローチ法、病理検索の方法などのqualityや、primary endpointの設定を含めた生物統計学的設計が結果に影響を与える可能性もある。多施設臨床試験に得られた結果と実臨床での拡がりが乖離している状況も認められる。これまでに行われた、また現在進行している多施設共同臨床研究とともに、今後の外科における多施設臨床研究のあり方やその遂行方法、問題点などについて方向性を示していただきたい。

02.外科学再興シンポジウム
ロボット手術新時代における外科教育

本邦におけるロボット手術は、2012年に泌尿器科領域で初めて保険収載された。その後、2018年、2020年の保険改訂により外科領域の多くの術式にも適用されるようになり、その症例数も急激に増加してきている。ロボット手術は、従来の腹腔鏡手術に比べてlearning curve が短いこと、遠隔医療を含めて教育に利点を有していること、腹腔鏡手術を経由する必要性を有さないことが指摘されている一方で、指導医が少ないことも危惧されている。開胸・開腹手術、内視鏡手術、そしてロボット手術までに広がった外科教育を、いかに効率よく若い外科医に行い、安全な手術の習得に結びつけるかが重要な課題である。今後の手術治療を推進するにあたり、ロボット手術のトレーニング法にとどまらず、各アプローチ法の習得における共通性やフィードバック、無駄の排除を含め、新しい外科教育システムを示していただきたい。

03.外科学再興シンポジウム
ゲノム解析による外科治療の進歩

2013年、BRCA1遺伝子異常を持つアンジェリーナ・ジョリー氏が予防的乳房切除を受けた事は、がんに対する究極の外科早期治療として衝撃を持って受け止められた。ゲノム解析にもとづく診断分類も行われており、予後因子としての重要性も数多く報告され、病期分類への利用も検討されている。今後、さまざまな疾患の手術適応、術式の選択を、ゲノム解析情報をもとに判断する場面が急増していく可能性が考えられる。さらに、手術前後の補助療法においても、分子標的薬を含めた薬剤の選択、有害事象の予測など、ゲノム解析はその重要な判断材料となる。現在のゲノム解析に基づく外科治療の状況を明らかにしていただき、今後のゲノム解析が深く関わる近未来の外科の姿を示していただきたい。

04.外科学再興シンポジウム
移植医療におけるドネーション拡大に向けた方策

本邦においては2009年に臓器移植法が改正され、脳死ドナーは着実に増えているものの未だ十分ではない。一方で心停止ドナーは激減し、従来の1/3ほどとなっている。多くの移植待機患者が移植を受けることなく亡くなっているのが現実である。長年の臓器提供戦略が功を奏し提供数が増えている地域もあるが、未だに伸び悩む地域もある。本シンポジウムでは、救急医などの提供する側、移植外科医、コーディネーター、行政など各方面から、提供数を劇的に増やす方策や、実際に提供数が劇的に増えた場合に備え現場がとるべき対応などを示していただきたい。

05.外科学再興シンポジウム
神経内分泌腫瘍治療の展開

神経内分泌腫瘍に関する研究は呼吸器外科領域では1970年代から病理・臨床の両面から行われてきたが、近年では消化器外科領域においても治療を中心に活発に行われるようになってきている。膵・消化管内分泌腫瘍のWHO分類は2019年に改訂され、ソマトスタチンアナログの保険適用など治療を巡る環境も変化してきている。各臓器の神経内分泌腫瘍を比較すると、病理分類や診断基準において一致していない部分もみられている。今後、神経内分泌腫瘍に対する研究の進歩や新たな治療方法の開発のためには、各臓器における神経内分泌腫瘍の特徴や治療・研究の現状からその相違点・共通点を明らかにし、新たな展開の方向性を示していただきたい。

06.外科学再興シンポジウム
外科におけるAI利用の現状と展開

人間の知的能力をコンピューター上で実現しようとする人工知能(AI)は、さまざまな先端的科学分野における認識や予測の領域でめざましい進歩を遂げた。一方で、汎用コンピューターの性能向上やシンプルなプログラミング言語の開発とその環境整備、AIに特化したライブラリやフレームワークがオープンソースで構築されたことなどにより、必ずしも数理科学を体系的に学んでいないものにとってもAIが身近な存在となってきた。外科医が自らの手で行ったAI解析や、外科医が主導して進んでいるプロジェクトなどを供覧いただき、AIを利用した外科治療を現実に広げるための方法論について示していただきたい。

07.外科学再興シンポジウム
外科医が行う基礎研究の意義

「外科医はメスが切れれば基礎研究の知識は必要ない」という意見も依然として根強い。しかし優れた基礎研究成果を臨床に還元する際に、外科医が果たすべき役割は決して小さくない。臨床におけるさまざまな課題を熟知している外科医は基礎研究者と密に連携して、シーズとなる研究成果を患者に貢献するレベルにまで引き上げる責務がある。また近年、個別化医療を目指した遺伝子や蛋白の網羅的解析が広く行われているが、その推進には適切に管理された患者由来組織は必要不可欠であり、外科医の十分な理解が求められる。その結果に基づく治療を進める上でも背景を正確に認識する力は重要である。また、実臨床においては症例個々の詳細な観察に基づきガイドラインに当てはまらない判断が必要な場合にも科学的思考は極めて重要であり、治療結果を左右するとも考えられる。今後の外科学発展のために、あらためて外科医が行う基礎研究の意義を示していただきたい。

08.外科学再興シンポジウム
遺伝性腫瘍に対する包括的な取り組みと問題点

遺伝性の悪性腫瘍を治療する数少ない外科系診療科として乳腺外科、大腸外科、小児外科、内分泌外科、婦人科、眼科、脳神経外科などが位置付けられている。癌に対するパネル診断が保険適応となり、その中で二次性所見として発見されることもあり、遺伝性腫瘍に対する注目度は増している。遺伝性であることを診断することへの倫理的課題、遺伝的に素因がある場合の検診の問題、予防や治療に関する最近の進歩など、外科医にとって共有すべき領域横断的な知見を示していただきたい。

09.外科学再興シンポジウム
高難度手術におけるリスク回避

近年、医療機関における医療事故の発生が各方面で大きく報道され、社会問題となっている。患者の安全を守ることは外科医として最低限の責務であるが、リスクが高い高難度手術でしか救えない患者がいることも事実である。病態が高度に進行している場合もあれば、高齢化社会の到来に伴い重篤な併存疾患を有する場合もあるが、リスクを過大評価するがゆえに治癒せしめる患者に対してメスを躊躇することがあってはならない。安全性の担保と高難易度手術の実施という二律背反関係の解決は外科学の永遠の課題である。昨今、さまざまな医療安全管理体制が立ち上がり、高難度手術の透明化が図られているが、現時点での成果と課題は何であろうか。患者と外科医を守る、高難度手術における適切なリスク回避について示していただきたい。

10.外科学再興シンポジウム
人工臓器の現状と展開 ―外科治療のコペルニクス的大転換・再建から再生へ―

近年、幹細胞研究の世界的動向は、臓器様構造体(オルガノイド)を再構成する方向へと急速に進展している。本邦では、世界に先駆けて「臓器」の創出を目指した先進的な要素技術開発が推進されている。本シンポジウムでは、次世代医療として期待が高まっている最先端のヒト臓器創出技術について、現況と課題について示していただきたい。

上部消化管

01.シンポジウム
切除不能高度進行食道癌に対する挑戦

内視鏡診断の進歩・普及に伴い表在食道癌を発見する機会が増加し、集学的治療の発展により食道癌の予後は改善されてきたが、依然として進行食道癌の予後は不良である。この原因の一つには切除不能高度進行食道癌が少なくないことがある。本邦における局所進行食道癌に対する標準治療は5-FUとCDDP併用による化学放射線療法であるが、その成績は満足できるものではない。これを改善するために、導入化学療法やDCF併用化学放射線療法、浸潤臓器の合併切除などの積極的な集学的治療が試みられている。また2020年2月に免疫チェックポイント阻害薬のnivolumabが保険収載されたことにより、治療戦略が変化していく可能性も期待される。本シンポジウムでは、切除不能高度進行食道癌に対するR0切除を目指した挑戦的な取り組みと治療戦略を、その成績とともに論じ、今後の可能性を示していただきたい。

