第116回日本外科学会定期学術集会

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演題募集(公募)

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特別企画

1.外科医の待遇―明るい未来のために―

昨今の社会的背景の変化の中で外科医の労働環境が悪化し、大きな社会問題となった。日本外科学会として、平成19年度以降、3度にわたってアンケート調査を行い、外科医の労働環境の厳しさを明らかにし、その改善のため種々の取り組みを行ってきた。診療報酬の適正化やメディカルスタッフの充実に向けての取り組み、その他社会や行政に向けての様々な提言などがこれにあたるが、これらの取り組みは功を奏しているのであろうか?この間、日本医療安全調査機構の設立や特定行為に係る看護師の研修制度の創設などもあり、状況は徐々に好転しつつあるものの、実感としての満足度は高くなく、さらなる対応が必要と思われる。待遇改善に向けての取り組みとその成果、展望などを示していただきたい。

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6.女性外科医の活躍推進―ダイバーシティ時代を迎えて―

女性外科医が継続して働く環境を整えることは、外科医全体のワークライフバランスを改善することに繋がるという意識が広まりつつある。女性外科医が継続して活躍していくための多様な勤務形態、ワークシェアリングなどの具体的な取り組み、女性外科医の活躍を推進し、キャリア形成させるためにどのようなことが必要かを討論したい。また、ダイバーシティは社会全体をタフにする重要な要素であり、多民族国家においては大いに役立っているものであるが、日本には不足している要素である。男女共同参画により日本社会のダーバーシティを高め、外科医界全体の活性化に役立っている事象を紹介していただきたい。

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新しい外科学の価値の創造

1.化学療法と外科(パネルディスカッション形式)

分子標的薬剤や免疫チェックポイント阻害剤などの新規薬剤の登場により、化学療法の成績が向上している。また、リキッドバイオプシーなど血液中の遺伝子検査により、最適ながん治療薬が選択できる可能性も期待されている。切除不能癌に対しても、化学療法後に手術可能となる症例も増えており、従来の化学療法と外科の守備範囲が変わりつつある。adjuvantでの化学療法や、conversionでの化学療法、最適な治療薬の選択など、集学的治療における化学療法と外科の価値について様々なデータをもとに討論していただきたい。手術の適応やタイミング、術式、バイオマーカーの活用など、様々な観点から治療戦略を構築し、今後の展開に繋げていただきたい。

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2.再生医療と外科(シンポジウム形式)

手術手技の進歩は疾患に対する治療効果を損なわずに、生体に対する侵襲を少なくすることを可能としたが、切除による臓器機能の喪失を伴うという点において、我々はまだ“引き算の医療”から脱せずにいる。 近年注目される自己組織細胞やiPS細胞を用いた再生医療は、喪失した臓器機能を補完する“足し算”を可能にし、外科学における画期的な転換点となると思われる。 2013年11月に成立した再生医療新法や改正薬事法などの法整備によって、さらなる発展が期待されるが、実臨床に至るには様々なハードルがあると考えられる。 この発展しつつある医療の基礎研究から臨床応用まで様々な段階における最新の知見について報告し、今後の展望や課題について広く議論していただきたい。

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3.ロボット手術(シンポジウム形式)

内視鏡手術支援ロボットは、本国にすでに200台導入されており、ロボット支援手術は、低侵襲手術の新分野として注目を浴びている。しかし、前立腺手術以外は、あらゆる領域で未だ保険収載されておらず、手術件数は劇的には増加していないのが現状である。そこで、今後は保険収載を見据え、ロボット支援手術の費用対効果を検討していかなければならない。このような背景において、各施設での、ロボット支援手術の安全な導入、手術手技の工夫、有用性の検証などについて、討議していただきたい。

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4.遺伝子治療と外科(パネルディスカッション形式)

遺伝子治療は、1990年代からの地道な努力がようやく実を結び、多様な疾患に対して革新的治療となり得る新時代を迎えている。すなわち、単遺伝子の変異や欠損に起因する疾患に対する治療の成功にとどまらず、がんに対して著明な臨床的効果を示すものが出現すると共に、iPS細胞の利用を含め再生医療への臨床応用も急速に進展している。よって、ごく近い将来には、この遺伝子治療という手法が標準治療化される可能性が高いと考えられ、外科とも様々な形の関係性を持つようになると予想される。本セッションでは、多岐にわたる遺伝子治療の最前線を紹介することにより、これから実臨床の場で外科の果たすべき役割について考える一助としたい。

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シンポジウム

1.肝外胆管癌治療における至適術式選択

肝外胆管癌治療では、肝臓側・膵臓側進展範囲ならびに脈管浸潤程度に応じて多様な術式選択が行われるが、術前画像による正確な進展度診断は必ずしも容易ではなく、R1手術に終わる症例も多い。また、HPDや動脈切除・再建を伴う拡大肝切除に関しては、術後合併症発生率の高さや長期成績が不良な点も指摘され、これらの術式選択については未だ意見が分かれる。本シンポジウムでは、各施設における術前進展度診断に応じた術式選択の実際に加え、HPDならびに動脈切除・再建を伴う拡大肝切除の適応等、肝外胆管癌治療における至適術式選択に関わる諸問題について、短期・長期成績の視点から論じていただきたい。

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2.各臓器移植の課題と将来

2010年7月に臓器移植法が改正されて以来、脳死ドナーはゆっくり増加しつつある。しかしドナーの数は依然少なく、わが国の特有の問題として心臓以外の臓器は生体移植に大きく依存している。また、各臓器の移植適応となる疾患の自然予後の違いが明らかになるにつれて、待機優先度の最適化をそのようにするかが問題となっている。小児においてはドナーが極めて限られるために臓器ごとに様々に工夫して対処している。ドナーが少ないために多臓器同時移植はかなり制限されているが、これに関する現状の十分な情報共有が重要である。今後、ドナー数の増加に向けた努力を続けることは論を俟たないが、移植代替治療の研究と導入の展望についても発表していただきたい。

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3.中長期成績から見た進行胃癌に対する腹腔鏡手術の展開

Stage I 胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除は、安全性を示すエビデンスが示され、予後においても遜色ないと考える施設が多く、実施率も高い。StageII以上の胃癌に対する腹腔鏡手術の実施について意見は分かれる。かなり進んだ胃癌にも導入している技術レベルの高い施設もある。これらの施設での腹腔鏡下胃切除術の中・長期成績を発表していただき、各施設での腫瘍の取り扱いや工夫、進行胃癌に対する腹腔鏡手術の長所・短所について論じていただきたい。一方で、開腹手術のHigh volumeセンターからは、進行胃癌に求められる中長期成績と腹腔鏡で行う際の問題点・課題を明確にしていただき、その解決策についても建設的な立場からアドバイスとして論じていただきたい。

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4.食道癌における高難度手術:コツと技【Video】

食道は解剖学的に気道、大血管、神経に隣接しており標準的な食道癌手術であっても他の消化管癌手術より難易度が高い。食道癌の病変が頸部食道に及ぶ場合や反回神経、気道や大血管に浸潤が否定できない場合などには、手術の難易度はさらに高くなる。また、根治的化学放射線治療後のサルベージ手術や再建臓器として胃が利用できない場合などでも手術の難易度は高まる。食道癌手術における様々な困難な状況下での高難度の切除や再建方法についてビデオで発表していただきたい。

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5.重症心不全の戦略的外科治療【International】

内科的治療抵抗性の重症心不全の予後は不良である。心臓移植は最も効果的な治療法とされてきたが、深刻なドナー不足のため極めて限られた患者にしか恩恵を与えられない。左室補助人工心臓は定常流型埋め込み型デバイスの登場により治療成績向上が得られ、心臓移植へのつなぎのみでなく、永久使用としてもその有用性が増しているが、適応に関しては依然として議論すべき点が多い。左室形成術や僧帽弁手術の適応は限定されてきていたが、経皮的デバイスの登場により再び脚光を浴びつつある。現時点での各治療法の成績を基に、これらをいかに適応し重症心不全治療の成績を向上させていくか議論していただきたい。

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6.肝胆膵高難度手術に対する腹腔鏡手術のあり方と将来展望

肝胆膵領域の腹腔鏡手術は2010年以降、肝部分切除と外側区域切除、膵体尾部切除などが保険適応となり近年急速に普及している。しかし、昨今、高難度手術への無理な適応拡大による不幸な事例から、安全性や倫理面で問題が指摘されている。もとより肝胆膵手術は、大量出血や致命的合併症のリスクが高く、内視鏡手術では、術者の技術、手術難易度、適応を認識したうえでの安全性と根治性の両面で、より特段の配慮が必要である。外科系基盤学会として本シンポジウムでは、各施設における開腹手術も含めた腹腔鏡手術のラーニングカーブを加味した修練、安全性と倫理的な面も含めた透明性を目的とした登録システムの確立、そして長所や短所も含めたそのあり方を様々な角度から検討し、今後の方向性について議論していただきたい。

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7.重症急性膵炎の治療戦略

重症急性膵炎の治療は、保存的集中治療が第一選択であり、早期手術は可及的に回避すべきとされている。感染性膵壊死または感染性walled-off necrosis(WON)は外科的治療の対象となるが、近年、より低侵襲のドレナージを最初に行うstep-up approachや内視鏡的ドレナージが急速に普及し、外科的手技も後腹膜アプローチやvideoscope補助によるネクロセクトミーが行われている。一方、予後不良のabdominal compartment syndrome合併に対しては外科的減圧術も考慮される。本シンポジウムではこうした背景を踏まえて重症急性膵炎の治療戦略の最先端を討議していただきたい。

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8.進行下部直腸癌に対する集学的治療の進歩【International】

進行直腸癌では、局所再発、肝・肺転移、側方リンパ節転移など術後再発の問題が多い。そのため手術療法に加えて放射線や化学療法などを駆使した集学的治療の試みがなされている。特に術前の化学療法(+分子標的治療)では、この分野の進歩から多くのレジメが試されている。また集学的治療による肛門温存・肛門機能、および性・排尿機能への影響もQOLの観点からは重要な評価項目である。本シンポジウムでは、進行下部直腸癌に対する有望な集学的治療法を提示し短期・長期成績も踏まえ、現状と展望について討論していただきたい。

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9.低侵襲心臓手術の是非―second waveは本物か―【International】