02.シンポジウム
食道胃接合部癌に対する至適な手術術式【International】

近年、本邦においても食道胃接合部癌は増加傾向にある。欧米からは化学放射線療法と手術を組み合わせた治療が標準的な治療となっているが、患者の背景因子ならびに手術術式も異なるため、本邦からのより優れた治療戦略の構築、発信をしていく必要がある。2019年に各リンパ節の転移割合を前向きに検証した多施設共同研究の結果が解析され、食道浸潤長と上中縦隔リンパ節転移の関係を示す興味深い結果が報告された。しかし胸部操作を施行した症例が限られており、長期成績も現時点では明らかで無い。食道胃接合部癌に対する至適なリンパ節郭清を含めた手術術式、方法を示していただきたい。

03.シンポジウム
胃癌における術前診断の意義と進歩

悪性腫瘍の治療において、正確な術前診断を行う意義については論を俟たない。予後向上を目指し周術期化学療法が検討され、本邦においても術前あるいは周術期化学療法の有用性を検証する臨床試験が行われており、術前診断の重要性は高い。しかし、胃癌に対する術前診断の精度を検証する前向き試験(JCOG1302A)でも示されたように、現状では正確な術前病期診断に問題がある。真に必要かつ精度を担保できる術前診断の方法およびその意義を議論していただきたい。さらに癌に対する個別化医療が注目を集めており、胃癌に関しても治療に紐付けされた遺伝子レベルの分類が期待される。従来の術前病期診断に加えるべき新たな因子についても示していただきたい。

下部消化管

04.シンポジウム
直腸癌に対するロボット手術は何を変えたか

2018年4月より直腸癌に対するロボット手術の保険収載が行われ、本邦における症例数ならびに導入施設数も年々急激な増加を示している。ロボット手術では術者にとって有用な機能が備えられており、今後の発展が期待されているが、患者にとってその有用性を示すデータは十分とは言えない。ROLARR試験においても腹腔鏡手術に対する優越性を示すことはできなかった。今まで行われている開腹手術・腹腔鏡手術からロボット手術を導入することにより、外科医、手術を受ける患者、そして医療機関に何をもたらすのか。本邦の直腸癌治療におけるロボット手術の優位性・方向性を多方面から示していただきたい。

05.シンポジウム
大腸癌における拡大手術の手技と意義 【International】【Video】

大腸癌に対する拡大手術は、局所進行癌や再発癌に対して限られた施設で行われているが、必ずしも満足すべき治療結果が得られるとは言えない。NCCNやESMOガイドラインにおいてはこうした局所進行大腸癌に対する拡大手術は推奨されてはおらず、適切な化学療法±放射線療法が推奨されている。本邦の大腸癌治療ガイドラインにおいては、局所再発癌に対する複数臓器切除を伴うような拡大手術は根治を期待しうる場合において推奨されている。本セッションでは、複数臓器合併切除を伴う拡大手術手技をビデオで供覧するとともに、そうした手技の臨床的意義について示していただきたい。

06.シンポジウム
遺伝性大腸癌に対する治療戦略 up-to-date

2012年に「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」が刊行され、2016年に改訂が行われた。これらにより家族性大腸腺腫症、リンチ症候群をはじめとする遺伝性大腸癌に対する理解が深まってきている。さらに癌に関する遺伝子パネル検査が保険適用となり、遺伝性の癌に対する注目も増している。一方、その発生機序や、診断・治療に関する新しい情報や適切な治療方針が十分に浸透しているとは言い難い。遺伝子検査・遺伝子診断の技術は進歩してきたが、どのタイミングでどの遺伝子検査を行い、その結果をいかに臨床に反映させるかなど、実臨床では不確定な問題も数多く存在する。日本における臨床環境、疫学情報・形質発現に立脚した、独自の治療戦略は存在するのであろうか。本シンポジウムでは、外科医が理解すべき遺伝性大腸癌に対する最新の治療戦略について示していただきたい。

肝胆膵

07.シンポジウム
肝胆膵高難度手術における腹腔鏡、ロボット支援手術の展望【Video】

近年、肝胆膵外科領域でもMinimally invasive surgery(MIS)の有用性が報告され、肝亜区域切除、肝区域切除、肝葉切除、リンパ節郭清を伴う尾側膵切除、膵頭十二指腸切除などの高難度手術においてもMISが積極的に行われるようになってきた。それに伴い各施設において、安全性を考慮した技術的な工夫、術式の定型化がそれぞれにすすめられてきている。本シンポジウムでは各施設における肝胆膵高難度手術のMISのポイントをビデオで提示していただき、その成績に基づき肝胆膵高難度手術におけるMISの今後の展望、問題点について示していただきたい。

08.シンポジウム
肝・膵移植における最新の進歩と課題

本邦の肝移植は生体・死体を含め9,500例を超え、その成績は安定するとともに、血液型不適合移植もリツキシマブ使用により著しく向上している。しかしながら、脳死ドナーの伸び悩みとともにいまだ周術期死亡が少なからずみられ、また免疫抑制剤の副作用、de novo発癌など遠隔期におけるさまざまな問題点も指摘されている。一方、膵移植は年間30-40例程度施行されているが、同時に移植された腎臓に比べると血栓症や拒絶反応などによりその生着率は低く、長期成績は良好とはいえない。本シンポジウムでは、各施設における肝・膵移植の短期・長期成績を振り返り、その進歩と今後の課題について示していただきたい。

09.シンポジウム
肝門部胆管癌 安全性に配慮したR0手術への取り組みと工夫

肝門部領域胆管癌の治療成績は、手術手技の向上、術前術後管理の進歩などにより近年向上しつつあるが、局所進行例が多いため、R0手術のためには左三区域切除+胆管切除・胆道再建、血管合併切除、肝膵同時切除など拡大切除を要することも少なくなく、周術期合併症が少なからずみられる。一方、高齢化社会を迎え、老化による生理機能の低下や併存症合併など患者因子により拡大切除を躊躇せざる得ない場合もある。そこで本シンポジウムでは安全性を配慮した肝門部胆管癌R0手術のための患者選択、周術期管理、術式選択などの取り組みと工夫について示していただきたい。

10.シンポジウム
肝胆膵手術における周術期栄養管理とリハビリテーションの役割

高齢化に伴い全身状態や栄養状態の不良な手術患者が増えている。低栄養は術後合併症の発生率を上昇させ、癌では予後不良因子となることが報告されているが、特に肝胆膵手術では侵襲の高い手術が多く、代謝内分泌系の異常を伴う疾患も多いため周術期の栄養管理とリハビリテーションの役割は非常に重要である。肝胆膵手術の周術期における安全性を高めるためには、術前から積極的な栄養管理とリハビリテーションを行い、術後にも適切な栄養管理とリハビリテーションを継続して行うことが有用と考えられる。そこで、各施設における周術期栄養管理とリハビリテーションに対する取り組みを示していただきたい。

心臓・血管

11.シンポジウム
重症心不全に対する補助循環治療【International】

心不全患者の増加により、重症例に対する治療ニーズの高まりや、さまざまな治療法の変化が生じている。補助人工心臓治療は、その成績向上に伴い非移植適応例(Destination therapy)やより軽症例への適応の拡大が起こりつつあり、欧米においては心臓移植における心停止後ドナーへの関心の高まりや、ドナーallocation systemの変更といった変化もみられている。さらに急性心不全においては、新しい補助循環用ポンプカテーテル(Impella)の使用開始により、これまでの治療戦略が大きく変わりつつある。諸外国と日本での現状を提示いただき、これからの我が国における重症心不全治療はどう進んでいくべきか示していただきたい。