1990年代に低侵襲心臓手術(MICS)の大きな波が訪れた。今回、右小切開僧帽弁手術をきっかけに、MICSの新たな大きな流れが押し寄せている。呼吸器外科領域の胸腔鏡支援下手術が確立されていたこともあり、内視鏡やMICS用手術器具などがスムーズに導入され、急速に定型化した手術が発信されてきた。胸骨を切らない小さな傷は、美容的効果以外にも早期リハビリ開始や、早期回復が期待され、また、患者の満足度も高いことが実感される。しかし、新規手術であり、MICSにおける心停止時間は有意に長いことが一般的で、また多くの特徴的な合併症なども報告されている。MICS手術は患者及び外科医にとって強力な魅力を放っているが、手術の質の低下や合併症などが危惧され、その有効性や卓越性について十分な議論が必要である。

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10.センチネルリンパ節生検の現状と展望【International】

1990年代に開発された乳癌におけるセンチネルリンパ節生検は、それまで標準治療であった腋窩リンパ節郭清術(郭清)を半減させた。最近では、センチネルリンパ節転移陽性乳癌における非郭清も拡大しつつある。しかし、局所制御が不十分であることが、生命予後に影響する場合もある。そこで、センチネルリンパ節転移陽性乳癌における非郭清の適応、非郭清時の局所制御法、術前薬物療法におけるセンチネルリンパ節生検による非郭清の妥当性、センチネルリンパ節生検を超える微小リンパ節転移診断法、術中リンパ節転移診断の是非など、今日までの知見を踏まえて明日を展望していただきたい。

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11.先天性食道閉鎖症に対する長期予後に基づいた治療戦略【International】

先天性食道閉鎖症の術後の生存率は、この半世紀で劇的に改善し、今日では重症心大血管奇形や染色体異常を合併しない症例のほとんどが救命可能になった。その一方で、術後晩期の問題がトランジションとして浮き彫りにされつつある。本シンポジウムでは、食道閉鎖症術後の晩期の問題に焦点をあて、再建術式による長期成績の比較、多発合併奇形症例やlong gap症例においてintact survivalならびに満足できる長期の機能予後を獲得するための手術手技、トランジション医療の進め方などを討議したい。

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12.成人期に至った先天性疾患治療の現状と課題

先天性疾患に対する外科治療成績の向上とともに、原疾患自体が治癒に至らずに持続したり、成長期である小児期に施行した手術が思春期さらには成人期を迎えて新たな問題点や病態を呈してくることがわかってきている。こうした疾患の診療にあたっては、小児期医療から個々の患者に相応しい成人期医療への円滑な移行が重要な課題となる。その疾患に特有な病態や経過を理解するだけでなく、患者の社会的背景を考慮して、関連各科との連携や成人診療科の受け入れ態勢などを整える必要がある。このような点を踏まえて、成人期に至った先天性疾患治療の現状と課題を明らかにするとともに、患者や家族を支える取り組みについても紹介していただきたい。

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13.肝門部胆管癌の画像診断の新展開;術式選択の根拠と課題

画像診断の進歩により、肝門部胆管癌の治癒切除率は向上しつつあるものの未だにR1切除に終わる症例は稀ではなく、新しいmodalityの導入が試みられてきた。本疾患の術式選択にあたっては腫瘍の水平・垂直進展診断、腫瘍の近傍を走行する脈管の解剖学的変位の把握、血管合併切除例における切除範囲の決定まで画像診断の役割は多岐にわたる。さらに、近年では3D画像によるいわゆる手術シミュレーションや術中ナビゲーションまで幅広く展開しつつある。本シンポジウムでは、多くの切除例を経験されたエキスパートによる最新の画像診断の利用法を提示していただき、その導入による治療成績の変化と残された課題について論じていただきたい。

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14.小型肺癌に対する外科治療戦略

「如何に小型であっても肺葉切除が推奨される」
1995年のLCSGによる無作為比較試験によれば腫瘍径によらず肺葉切除が生存、局所制御の上で縮小切除を上回った。しかしこの結果は、1980年代の症例による研究結果である。その後CTは、refineされ、MRI、そしてPETが出現し、術前のstage migrationは減少した。さらに薄切胸部CTを用いれば術前に病理学的な予後因子が予測される時代となった。これをうけてJCOG0802としてすでに肺癌に対する無作為比較試験が行われ、すでに症例集積は完了した。縮小切除の妥当性(腫瘍学的根治度、呼吸機能温存などの低侵襲性など)に関しては本研究によりある一定の見解が得られることが期待されているが、現時点でのbest managementを議論することも重要である。各施設の治療戦略を議論していただきたい。

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15.ゲノム研究が外科診療にもたらしたもの

近年、ゲノム解析技術の飛躍的な向上に伴い、生命科学の分野におけるゲノム研究の進歩が著しい。医学においてもゲノム研究は疾患病態の解明に迫るとともに、今日ではゲノム解析結果が、さまざまな疾患の診断・治療に応用され、ゲノム医療が臨床の現場に浸透しつつある。このような状況のなか、外科学分野においても、ゲノム研究の知見を応用した新たな診療の確立は、患者に対するより良い外科治療の提供、さらには外科学全体の発展のためにも重要な課題である。本シンポジウムでは、ゲノム解析を取り入れた新しい外科診療の可能性について、各施設における取り組みあるいは今後の展望について討論していただきたい。

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パネルディスカッション

1.膵癌に対するArtery first approach【Video/International】

浸潤性膵管癌の有効な治療はR0手術と補助療法(化学療法・放射線療法)の組み合わせである。近年、R0切除率向上や術中出血量軽減を目的に、主要動脈先行アプローチ・処理による術式の工夫がなされている。すなわち、膵頭部癌に対するSMA先行アプローチ(mesenteric approachなど)やIPDA(下膵十二指腸動脈)先行処理膵頭十二指腸切除術、PDSAR(脾動脈合併膵頭十二指腸切除術)、あるいは膵体部癌に対するDPCAR(腹腔動脈合併尾側膵切除術)やRAMPS(Radical antegrade modular pancreatosplenectomy)などが開発され、浸潤性膵管癌の予後向上に寄与している。そこで、本パネルディスカッションでは、浸潤性膵管癌に対する各術式における動脈先行アプローチ・処理の手技と治療成績について討論していただきたい。

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2.側方リンパ節転移を伴う直腸癌に対する治療戦略

直腸癌では、側方リンパ節に転移が見られても、郭清により局所再発率の抑制や予後の向上が期待できる。しかし正確な転移診断は難しく、またその治療成績も決して満足のいくものではない。郭清手技では、開腹手術と腹腔鏡下手術、アプローチの方法、神経温存や血管合併切除など、QOLの維持とともに根治性を高める工夫が行われている。また抗がん剤の進歩により、術前術後の化学療法、化学放射線療法などで、治療成績の向上が期待できるようになった。本パネルディスカッションでは、側方リンパ節転移を伴う直腸癌に対する治療戦略を提示していただき、その治療成績や将来展望などについて討論していただきたい。

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3.慢性大動脈解離に対する治療最前線

INSTEAD-XL trialの結果を踏まえ、B型解離に対するTEVARが普及しつつある中で、大動脈解離の時間的分類も、発症2週間以降を慢性期とする従来の定義から、1~3か月程度までを亜急性期として分離する傾向にある。しかし、大動脈解離に対するTEVARの至適病態・時期・方法や、慢性拡大例における位置づけは十分明らかではなく、内科的治療、TEVAR、開胸手術をいかに選択、あるいは相補的に用いるべきか、より知識を高める必要が生じている。本パネルディスカッションでは、亜急性期を含む慢性B型解離(A型解離に対する中枢側大動脈再建術後を含む)に対する各治療法の利点と限界を見定め、どのような患者に、いつ、どの治療法をいかに施行するべきかについて議論を深めていただきたい。

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4.局所進行性甲状腺癌の手術:根治性とQOL維持のバランス

甲状腺癌は、自覚症状がほとんど無いため、局所進行癌として発見されるケースも稀ではない。一方、画像診断の進歩や検診の発達により気管、食道、血管合併切除再建等、高度なテクニックとハイリスク術後管理を要する広範囲切除例に遭遇する機会は減少した。高齢者が多いことにも配慮すると安全性を担保しつつ、根治性とQOLを考慮した術式がますます重要となっている。通常手術で遭遇する気管表層或いは反回神経浸潤への対策、進行度に応じた術式、等論じていただきたい。また新規分子標的薬の登場により、再発例を含めた根治切除不能RI抵抗性甲状腺癌の治療方針や癌緊急を念頭に置いたそれらの手術適応とタイミングについても言及していただきたい。

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5.転移性肺腫瘍の外科治療―up to date―

転移性肺腫瘍は、呼吸器外科手術の対象疾患としては、肺癌・気胸に次いで多く、手術症例数も増加の一途である。対象となる原発腫瘍としては、大腸癌が最も多いが、多種多様な腫瘍があり、各癌腫ごとの特質も理解する必要がある。さらに近年は、新規抗癌剤や分子標的薬剤の出現、PET-や高分解能CTなど画像診断の進歩、術式としてはVATSや区域切除の普及など、多くの要素から以前とは適応や成績が変わってきていると考えられる。本パネルディスカッションでは、転移性肺腫瘍への外科治療の最新の知見を提示いただき、現状のコンセンサスと今後の課題、展望を討論していただきたい。

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6.小児腸管不全に対する最新治療戦略

小児腸管不全症は、短腸症候群と腸管蠕動異常に起因する疾患群に大別される。いずれも小児期に成長障害を引き起こし患児のQOLは著しく低下する。本症に対する治療戦略は、小腸移植が脚光を浴びる一方で、腸管リハビリテーション療法の進歩や腸管延長術の開発なども出現し、それらの優劣が議論されるようになった。またiPS細胞などを用いた腸管や腸管神経細胞の再生医療も注目されている。本パネルディスカッションでは、これらの治療戦略の現状を報告していただき、今後の小児腸管不全症治療の在り方を議論していただきたい。

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7.進行肝内胆管癌(ICC)の治療方針と成績

これまで肝内胆管癌の治療に関しては、さまざまな議論がされてきたが、予後向上のブレークスルーには至らず、治療方針のコンセンサスは確立されていない。特にリンパ節転移は強力な予後因子でsystemic diseaseとも捉えられることや、肝転移再発が高頻度であることなど未解決の課題も多い。本パネルディスカッションでは、これらの課題における基礎的・臨床的エビデンスに基づいて、治療前の腫瘍悪性度診断や新たなステージ分類、リンパ節郭清の要否や程度、化学療法の組み入れ方、さらには新たな治療法研究まで精力的で革新的な取り組みを討論して、治療アルゴリズム提唱の一助としたい。