12.シンポジウム
三尖弁手術の極意 ー新生児から成人までー【Video】

近年Ebstein病に対して第一選択となったCone手術の経験が徐々に蓄積されつつあるが、三尖弁の解剖学的特徴、右室形態や機能のバリエーションが多彩である上、本邦では施設ごとの経験値の少なさもあって手技の標準化は必ずしも進んでいない。新生児から成人に至る広い年齢層でのCone手術の適応や手技のコツをビデオ供覧し、Ebstein病の外科成績向上への鍵を探っていただきたい。また心房細動や肺高血圧症に起因する三尖弁閉鎖不全に対する手術介入のタイミングや手技、リング等の選択についても議論を深め、三尖弁手術が術後遠隔期の心不全予防やQOLの改善に寄与するための道筋を示していただきたい。

呼吸器

13.シンポジウム
呼吸器外科の最前線(移植、ロボット、拡大手術)【International】

19世紀後半に水封式胸腔ドレナージが確立され安全な胸腔ドレナージが膿胸治療を発展させ、1960年代以降は閉鎖式循環麻酔の普及に伴い解剖学的肺切除が安全に行えるようになった。1980年代になると分離肺換気法、ビデオファイバースコープの導入による胸腔鏡手術(VATS)が始まった。1980年代に免疫抑制剤(サイクロスポリン)の開発により進行性肺疾患の最終的治療法として肺移植が確立された。1990年以降は、手術支援ロボットが導入され、2000年になって肺癌根治術においてもロボット支援下手術(RATS)が適用され始めた。このように周辺技術や学術的成果は、呼吸器外科の発展を支えてきた。最近は、数年ごとにヴァージョンアップされる手術支援ロボット、single-portや気管内挿管を伴わないVATSなど、低侵襲的なアプローチ法の選択肢も増えている。本セッションでは、呼吸器外科の最新の成果について、RATS/VATS、肺癌、肺移植など各分野の最前線を示していただきたい。

乳腺内分泌

14.シンポジウム
乳癌治療において遺伝子コンパニオン診断をどの時点で行いどう生かすか

狭義には、遺伝子コンパニオン診断は、転移再発乳癌における分子標的薬の効果予測に用いうる遺伝子を有しているか否かを診断することを意味するが、HER2、BRCA1/2、PD-1,PD-L1などの個別の遺伝子検査と、遺伝子パネル検査などがこれに含まれる。狭義には薬物療法の選択に用いられるが、広義に捉えると、リスク低減目的の手術選択にも寄与している。条件により保険適用も変わるこれらの検査を、何を目的に何を対象にどの時点で用いることが正しいのかを示していただきたい。

15.シンポジウム
トリプルネガティブ乳癌に対する治療戦略【International】

トリプルネガティブ(TN)乳癌は、生物学的悪性度が高く、早期に再発して治療に難渋することも多い。しかし、PARP阻害薬のオラパリブや、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1ヒト化モノクロナール抗体のアテゾリツマブが保険適用となったこと、TN乳癌のサブタイプ分類が試みられてきたことにより、新たなる治療戦略を考慮する局面に入ってきた。トリプルネガティブ乳癌に対する取り組み、治療成績や問題点を提示していただき、今後の治療戦略を示していただききたい。

小児

16.シンポジウム
小児領域における術中イメージングとナビゲーション

indocyanine green (ICG)蛍光法を代表とする蛍光イメージングは、腫瘍や胆道、リンパ管、門脈区域、肺動脈区域、腸管血流など、さまざまな部位を簡便かつ安全に画像化できるすぐれた方法で、機器の進歩もあいまって小児領域でも術中のナビゲーションとして盛んに使われてきた。一方、各種画像データを基に作成された3次元シミュレーションを術前のみならず術中ナビゲーションに応用する試みや、術中の臓器移動や変形に追従するシステムなど、さまざまなアプローチが急速に進歩している。本シンポジウムでは、小児領域における最新技術の応用の実際や成果に基づき、今後の展望や解決すべき課題を示していただきたい。

総論・移植

17.シンポジウム
外科医による起業 ー医工連携・産学連携ー

近年の医工連携・産学連携においては、バイオデザインといった新しい人材育成プログラムが導入されるなど、臨床医が直接エンジニアとチームを組みベッドサイドで医療機器開発を行って起業を目指すケースが増えてきた。起業することは必ずしも臨床の第一線から退くということではなく、自身のアイデアをいち早く実用化に結びつける一つの手段となりつつある。起業に成功した事例を紹介するとともに、医工連携・産学連携における新しい取り組みを示していただきたい。

18.シンポジウム
腸内細菌と外科

ヒトの腸管内には数100種、100兆個におよぶ多数の細菌が存在し、宿主と共生している。これらは腸内細菌叢と呼ばれ、近年きわめて多彩な全身的な病態形成に関わっていることが認識され、注目を集めている。腸内細菌叢の乱れはdysbiosisと呼ばれ、炎症性腸疾患をはじめ、自己免疫疾患、肥満、糖尿病、うつ病や自閉症などの精神疾患にいたるまで、その関連が指摘されるようになっている。外科領域においても、術後合併症、予後、麻痺性イレウスの発生などと腸内細菌との密接な関連や、外科系ICU患者におけるdysbiosisと臓器不全との関連なども指摘されている。このような観点から、本シンポジウムでは外科と腸内細菌についての最新の知見を示していただきたい。

19.シンポジウム
分子サブタイプが決める癌治療

癌の発生臓器や部位は術式を決定する重要な因子である。一方、癌の網羅的解析やその標的治療の開発が進む中で、多くの癌に共通する分子学的特徴や治療方針など、発生臓器や部位を越えた概念が進んでいる。本セッションでは、ゲノム異常、エピゲノム異常を中心に分子サブタイプを基礎とした治療開発のベクトルから普遍的に癌をとらえ、その最先端を示していただきたい。

上部消化管

01.パネルディスカッション
食道癌におけるこだわりの手術手技【Video】

術前に限りなく近い日常生活と長期生存を得られことを前提に術後合併症を起こさない手術が良い手術の要件と考えるが、そのためには正確な剥離層で精緻なリンパ節郭清を行い、安定した方法で再建することが必要である。1929年に本邦初の開胸開腹アプローチによる食道切除再建が行われて以後、食道癌手術は変遷を重ねてきた。開胸手術に胸腔鏡手術が加わり、近年ロボット支援下手術や縦隔鏡手術が新たに加わった。アプローチの違いではなく、後世に伝えるべき食道癌における手術手技の本質は何か。自らの手術手技のこだわりを示すとともに、食道癌根治手術の本質を議論していただきたい。

02.パネルディスカッション
生理機能から見たハイリスク胃癌患者に対する胃全摘の適応

近年、超高齢化社会の到来に伴い、複数の併存疾患を罹患しているハイリスク胃癌症例が増加している。胃癌の術後は、栄養障害による体重減少が予後にも関連する重要な課題であるが、中でも胃全摘術は体重減少率が大きい。特にハイリスク胃癌患者は予備力が小さく容易に栄養障害をきたすため、極力胃を残す工夫を含め再建の工夫などが必要になる。近年、早期胃癌に対する縮小手術が検証されているが、ハイリスク胃癌患者における良好な治療成績を得るための最適な手術という観点から、胃全摘の限界に関し生理機能を中心に議論していただきたい。