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8.解剖学的変異症例に対する高難度肝胆膵手術:コツと技【Video】

肝胆膵領域の高難度手術は、複雑な脈管構築に加え、治癒切除と機能温存の二律背反のピンポイントな術式が求められる。さらにこの領域は、動脈系・胆管系のバリエーションに加え、門脈系・肝静脈系の変異もしばしば経験する。近年画像診断技術・シミュレーション解析の発展に伴い、術前にこれらの解剖学的変異を診断し、それに対する手術のストラテジー構築が可能となった。本パネルディスカッションでは、解剖学的変異をともなう症例に対し高難度の肝胆膵手術例(肝臓切除・膵頭十二指腸切除・DP-CAR・肝門部胆管癌手術・肝移植など)のビデオを画像解析とともに供覧していただき、標準手術との対比をしてコツと技を含め討論していただきたい。

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9.進行食道癌に対する集学的治療の最新の知見【International】

本邦における進行食道癌の標準治療は、JCOG9907試験の結果を受けてCF療法(CDDP+5FU)による術前化学療法+手術であるが、一方、欧米では術前化学放射線療法+手術が標準となっている。多くの施設で更なる成績の向上を求めて新たなる集学的治療を模索中であり、例えばJCOGでは術前CF療法、術前DCF療法(Docetaxcel+CDDP+5FU)、術前化学放射線療法のランダム化試験が行われている。より強力な術前治療が盛んになる一方で、実臨床では、年齢、全身状態、進行度、占居部位に応じて使い分けることも多い。本パネルディスカッションでは、進行食道癌に対する全般的な方針から個別化の戦略まで幅広く、そして国際的に発信できるエビデンスを期待したい。

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10.がんのバイオマーカーと分子標的治療

次世代シーケンス技術等の急速な進歩と相俟って、固形癌の分子病態の解明と治療への応用が飛躍的に進んできた。その結果、one-fits-all型の治療から、personalized medicineさらにpecision medicineへ大きなパラダイムシフトが起きている。本パネルディスカッションでは、このようなパラダイムシフトが外科治療にどのようなインパクトを与えるのか、分子診断と分子治療が一体となった外科領域の研究についてディスカッションしたい。「癌バイオマーカー」から「分子標的薬」「ペプチド」「ワクチン」「抗体」「免疫チェックポイント」「ウイルス・遺伝子治療」等をキーワードとする研究を期待している。臨床試験あるいは前臨床試験段階の臨床に則した魅力的な発表を期待したい。

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11.進行肝癌(門脈内腫瘍栓、両葉多発)に対する治療戦略の最前線

遠隔転移をともなわない「門脈内腫瘍栓」、「全肝多発」高度進行肝癌に対しては、ソラフェニブの経口投与が標準治療として位置づけられるが、その効果は十分でないと考えられている。本邦では、このような症例に対して、動注化学療法、分子標的治療、放射線治療、肝切除などを包括した集学的治療がその選択肢であるが、その適応、治療の組み合わせ、成績については明らかでない。
本パネルディスカッションでは、肝内に限局した高度進行肝細胞癌に対する各種治療法の位置づけについて明らかにするとともに、現在施行されている集学的治療の成績に加えて、適応と限界について、腫瘍因子、肝機能因子の両面より論じていただきたい。

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12.乳房再建手術―自家組織 vs 人工物:コツと技【Video】

乳癌切除後の乳房再建は、左右対称的な美しい乳房を作成するために自家組織として各種の皮弁・筋皮弁が開発され実践されてきた。しかし、乳房の微妙な色調や形態を完全に再現するには至っておらず、皮弁採取部の問題も残存する。一方、2014年1月にanatomical typeの乳房インプラントが保険適応となり、人工物を用いた乳房再建術が健康保険で行えるようになり、希望する患者数が急増している。しかし、人工物による再建が困難な症例も少なくない。本パネルディスカッションでは、自家組織と人工物による再建のコツと技をビデオで供覧し、推奨される適応と手技の現状と将来展望を討論していただきたい。

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13.外傷外科の修練はどうあるべきか

米国のTrauma Surgeonは、Master of Surgeonとされ、花形的存在であった。しかし、1990年代以降、外傷手術症例の激減に伴い外傷外科医の修練が極めて困難となった。こういった状況を打破するため、外科学の一分野としてAcute Care Surgeryが確立された。わが国では、外傷外科を系統的に修練するシステムが存在しない上、近年の外科領域の専門細分化に伴って、益々外傷外科修練が困難なものとなっている。本パネルディスカッションでは、具体的な論点として、1)外傷手術症例が少ないという課題をいかに克服するか、2)望ましい外傷外科修練カリキュラムとは、3)施設の集約化などのシステム上の課題、等があげられる。効果的な外傷外科の修練はどうあるべきか、討論していただきたい。

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14.術後QOLからみた炎症性腸疾患に対する治療の新しい展開

潰瘍性大腸炎(UC)では強力な内科治療により手術を回避できる症例が増加しており、クローン病(CD)では、内科治療の妨げとなる不可逆な腸管病変を早期に切除する症例も増加しつつある。一方では、UCにおいて手術時期の遅れによる全身状態の悪化は術後合併症リスクを増加させ、CDにおいて繰り返す腸切除は短腸症候群のリスクとなる。すなわち、手術・周術期のリスクと術後の治療・QOLを理解した上での手術適応決定が重要であると考えられる。本パネルディスカッションでは、UC、CDに対する手術のタイミングと術後短期・長期成績への影響について、各施設の成績を供覧し、推奨される適応、内科治療との関係も踏まえた今後の展望を討論していただきたい。

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15.進行胃癌に対する集学的治療の現状と展望

わが国の進行胃癌に対する集学的治療の高レベルなエビデンスは1)Stage II、IIIに対するS-1による術後補助化学療法は投与可能なら行うべき、2)根治切除不能なStage IVに対して癌の減量を目的とした手術の適応はない、3)郭清範囲はD2だが大彎病変ではないU領域のがんに対して脾摘は不要である、の3点しか存在しない。しかし、日常臨床では3つのエビデンスでは治療方針を決定しかねる症例にしばしば遭遇する。本パネルディスカッションでは、術前・術後補助化学療法からConversion therapyに至る集学的治療についての演題を広く公募し、その中から選択したいくつかの課題について多面的な討論を行いたい。

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16.感染性心内膜炎に対する外科治療―ガイドラインを検証する―

感染性心内膜炎(IE)は、多彩な臨床像を呈し、抗生剤治療と外科治療によっても依然高い死亡率を有している。2014年にACC/AHAガイドラインが改訂された。ハートバルブチームでの手術時期決定がClass Iとされ、早期手術の適応として、1)心不全を伴う弁破壊、2)黄色ブドウ球菌、カビまたは耐性菌による感染、3)伝導障害、弁輪膿瘍、大動脈膿瘍、または穿孔性病変を伴う感染、などがClass I、塞栓症の再発と疣贅の残存がClass IIa、10mm以上の可動性疣贅の存在がClass IIbとされた。しかし、実臨床において最適のタイミングで必要充分な外科治療を行うことは容易ではない。今回、多様なIEの臨床経験に基づき、適切な外科介入時期とその手技につき討論していただきたい。

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17.僧帽弁形成術:コツと技【Video】

僧帽弁形成術(MVP)は僧帽弁手術の2/3を占める第一選択の手術法である。アプローチにはMICSと胸骨正中切開があり、形成手技にも弁切除と弁非切除の大きな方針の異なりがある。それぞれの施設でアプローチ、形成手技には独自の方針があり、手術成績向上のために各種の工夫がなされている。本パネルディスカッションでは、各施設で工夫しているMVPのコツと技をビデオで供覧いただき、手術手技を中心に議論を深めたい。変性疾患に対するMVPのみでなく、感染性心内膜炎、僧帽弁狭窄症、僧帽弁輪石灰化(MAC)、拡張型心筋症、再手術例に対するMVPについても検討を行いたい。

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18.縦隔悪性腫瘍に対する拡大手術:コツと技【Video】

画像診断技術の進歩とともに縦隔腫瘍も早期で発見されることが多くなり、診療の機会が増えている。悪性リンパ腫を除く多くの悪性縦隔腫瘍、例えば胸腺上皮性腫瘍、悪性胚細胞性腫瘍、悪性神経原性腫瘍は外科的完全切除が長期生存・治癒のためには必須である。しかしながら、これらの腫瘍は肺・大血管・横隔膜・胸壁・脊椎へ浸潤することがあり、完全切除に難渋することがある。また、胸腺腫では胸膜播種を伴うことが多く、手術適応と術式の選択には未だ議論がある。本パネルディスカッションでは、これらの浸潤臓器の合併切除手技における工夫や注意点について、ビデオ映像を用いて議論し、今後の標準手術手技の確立につながることを期待する。

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ワークショップ

1.生体肝移植・これからの課題【International】

近年、臓器移植におけるHLA関連ドナー特異抗体の意義が、全臓器で注目されている。肝移植では、他の臓器に比べ注目されることが少なかったが、抗体の検出方法や肝生検における染色技術の進歩により、漸く抗体関連拒絶の関与が明らかとなってきた。一方で、治療に関しては、日本で発達した血液型不適合の戦略に期待が寄せられている。2015年の米国移植学会や国際肝移植学会では、学術的には注目を集めているが、いまだ日常診療に取り入れられていない印象であった。生体肝移植は、部分肝移植であり家族であるドナーに対する感作も増強される背景がある。抗体測定法、抗体関連拒絶の病態・診断、脱感作療法、治療法など広く討議していただきたい。

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2.肝胆膵外科治療におけるバイオマーカーの意義と展望

近年の検査・治療法の進歩にもかかわらず、肝胆膵癌は依然として予後不良な疾患である。肝胆膵癌の治療成績を向上させるためには、早期診断により切除率を上昇させ、外科治療および化学療法の治療効果を正確に判定し、再発を早期に診断し適切な治療を行うことが求められる。このいずれの場面においても、肝胆膵癌の存在や病勢を鋭敏かつ正確に反映するバイオマーカーの開発が急務である。本ワークショップでは、肝胆膵外科領域(主に肝胆膵癌)において病勢を鋭敏かつ正確に反映するバイオマーカーの研究開発について発表いただき、臨床応用における今後の課題などについて議論したい。