03.パネルディスカッション
metabolic syndromeに対する外科治療の現状と展開

病的肥満症に対する手術治療は、単に減量を目的とするだけでなく、肥満症を取り巻く糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などが複合したmetabolic syndromeを標的とした治療法としてその概念が変化しつつある。metabolic syndromeに対する外科治療に関するエビデンスはいまだ乏しく、手術適応や手術介入タイミング、最適な選択術式、手術後効果の判定方法など、検討すべき問題は山積している。このセッションではmetabolic syndromeに対する外科治療の現状と今後、本邦における展開について様々な角度から議論していただきたい。

下部消化管

04.パネルディスカッション
直腸癌に対するTa TME vs経腹的TME

直腸癌に対する手術は難易度が高く、直腸固有筋膜に損傷なく直腸間膜全切除(TME)を行うことが根治性を向上させる重要な因子の一つである。直腸癌に対しては腹腔鏡手術やロボット手術により経腹的TME(trans-abdominal TME)が行われているが、近年経肛門的にTMEを行う術式transanal TME(Ta-TME)が注目されている。TaTMEではより腫瘍に近い肛門からの直線的アプローチが行える反面、解剖学的認識の難しさや特有の合併症なども指摘されている。二つのアプロ―チ法の特徴や成績を示していただき、根治性、機能温存性、安全性の面から、症例に応じた最適な直腸癌手術におけるアプローチ法について議論していただきたい。

05.パネルディスカッション
直腸癌に対する術前CRT後のWatch & Wait 治療戦略を議論する

直腸癌の術後には縫合不全をはじめとする手術合併症の頻度がいまだ高く、肛門・排便機能障害や排尿・性機能障害などの術後後遺症が患者の生活に重大な影響を及ぼす。化学放射線療法と手術を併用する集学的治療が標準治療に位置付けられている欧米において、近年では化学放射線療法後に臨床的完全奏功(cCR)が得られた症例に対して積極的に非手術を選択する戦略、すなわちWatch & Wait 治療戦略が注目されている。Total Neoadjuvant Treatmentの登場により、実臨床に導入する施設の増加も予測されるが、妥当な治療オプションと見なされるためには、cCRの判定基準、再発のサーベイランス方法、再発リスクの高い患者の選別方法など、解決すべき課題も山積している。本パネルディスカッションでは、Watch & Wait治療戦略の現状と将来展望について議論していただきたい。

06.パネルディスカッション
機能温存と長期病勢コントロールの両立を目指した炎症性腸疾患の術式選択

IBDに対する近年の薬物治療の進歩により、外科治療のあり方にも変革が見られている。治療抵抗性の潰瘍性大腸炎に対しては(準)緊急手術での大腸(亜)全摘術が行われることも多かったが、現在では大腸癌の合併や、増悪を繰り返す症例に対する待機手術が多くなっている。Crohn病に対しては保存的治療の末に症状の増悪により手術となる場合が多かったが、昨今ではまず手術を行い病勢をリセットしてから薬物治療を導入する治療戦略も選択されるようになった。病勢コントロールを行う上では、極力機能温存を目指した術式が望まれる。本セッションでは、こうした時代的背景を踏まえ、長期の病勢コントロールと機能温存を両立させるべき治療戦略について議論していただきたい。

肝胆膵

07.パネルディスカッション
切除境界域膵癌に対する至適術前療法

切除可能境界膵癌に対する術前補助療法は、日米のガイドラインで推奨されておりコンセンサスが得られている。しかし、その有効性を明確に示したランダム化比較試験はほとんど存在しないため、その科学的根拠のレベルは低い。さらに、術前療法として化学療法と化学放射線療法のどちらが有効か、最善の薬剤は何か、治療期間はどの程度か、など解明すべき点も多い。そこで本セッションでは、切除可能境界膵癌に対する術前補助療法の成績を提示し、治療成績向上のために必要な工夫と課題について議論していただきたい。

08.パネルディスカッション
進行胆道癌に対する集学的治療の意義

胆道癌に対する治療は外科切除が第一選択であるが、切除不能進行癌の状態で発見されることも多く、たとえ根治切除をなし得たとしてもリンパ節転移例、血管浸潤例では再発率も高い。そのため、胆道癌の予後向上のためには化学療法を含めた集学的治療の確立が急務とされている。しかしながら、これまでに行われた臨床試験では、術前・術後補助化学(放射線)療法の臨床的有用性に関しては確固たるエビデンスは示されていない。その一方で、切除不能とされた局所進行胆道癌の中には、化学療法が奏効し外科切除が行われ予後の改善を認められた症例も報告されている。そこで、本セッションでは、各施設における進行胆道癌の治療成績向上に向けた集学的治療についての取り組みとその治療成績について提示し、こうした集学的治療におけるさまざまな問題点を議論していただきたい。

09.パネルディスカッション
膵癌に対するリンパ節郭清 境界と神経叢郭清の今【International】

R0切除は全ての腫瘍外科医にとってのセントラルドグマである。それは高い神経浸潤能・転移能を持つ膵癌に対しても、Fortnerのen-bloc 拡大局所膵切除(1973年)に続く形で追求されてきた。しかし、2000年頃からのランダム化比較試験により、拡大リンパ節・神経叢郭清の予後改善効果はほぼ否定され、その存在意義が問われている。膵癌に対してはR1切除でも良いのか、安全性、術後QOLを担保される範囲であればR0を目指した拡大リンパ節・神経叢郭清は今でも許容されるのか、幾多の変遷を経た膵癌に対するリンパ節・神経叢郭清は今後いかにあるべきかを議論していただきたい。

心臓・血管

10.パネルディスカッション
長期予後を考慮したNorwood手術 ―先天性心疾患―

本邦のNorwood手術の成績は近年めざましい改善を遂げ、新生児期および乳児期の入院死亡率は各々25%、15%まで低下し、よりよい長期予後を見据えた治療体系を論じる段階となってきた。初回姑息術として両側肺動脈絞扼術が導入されて救命率は向上したものの、PGE1の合併症や肺動脈発育の問題など特有の懸念も生じており、初回姑息術をNorwood手術か両側肺動脈絞扼術のどちらを選択すべきかの結論は定まっていない。Norwood弓部再建に関連した合併症としては、大動脈狭窄、左肺動脈狭窄、左気管支狭窄などがあり、ホモグラフトが使えない本邦ではさまざまな手技的工夫がなされている。HLHS関連手術手技の詳細、pitfall、介入時期等、長期予後を見据えた最善の選択肢を見出せるよう議論していただきたい。

11.パネルディスカッション
新しい冠血行再建ガイドラインからわが国の冠動脈バイパス術を再考する

安定冠動脈疾患に対する冠動脈バイパス術(CABG)は、近年さまざまな前向き試験により、多枝複雑病変、糖尿病症例、低左心機能例等での長期成績において経カテーテルインターベンション(PCI)に対する優位性が示されている。これらを背景とし、新しい冠血行再建ガイドラインにおける病変・患者背景分類に対するPCIとCABGの選択は、LAD近位部を除く1枝病変以外ではいずれもCABGをクラスIの推奨としている。しかしながら、我が国においてはCABGに対するPCIの比率が依然として著しく高いことが知られている。現在のCABGの問題点はなにか、今後より多くの患者にCABGの恩恵を享受してもらうためにはどのような方策が必要かについて、議論していただきたい。

呼吸器

12.パネルディスカッション
呼吸器外科手術におけるトラブルシューティング 【Video】

呼吸器外科手術では予期せぬ肺動脈出血などの術中合併症にとどまらず、さまざまなトラブルにみまわれることがある。危機的なトラブルに遭遇する機会は一般的は少ないため、個人でそうしたトラブルに対処する経験を積み上げることが難しい一方、背景には共通するリスクや対処法が存在すると考えられる。したがって、これら危機的なトラブルに関する理解、解決策は普段から術者の頭の引き出しに入れておくことが重要である。「こうやって対応できた」、「対応できなかった」などの貴重なビデオを提示していただき、合併症を起こさないコツ、起きた後のトラブルシューティングに関して議論していただきたい。