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3.多発外傷に対する集学的外科治療

多発外傷では、複数部位に重度外傷を負っているため、損傷臓器・器官に応じた専門診療科の関わりが不可欠となる。ただし、救命のための蘇生的手術と、その後の主に機能回復を目指した根本的手術では、外科医の関わり方は異なる。蘇生的手術では、蘇生を目的としたdamage control(DC)戦略を実施するなかで、DS resuscitationの知識を持つ外科医が関与しつつ統制のとれた外科治療が実施されなければならない。一方、根本的手術では、各損傷に対する高度な専門的手術が要求される。本ワークショップでは、多発外傷の生命、機能予後向上にむけた集学的外科治療の実践について広く討論していただきたい。

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4.乳癌個別化治療を目指した新規診断法開発の最前線

乳癌治療の個別化治療は、かつての解剖学的な進行度診断から、現在はバイオロジーによる生物学的診断によりなされている。さらに最近では、乳癌組織における多遺伝子発現検査や次世代シークエンス解析、circulating tumor cells(CTC)やdisseminated tumor cells (DTC)、exosome由来の患者血中RNA、circular tumor DNA同定など、新しい方向性がある。本ワークショップでは、この領域における最新の研究や臨床的評価を取り上げ、乳癌個別化治療のさらなる発展を議論したい。

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5.呼吸器外科領域の再建手術―新たな取り組み―【Video/International】

気道、肺、胸膜・胸壁や縦隔の悪性腫瘍の根治切除において、胸壁、気管・気管支、肺血管、心・大血管の合併切除とその再建術がしばしば必要となる。特に近年増加傾向である原発性肺癌においては、気管支・血管再建術は機能温存のための重要な手技であり、患者の高齢化や導入療法の適用などで、その需要は増加している。また肺移植においても、翻転移植、分割移植、ドナー肺温存法など近年多様な術式が開発されてきている。本ワークショップでは、これら再建手術における新しい試みについて、動画を中心に詳細な手技、勘所、結果などについて発表いただき、従来の手法との相違、改善点などを討論していただきたい。

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6.中心静脈カテーテル管理における安全対策

中心静脈カテーテルは循環管理、栄養、薬剤投与などさまざまな目的で留置され、臨床上極めて重要なものである。一方で、カテーテル留置、管理に際しての深刻な合併症は現在も散見される。
医療安全への機運が高まり、中心静脈カテーテルの留置・管理についてまだまだ議論すべき事項は多い。カテーテルの選択、留置経路、穿刺方法、カテーテル先端位置、固定法、輸液ラインのあり方、輸液製剤の選択など多くの問題がある。これらに対して教育、修練、管理を含めたシステム構築も試みられている。 本ワークショップでは、中心静脈カテーテルに関する有害事象をゼロに近づけるための工夫や有効策について討論していただきたい。

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7.次世代の外科治療における早期探索的医療研究の役割

近年、疾患の発症や進行過程における病態が明らかになり、多くの疾患で集学的な治療戦略が求められるようになってきた。外科領域においても、革新的な医薬品、デバイス、技術などを活用することで、診断精度や治療成績を向上させることが期待されている。全国的にもアカデミアを中心に臨床研究支援体制が整備され、国際的な新たなシーズ開発が加速化している。本ワークショップでは、開発途上にある創薬シーズや適応拡大のための臨床研究、医師主導治験や橋渡し研究・トランスレーショナルリサーチなど、次世代の外科領域に有用な研究を幅広く紹介いただき、今後の飛躍的な発展を目指した議論をしていただきたい。

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8.SSIサーベイランスの現状と課題

単なるSSIデータの発表ではなく、上級者セッションとして下記のポイントに留意した研究を公募する。
1. 正しくSSI率の評価を行う上でリスク層別化が必要である。長時間手術(各手術の>75th percentile、JHAISなどを参考)、創クラス≧3、ASAスコア≧IIIの各カテゴリーを1ポイントとし(腹腔鏡手術はー1ポイント)、その総和のリスクインデックス別評価に基づいた研究。
2. 退院後サーベイランス:入院期間が短縮している現状で、精度の高いサーベイランスを行うために30日(implant手術では1年間)のfollow-up体制についての提案。
3. 胆管、膵臓手術における手術の細分化の提案とその根拠。
4. SSIサーベイランスに基づいた質の高い臨床研究結果。

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9.呼吸器外科手術後の合併症とその対策

日本胸部外科学会雑誌(GTCS)に集計されている2012年の呼吸器外科手術総数は70,000例を超え、その49%が原発性肺癌である。本ワークショップでは、呼吸器外科の代表的疾患である肺癌を主な対象として術後合併症およびその対策について発表していただきたい。我が国の肺癌術後合併症による院内死亡率は0.7%で極めて良好であるが、死亡原因としては間質性肺炎の急性増悪、肺炎、呼吸不全など呼吸系合併症死が最も多く、ついで心血管系(脳出血、脳梗塞を含む)が続く。また、術前の化学放射線療法が原因と思われる気管支縫合不全も多い。これら頻度の高い致命的な合併症についてその現状と対策について討論していただきたい。