13.パネルディスカッション
III期胸腺腫に対する私の手術法

III期胸腺腫は、心膜、肺、大血管など複数の他臓器浸潤を伴うことも多く、胸膜腔への播種性再発の頻度も高いことから、切除マージンの確保のために複合的な隣接臓器合併切除と慎重な手術操作が必要となる。一方、従来行われてきた胸骨正中切開やhemi-clamshell法などによる開胸から、両側VATSフルスペルや剣状突起下VATS、最近ではロボット支援手術(RATS)まで多くのアプローチ法の選択肢がある。本セッションでは、各アプローチ法の利点や課題などを提示するとともに、III期胸腺腫に対する至適アプローチ法について議論していただきたい。

乳腺内分泌

14.パネルディスカッション
センチネルリンパ節生検の適応および治療法―省略、郭清、術後療法の選択について―

乳癌に対する手術にセンチネルリンパ節生検が導入されて久しいが、、センチネルリンパ節に転移を認める場合、微小転移であれば腋窩リンパ節郭清省略を強く推奨すると本邦の乳癌診療ガイドラインにおいても記載されており、コンセンサスがおおむね得られている。しかしながら、マクロ転移の場合にはコンセンサスが得られているとは言い難い。また、術後の放射線療法、薬物療法をどのように行うか、また、臨床的リンパ節転移陽性乳癌が術前化学療法施行後、臨床的リンパ節転移陰性と診断された場合にセンチネルリンパ節生検の適応になるかについてもコンセンサスは得られていない。これらの課題について今後の方向性を議論していただきたい。

15.パネルディスカッション
乳房再建の再考 ―各再建法の適応と現状、これからの再建について―【Video】

乳房再建術が保険適用となったことを受け、乳癌治療における整容性に関する選択肢が広がった。しかしながら、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生が報告され、出荷停止や代替品の供給不足など課題も多い。乳房温存と乳房再建の術式選択、人工物と自家組織の使い分け、各手法の手術時における工夫、それぞれの長期的な成績などから、これからの時代に行うべき乳房の再建について議論していただきたい。

小児

16.パネルディスカッション
中間位・高位鎖肛術後の生殖機能の実際

直腸肛門奇形術後の遠隔期成績を把握する上で、患児の生殖機能を看過するわけにはゆかない。しかしながら、排便・排尿機能の獲得に主眼を置いた小児期を過ぎ、思春期を迎えた患児の生殖機能を知るには、医療者・患児相互の信頼関係が必要不可欠であり、これまで議論は限定的であった。各施設で直腸肛門奇形術後成人例が蓄積されつつある昨今、他職種を包含した移行期医療の観点から、本問題を集中的に議論する時機が到来したと思われる。本セッションでは、各施設の現状を提示いただき、より専門的見地から泌尿器科・婦人科医師の提言や要望などを含めて、個別領域にとらわれずコンセンサスの形成を目指し議論していただきたい。

救急・外傷

17.パネルディスカッション
Acute Care Surgeonを目指す君へ ―外科と救急のキャリア展開―

Acute Care Surgeryは外科学の一分野であるが、Acute Care Surgeonを目指すためには外傷外科、救急外科、外科集中治療の3つの領域の特殊性を理解しつつ、日々診療を積み重ねる必要がある。本セッションでは、外科医としての技術はもとより、外傷診療におけるマネージメント能力、内因性・外因性を問わず救急疾患に求められる迅速性、周術期の全身管理・臓器不全対策など、Acute Care Surgeonとしてどのようなキャリアを積むべきか教育体制ならびに経験に基づき議論していただきたい。

18.パネルディスカッション
NOMIの治療戦略

Non-occlusive mesenteric ischemia (NOMI)は、未だ至適な診断・治療のアルゴリズムの確立されていない疾患である。解決すべき課題は多岐に渡り、病態生理の詳細な解明、バイオマーカーや画像による早期診断方法の確立、診断的腹腔鏡検査の有用性の検証、血管拡張薬の治療の適応と有効性の検証、腸管切除範囲の決定方法の確立、second look operationの適応などが挙げられる。研究的側面からこれらの課題について討論いただき、診断・治療のアルゴリズムが未確立の中、臨床現場における実際の治療戦略やその成績(短期的生命予後・長期的QOL)についても議論していただきたい。

総論・移植

19.パネルディスカッション
外科周術期管理におけるサルコペニア対策【International】

栄養不良が術後合併症発生のリスク因子であり、周術期の栄養管理が術後合併症を軽減する有力な手段であることはよく知られている。さらに最近は栄養を評価する上で筋肉量の重要性が明らかとなってきており、いわゆるサルコペニアと術後合併症の関連が種々報告されている。そして筋肉量を維持・増加させるには、栄養だけでなく運動の重要性も指摘されている。これらをふまえ、サルコペニアの評価法の普遍化を含め、外科周術期管理をどのようにすべきか、具体的な症例提示とともに議論していただきたい。

20.パネルディスカッション
外科治療における診療ガイドライン出版後の普及、活用と評価

診療ガイドラインにとって、出版は完了ではなく、臨床活用のスタートである。実臨床の課題を基にして、作成、出版、普及、活用、そして臨床側からの評価を経て、改訂作成という絶え間ない流れの中で進化してゆくものと考えられている。本セッションでは、外科治療の観点から診療ガイドラインが臨床においてどの程度役に立っているかについて議論していただきたい。

21.パネルディスカッション
年齢を考慮した鼡径ヘルニアに対するbest approach

本邦では歴史的変遷を経て鼠経ヘルニアの術式としてメッシュプラグ法が広く行われてきた。その中で2018年にHernia Surge Groupより発表された国際ガイドラインではメッシュプラグではなく、リヒテンシュタイン法が推奨されており、本邦においても施行する施設が増加しつつある。近年、内視鏡下に腹腔内あるいは腹膜前腔からアプローチするtransabdominal preperitoneal approach(TAPP)法、totally extraperitoneal approach(TEP)法が開発され、術後疼痛が少ないこともあり急速に普及しつつある。また、小児に対して行われていたlaparoscopic percutaneous extraperitoneal closure(LPEC)法の成人への適応も始まっている。様々なアプローチ法、術式が行われている状況の中で年齢に応じた各施設での工夫、有用性を議論していただきたい。

上部消化管

01.ワークショップ
最新画像技術がもたらす上部消化管癌手術手技のイノベーション

近年、画像技術や映像技術は急速な発展を遂げている。外科の世界に目を向けると、手術のシミュレーションやナビゲーション、さらにはトレーニングにも応用されようとしている。具体的には、ICG蛍光法を用いた再建臓器の血流評価から、プロジェクションマッピングを用いた術野への患者情報の投影まで様々な技術を用いたナビゲーション手術が考案されており、またバーチャルリアリティ技術を用いたトレーニング・コンテンツの開発も進められている。これらの進歩が食道外科・胃外科にどのような革新をもたらすのか。これまで取り組んできた画像技術を応用した上部消化管癌に対する最新の手術について提示するとともに、外科の未来を見据えた提案をしていただきたい。

02.ワークショップ
食道癌術後再発に対する治療成績向上への挑戦

食道癌術後再発症例の予後は一般的に不良である。集学的治療の進歩に伴い、根治もしくは長期生存が得られる症例も珍しくなくなってきた。再発の病態に即して適切な治療方法を選択することが求められるが、現時点では確立した治療戦略はない。手術・放射線療法・化学療法を組み合わせた積極的な集学的治療が治療成績向上の鍵と考えられるが、新たに保険収載された免疫チェックポイント阻害薬も予後改善に寄与することが期待される。食道癌術後再発に対する最善の治療を目指した挑戦的な戦略やその成績とともに、今後の展望を提示していただきたい。

03.ワークショップ
ロボット支援下胃癌手術の現状と克服すべき課題

2018年4月にロボット支援下胃癌手術が保険適用となってから2021年4月で3年が経過する。各施設における臨床導入が進むことにより、実臨床におけるロボット支援下胃癌手術の短期ならびに長期成績が明らかになることが期待される。手術支援ロボットは、安定した繊細な動きと高精細な3次元画像を兼ね備えることにより、精緻なリンパ節郭清を伴う胃切除を可能にするが、一方で臨床上の問題点や手術手技における特有のピットホールなども明らかになりつつある。このセッションでは、ロボット支援下胃癌手術導入の現状とともに更なる発展を遂げるために克服すべき課題について提示していただきたい。

04.ワークショップ
経裂孔的食道胃接合部癌手術における再建法【Video】

本邦では食道胃接合部腺癌の増加に伴い、腹腔鏡での下部食道・噴門側胃切除が増加することが予想される。食道胃接合部癌を対象とした前向き研究では、経裂孔アプローチ群の縫合不全率が11.9%と高率であることが報告されており、安全な高位吻合法について考える必要がある。再建法としては食道残胃吻合やダブルトラクト法などが行われ、食道残胃吻合においては様々な逆流性食道炎を防止する工夫が報告されている。各施設がそれぞれの方針に従い手慣れた吻合を選択しているのが現状であるが、真に安全かつ安定したQOLが得られる再建術式に関し、その方針と有用性、短期および長期成績を供覧し、至適再建法を提示していただきたい。

下部消化管

05.ワークショップ
手術合併症に対する大腸外科医の引き出し ―その予防とリカバリーショット―

臨床で直面する合併症は縫合不全、腸閉塞、出血、肺炎など多岐にわたり、その一部は長期予後にも影響を与えるとされる。手術合併症は外科医にとって古くて新しい問題であり、これを制御すべく検討が重ねられてきたがいまだに解決していない。近年では、周術期管理の適正化が合併症予防に寄与するとの報告があり、また縫合不全や腸管癒着の予防効果を掲げたデバイスや製剤の開発も相次いでいる。合併症回避に向けての新たな方策について、その有効性を裏付けるエビデンスや解決すべき課題について示して頂きたい。また、期せずして発症した合併症に関して、安全性・確実性の観点から適正な対処法とその成績から、参加者に「大腸外科医の引き出し」を提示していただきたい。

06.ワークショップ
ハイリスク症例への大腸手術 ―いかに安全に行うか―

急速な超高齢化社会を迎えている日本では、高齢者や高度の併存疾患を抱える症例に対する手術も増加してきている。手術に伴うさまざまなリスクを抱えた「ハイリスク症例」に対して安全に手術を行っていくためには、個々の症例において全身状態を把握し、併存疾患に応じた予防策を取ることが重要である。アプローチ法についても、通常の開腹手術と気腹操作を伴う手術という選択肢がある。術前のリスク評価法や合併症予防に対する独自の取り組み、さらに周術期管理や術式の選択などを含め、その対策と成果という観点から、ハイリスク症例に対する安全な大腸手術について提示していただきたい。

07.ワークショップ
進行再発大腸癌に対する集学的アプローチの最先端

進行再発大腸癌の治療においては、治療選択肢が多岐にわたり、個別の治療戦略を立てる場合も多い。さまざまな手術に加え、抗がん剤、分子標的薬、免疫調節薬、放射線治療、またステントなどの内視鏡治療も選択肢となり、これらを組み合わせた集学的治療が必要となる。進行再発大腸癌の薬物療法の選択肢が増えたことに伴い大腸癌治療ガイドラインでも数多くのレジメンが推奨されている。一方、NCCNやESMOのガイドラインには薬剤や放射線治療に関して本邦と異なった推奨がなされていることも多く、これらの治療が手術術式や手術成績の異なる日本人にも適応されるべきかは検討の必要がある。これらを踏まえて、新しいコンセプトによる進行再発大腸癌に対する集学的アプローチを提示していただきたい。

08.ワークショップ
下部消化管手術におけるナビゲーション手術の新たな潮流 【Video】

2018年1月にインドシアニングリーン(ICG)による血管及び組織の血流評価に関する公知申請が承認され、ICGの保険適応が拡大された。これにより、従来は臨床研究ベースでの使用に限られていたICG蛍光ナビゲーション手術が実臨床で使用可能となり、安全性、正確性の向上に資する新規手技として期待されている。また、画像処理技術の飛躍的な進歩に伴い、augmented reality(拡張現実)の術中ナビゲーションへの臨床応用も試みられている。本セッションでは、下部消化管疾患領域において行われているナビゲーション手術に関する研究成果・臨床経験をビデオにて供覧するとともに、この領域の新たな方向性を提示していただきたい。

肝胆膵

09.ワークショップ
重症度別にみた急性胆嚢炎に対する治療戦略

NCDデータによると、年間約10万件(約90%が腹腔鏡)行われる胆嚢摘出術の90日死亡率は約0.3%で、特に開腹胆嚢摘出術では約1.4%と極めて高率であった。全身状態・臓器機能から重症と判定された急性胆嚢炎、または壁肥厚やMirizzi症候群などを認める炎症の高度な急性胆嚢炎では、術中・術後の合併症発生率や死亡率が高く、未だ課題が多いと考えられる。そこで、本セッションでは重症度別にみた急性胆嚢炎に対するより安全な治療戦略について提示していただきたい。

10.ワークショップ
転移性肝癌に対する最適な治療戦略ー術前化学療法後の手術デザインー

大腸を原発とする転移性肝癌に対しては化学療法レジメンの革新が続き、さらに分子標的治療薬が加わった結果、薬物療法の奏効率は大きく上昇した。転移性肝癌に対する肝切除については、いくつかの計画的二期的切除などの工夫がなされている。このような転移性肝癌に対する治療戦略は、まさに集学的治療の集大成とも言える時代を迎えている。一方で、薬物療法による肝障害、薬物療法から肝切除までのinterval、早期再発への対応などの問題点も残っている。本セッションでは、大腸癌を中心とした転移性肝癌に対する術前薬物療法を行った後の手術デザインに関する工夫と成績を示した上で、最適な治療戦略は何かを提示していただきたい。

11.ワークショップ
肝内胆管癌の外科治療の現状と課題:成績向上はあるのか?

肝内胆管癌に対する治療は根治的外科切除が基本であるが、リンパ節転移例、肝内転移例では、根治切除後であっても高率に再発・転移をきたし、肝胆膵領域癌の中でも予後不良な疾患の一つである。しかしながら、腫瘍の大きさ、局在などによる肝切除範囲、リンパ節郭清の意義、その郭清範囲など未だ治療方針に一定のコンセンサスが得られていない。本セッションでは、肝内胆管癌の長期成績向上のための手術術式の工夫や、術前・術後化学療法を含めた集学的治療、新規治療法の導入などの取り組みとその治療成績を供覧するとともに、肝内胆管癌の外科治療における課題をさまざまな視点から提示していただきたい。

12.ワークショップ
進行肝細胞癌に対する集学的治療の意義―薬物療法は手術を変えたか―

肝炎ウイルス治療の進歩から、non-B, non-C状態からの肝細胞癌症例が増加するとともに進行例が増えてきている。近年、レンバチニブやラムシルマブなどさまざまな分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が開発され、動注化学療法、動注化学塞栓療法も含めた薬物療法の進歩はめざましい。それとともに、術前術後の補助薬物療法の経験、あるいは当初切除不能とされた症例に対するconversion surgeryも経験されるようになってきたが、その意義についてはいまだ明らかでない。本ワークショップでは、進行肝細胞癌に対する集学的治療の成績に基づいた手術療法の位置づけについて提示していただきたい。

心臓・血管

13.ワークショップ
重症虚血肢に対する集学的治療

日本の高齢者人口の増加は、動脈硬化症患者の増加を引き起こしている。下肢閉塞性動脈硬化症は、心筋梗塞・脳梗塞のように短時間で致命的になる疾患ではないためにその認知度は高くないが、「歩けない」ことが与える患者への負担、社会や医療費に与える影響は長期にわたるため、逆に治療意義としては極めて大きくなっている。自分の足で歩ける、という状態の重要性は、医療のみではなく、福祉や介護の現場でも認識されている。動脈硬化による下肢虚血が重症化した場合の治療法、大切断を防ぐために行うバイパス手術、カテーテル手術、血管再生治療を中心に、最新の治療について提示していただきたい。

14.ワークショップ
Minimally Invasive Cardiac Surgeryの最前線【Video】

通常の心臓外科手術成績の向上を背景とし、更なる低侵襲化を目指し胸骨正中切開を回避するMinimally Invasive Cardiac Surgery (MICS)が、弁膜症を中心とした心臓手術において普及してきている。また、診療報酬上も2018年から胸腔鏡下僧帽弁手術やロボット支援僧帽弁手術が保険収載され、これらの手術を導入する施設が増加している。しかしながら、その手術成績、安全性や経済性などの問題点も指摘されている。このビデオワークショップでは、今後MICS手術を安全に普及させるために行っている最新のMICS手術(ロボット支援心臓手術も含む)を供覧いただくとともに、安全性や成績向上のための工夫や今後の課題、目指すべき方向性について提示していただきたい。

呼吸器

15.ワークショップ
薬物療法の発展は肺がん外科を変えたか?

分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場は、進行非小細胞肺癌の治療成績を飛躍的に改善した。現時点ではこれら薬剤を用いた術前導入療法や術後補助療法は保険適用ではないものの、多くの周術期療法の臨床試験が進行中であり、従来の外科治療成績を飛躍的に向上させるだけではなく、治療適応のパラダイムを変える可能性を秘めている。本セッションでは、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療後のサルベージ手術や臨床研究としての手術、あるいは再発時治療の成績などを提示していただきたい。

16.ワークショップ
積極的縮小手術の長期成績

小型肺癌に対する積極的縮小手術について臨床試験が開始されて10年が経過し、その最終結果が待たれるところであるが、実臨床ではすでにその結果を待たずに積極的縮小手術を導入している施設が見られるのが現状である。最近では積極的縮小手術後、遠隔期の再発や再発後の再手術に関する報告も見られるようになっている。本セッションでは積極的縮小手術症例の長期成績に関して、予後、再発率、再発形式、再発の多い部位、局所再発例に対する再手術施行率およびその治療方法と効果、二次癌の発生頻度などの問題点を供覧いただき、積極的縮小手術を施行した症例に対する術後サーベイランスの方法、適応とすべき症例の選択方法を提示していただきたい。

乳腺内分泌

17.ワークショップ
甲状腺未分化癌に対する集学的治療

甲状腺未分化癌は稀な疾患であるが、薬物療法、手術療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っても、急速に病状が悪化し、不幸な転帰をとるものが多い。しかし、甲状腺未分化癌コンソーシアムによる臨床データの集積や、分子標的治療薬レンバチニブの登場、術前治療の実施により、甲状腺未分化癌に対する集学的治療の適応、使用薬剤、その順序に変化が起こってきた。また、未分化癌を対象とした他の分子標的治療薬や免疫療法の臨床試験も着々と進行中である。新たな治療戦略の構築に向けて、甲状腺未分化癌の集学的治療の現状と課題について提示していただきたい。

18.ワークショップ
Stage IIIC乳癌への取り組み ―内胸リンパ節、鎖骨上リンパ節をどう取り扱うか―

近年の治療法の進歩により、乳癌の治療成績は向上している。検診の普及で早期に発見される症例がある一方で、局所進行の状態で診断される症例も少なからず存在する。そのような症例に対しては薬物療法や放射線治療を含めた集学的治療が必須であるが、用いる薬剤、術式の選択やタイミングについては施設間でも方針に差があるのが実情である。鎖骨上リンパ節転移や内胸リンパ節転移の取り扱いを含め、ステージIIIC乳癌に対する治療戦略について論じていただきたい。

小児

19.ワークショップ
小児領域における他診療科との合同手術

小児外科疾患に対する治療は多様化しており、対象患者の病態に応じて、さまざまな診療科との連携が必要な場合がある。特に高度な治療を要する場合は、その臓器や手技に精通した診療科との協働が不可避である。例えば、外傷などに伴う臓器出血でのIVR (interventional radiology)では放射線科医と、移植を含む肝臓などの手術などでは消化器外科医と、生殖器系手術における産婦人科医や泌尿器科医との連携など、他診療科との合同での治療を経験することも多いと思われる。患者の予後やQOLの向上を考える上で、他診療科との連携と協働が必要な合同手術は今後さらに小児外科医にとって重要になってくると考えられ、最新の知見を提示していただきたい。

救急・外傷

20.ワークショップ
Acute Care Surgery/Critical Careの最前線 ―基礎および臨床―

Acute Care Surgery/Critical Care領域の診療の質や治療成績向上には、活発な研究活動が欠かせない。本領域では、外傷・救急外科・外科集中治療などの臨床研究に限らず、基礎研究として出血・外傷・手術・感染など各種侵襲に対する生体免疫反応、血液凝固/線溶障害、敗血症を代表とする種々の臓器障害、およびそれらに対する人工臓器補助療法など多岐に及ぶ課題が存在する。本セッションでは、これらAcute Care Surgery/Critical Careの領域に関連する基礎/臨床研究課題に対する先進的な研究成果について提示していただきたい。

総論・移植

21.ワークショップ
周術期感染予防の最前線

外科手術後の感染症は手術部位感染(SSI)と遠隔感染に大別されるが、いずれも患者のQOLを大きく低下させ、入院期間の延長、医療費の増大、死亡率の増加などをもたらす。近年の高齢者人口の増加により、高齢者に対する手術も確実に増加してきており、術後肺炎などの増加が危惧されている。また、癌の集学的治療の進歩によって、化学療法や放射線療法後に外科手術が行われる症例も増加しており、高率に術後感染症を発症するリスクが危惧される。このような観点から、最新の周術期感染予防および治療について提示していただきたい。

上部消化管

01.ディベート
食道癌の術式を「再考」する ―胸管切除 vs 胸管非切除―

食道癌根治切除術における胸管合併切除の是非については、リンパ節郭清の精度という観点から議論が交わされてきた。胸管合併切除の予後改善効果に関する報告は散見されるが結果は多種多様であり、現状ではcontroversialと判断せざるを得ない。一方で胸管合併切除による循環動態を中心とした全身への影響は少なくなく、侵襲の大きい食道癌手術の周術期における影響も無視できない。さらには、長期的なQOLに関しての評価、検討の報告もなされていない。このセッションでは、食道癌手術における胸管合併切除に関する治療方針および成績を提示していただき、具体的な手術手技の要点なども交えて胸管合併切除の是非について「再考」し、討論していただきたい。

02.ディベート
審査腹腔鏡は胃癌の治療成績に影響するか ―審査腹腔鏡 必要 vs 不要―

本邦の胃癌治療ガイドライン(第5版)において、① 4型胃癌、② 腫瘍径8 cm以上の大型3型胃癌、③ 術前化学療法の考慮対象となる高度リンパ節転移症例に対して審査腹腔鏡を行うことが「弱く推奨」されている。しかしながら上記提言の根拠となる文献は審査腹腔鏡の診断率に関する報告のみであり、その結果が長期予後に与える影響はいまだ明らかにされていない。審査腹腔鏡の結果に基づく治療方針の決定は、胃癌の治療成績を改善しているのか。このセッションでは審査腹腔鏡による長期予後の改善効果をエンドポイントに定めて、その必要性に関し討論していただきたい。

下部消化管

03.ディベート
進行直腸癌:術前CRTは「必要」 vs 「不要」

進行直腸癌の外科治療では、根治性の確保とともに排尿・排便・性機能などの機能温存を両立させることが求められている。欧米では術前化学放射療法(CRT)と直腸間膜全切除(TME)が行われてきたのに対して、本邦ではTME+側方郭清が推奨され、外科治療を中心に行われてきた。また、本邦の大腸癌治療ガイドラインでは術前CRTの推奨レベルは中等度となっている。しかし、最近の実臨床において欧米に準じて術前CRTを導入している施設も増加している。局所再発、長期成績、排尿・排便・性機能などの機能温存、側方郭清の適応などの面から、術前CRTがもたらす長所や短所を、それぞれの立場から討論していただきたい。

04.ディベート
閉塞性大腸癌:「ステント治療」 vs 「従来治療(経肛門イレウス管・ストマ)」

閉塞性大腸癌に対する治療戦略として、従来は経肛門的イレウス管による減圧や人工肛門造設が行われてきたが、近年ではbridge to surgery (BTS)や症状緩和を目的とした大腸ステント治療が普及しつつある。BTSを企図した大腸ステント治療は緊急手術を回避して待機的手術を可能とするため、術後合併症の低減や一期的吻合の成功率の観点からの利点が報告されている。一方、ステント留置による穿孔・穿通やそれに伴う長期予後の低下が最も懸念されている。現時点ではいずれの治療法を、いかなる適応基準に基づいて選択すべきか、“ステント治療派”、“従来治療派”の立場から治療に関連する合併症、QOLや長期予後などの根拠に基づき、それぞれの治療の優越性を討論していただきたい。

肝胆膵

05.ディベート
肝門部領域胆管癌に対する肝移植 ―for vs against―

肝門部領域胆管癌の長期予後改善のためには外科切除断端癌陰性の治癒切除を成し得ることが重要であるが、欧米では1990年代から肝門部領域胆管癌に対して肝外胆管を含めた全肝切除後に肝移植を行う試みがなされている。肝移植例における当初の成績は予想以上に悪く、癌の再発が高率に認められ、肝門部領域胆管癌に対しての肝移植の適応に疑問が投げかけられた。しかしながら近年、Mayoプロトコールに従って症例を厳格に選択し、移植前に放射線化学療法を行うことにより術後成績の改善を認め、肝移植後の高い5年生存率が報告されている。現在、我が国において肝門部領域胆管癌に対しての肝移植の適応はないが、このセッションでは肝門部領域胆管癌における肝移植の意義・適応についてあり/なしの立場から討論していただきたい。

06.ディベート
1cm以下G1膵神経内分泌腫瘍に対する治療戦略 ―observation vs resection―

神経内分泌腫瘍(NEN)に関するWHO分類の2017年改訂に合わせて本邦でも膵・消化管NEN診療ガイドライン第2版が2019年に出され、非機能性膵NENは診断がついた時点で切除することが推奨されている。一方、アメリカのNCCN最新ガイドラインでは1cm未満、あるいはヨーロッパのENETSコンセンサスガイドラインでは2cm未満の非機能性膵NENについて、条件付きで経過観察するオプションが容認されている。本セッションでは、1cm以下のG1膵NENの治療戦略について、腫瘍の局在や主膵管との関係、術式などを考慮した上で、observationの立場とresectionの立場からその成績に基づき討論していただきたい。

心臓・血管

07.ディベート
慢性B型解離性大動脈瘤に対する治療 ―オープンからステントグラフトまで―

急性B型大動脈解離の治療方針は、経皮ステントグラフト内挿術の登場とINSTEAD XL trialなどのランダム化比較試験の結果を背景とし、合併症を伴わない症例に対しても条件によりTEVARが適応され、胸部~腹部大動脈のリモデリングを図り慢性期の拡大手術を避ける予防的手術が推奨されている。一方、慢性期に瘤化したB型解離=解離性大動脈瘤 の治療はTEVARによるエントリー閉鎖の効果に一定の見解はなく、オープン手術、debranching TEVAR、fenestrated あるいは branched stentgraftによるTEVARや、開存偽腔に対するcandy plug法など、治療法、手術時期、一期的・二期的かなど、治療戦略も施設によりさまざまである。このディベートでは各治療戦略について遠隔成績に基づき討論いただきたい。

呼吸器

08.ディベート
肺癌根治術におけるアプローチ法の優劣:特にリンパ節郭清について ―RATS, multiple port VATS, single port VATS―

本邦における肺癌に対する低侵襲手術は、90年代から多孔式の胸腔鏡手術(multiport VATS)が開始され、現在では多くの施設で取り入れられ成熟した術式となっている。近年では単孔式(Uniport VATS)、さらにロボット支援手術(RATS)が加わり、導入する施設も増加し、3つのアプローチが混在する状態である。しかし、各アプローチの適応や特徴、そして今後の方向性は未だ明確ではない。肺癌手術としては、低侵襲性だけでなく精度が要求され、アプローチ法は葉切除はもちろんそのリンパ節郭清に対しても影響を与えうる。本セッションではリンパ節郭清を主眼としてMultiport VATS、Uniport VATS、RATSにおける工夫をビデオで供覧のうえ、各術式の長所・短所、手術のコツについて討論していただきたい。

乳腺内分泌

09.ディベート
転移性乳癌の原発切除の是非について―治療法および切除のタイミング―

乳癌は浸潤すると顕微鏡レベルの転移を起こしている可能性が高いと考え、多くの症例に薬物療法を施行するが、肉眼的に転移が明らかな病期IVと顕微鏡的転移の可能性を想定している病期I~ IIIでは、治療内容や治療期間が大いに異なる。原発巣の手術に関しても病期IVではその目的を異にしており、完治を望みにくいため症状緩和目的の治療となる。しかしながら、画像診断能の向上や治療成績の向上と共に、肉眼的な転移と顕微鏡的な転移の境目は変わっていく可能性があり、また症状緩和に手術が貢献する可能性もある。切除範囲やタイミングを含め、病期IVの手術療法の意義に関して討論していただきたい。

小児

10.ディベート
胆道閉鎖症に対する術式 ―開腹 vs 腹腔鏡―

胆道閉鎖症手術にも腹腔鏡手術が導入され、条件付きながら2018年より保険収載された。本手術では、局所所見の収集、胆道造影による病型診断、肝門部組織塊切除、肝門部空腸吻合といったcritical pointがあるが、腹腔鏡手術は開腹手術と同様なqualityでこれに対応し得るであろうか。また、徐々に両者の短期・中期成績が比較されつつあるが、未だ評価に関してコンセンサスは得られていない。腹腔鏡手術の長期成績は未知数であり、腹腔鏡手術の確固とした優位性をエビデンスで示す必要がある。現時点で、開腹・腹腔鏡手術の各々の立場でstrong pointとそれぞれの術式に関する疑問を明示し、論点を整理しつつ討論していただきたい。

総論・移植

11.ディベート
腎症を伴わない1型糖尿病への根治療法 ―膵臓移植 vs 膵島移植―

腎症を伴わない重症1型糖尿病の根治療法として、膵単独移植や腎移植後膵移植が行われているが、1型糖尿病再発や拒絶反応など長期成績は良好とはいえない。一方膵島移植は、免疫抑制療法の改良等に伴いその成績が向上しており、欧米においては一人のドナーからの移植でインスリンフリーが可能となっている。本邦においても膵島移植が保険適応となり、今後症例が増加するものと予想される。本セッションでは腎症を伴わない1型糖尿病の根治治療戦略として、膵臓移植、膵島移植の立場からエビデンスに基づき討論していただきたい。

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