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10.重症大動脈弁狭窄症治療は外科治療として生き残れるか?【Video】

重症大動脈弁狭窄症(AS)患者の増加は著しく、大動脈弁置換術(AVR)の手術件数は増加の一途である。一方、カテーテル大動脈弁移植術(TAVI)が保険償還されるようになり、超高齢者、ハイリスク症例を中心に、この症例数も増加の一途である。それでは今後ASに対する治療はどのような体系になっていくのであろうか。現在の標準的治療であるAVRの早期・遠隔期成績、ならびに現在までのTAVIの治療成績を今一度見直し、TAVIはAVRに対して相互補完的な役割を果たしていくのか、それよりもむしろ競合的にAVRに取って代わっていくのか、今後のASに対する治療のあり方を討論したい。また治療に対する方針決定の上でHeart Teamが有効に役割を果たしているのかどうか、そのあり方についても検討したい。

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11.肝胆膵癌領域における次世代外科治療の展望

肝癌・胆道癌・膵癌は、生物学的悪性度が高く治療に難渋するものが多く、また外科治療は侵襲度が高いため安全性と根治性の両立が難しい。このような点から治療成績向上が難しい領域であったが、近年、画像診断や周術期管理の進歩、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新規薬物治療、IMRTや重粒子線などの新しい放射線治療法、インターベンション治療や鏡視下手術に代表される低侵襲手術、そしてこれらを組み合わせた集学的治療など、新しい外科治療戦略が開発されつつあり、治療成績向上に一筋の光明が見えてきているようにも思われる。本ワークショップでは、様々な創意工夫や斬新なアイデアに基づく、新しい時代の外科治療を広く募集し、聴衆とともに議論し新しい方向性を見出したい。

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12.転移性甲状腺癌治療の現状と展望

従来、転移性甲状腺癌に対する治療として、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺刺激ホルモン抑制療法、放射線外照射などが行われているが、化学療法で有用なものはなかった。近年いくつかの分子標的薬が根治切除不能の甲状腺癌に適応となり、転移性甲状腺癌の治療の選択が広がった。一方で放射性ヨウ素内用療法不応例の基準や薬物療法開始のタイミング、新たな分子標的薬の有害事象への対策などの問題も出現している。これらの現状の問題点をより明確化し、改善策を視野にいれた展望を討論していただきたい。

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13.局所進行膵癌に対する集学的治療

近年、局所進行膵癌に対する治療戦略として、外科的治療としての血管合併切除を伴う膵切除術以外に、術前化学療法や放射線治療を併施する集学的治療が積極的に行われ、ある一定の成果が得られるようになってきた。さらに最近では、免疫療法や温熱療法など次世代の治療法にも関心が集まり、とくにリンパ球の免疫チェックポイントを阻害する新規治療薬が開発され、消化器癌領域でも化学療法との併用(一部の抗癌剤が自然免疫応答活性を引き起こすことから)で臨床試験が進んでいる。そこで、本ワークショップでは、治療法の工夫や組み合わせなど、局所進行膵癌に対する集学的治療法の有用性について、基礎的な視点を含めて発表していただきたい。

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14.乳癌術前薬物療法後の乳房温存手術の現状と問題点

局所進行乳癌のdown-staging目的で始まった術前薬物療法は、今や乳房温存手術の適応拡大に汎用されている。近年、乳癌のサブタイプ分類が臨床の場で浸透し、原発乳癌のサブタイプに合わせた薬物療法の選択が行われている。しかし、必ずしも目標とした腫瘍縮小効果が得られているわけではない。本ワークショップでは、バイオマーカーを用いた薬物療法の選択、治療効果を正確に判定する画像診断、術前療法施行後の適切な切除範囲、センチネルリンパ節生検の適応等に関し、各施設で行われている術前薬物療法後の乳房温存手術の現状を報告していただき、解決が得られていない問題点を抽出し、今後の研究の方向性を討議したい。

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15.再発直腸癌に対する外科的治療最前線:コツと技【Video】

直腸癌局所再発に対して、根治的切除が最も有効な治療法であることは明らかである。しかし、骨盤内多臓器切除となることが多く、そういった手術は技術的な難度が高く侵襲も大きく術後QOL低下が著しい。さらに根治を目指しても非根治切除に終わることが多い。このような理由から、積極的に取り組む外科医は少なく、手術適応や手技に関する議論も進んでいない。本ワークショップでは、局所再発手術で、手術適応とともに、根治性の確保、骨盤内の血管処理、出血の予防策と止血法、機能・臓器温存、術後合併症の予防策など、本手術の重要なポイントとなる手技を示してもらいたい。その上で、局所再発の外科的治療を今後どのように発展させていくべきかを討論したい。

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16.大腸癌治療におけるERAS導入とその実践

1990年代から、“fast-track surgery”、“enhanced recovery program”など種々の名称で報告されてきた周術期のリハビリテーションプログラムが、現在の“enhanced recovery after surgery: ERAS”という名称にほぼ統一されてきたのは、2005年の欧州静脈経腸栄養学会(ESPEN)のERASグループからの大腸手術周術期における報告に端を発する。それ以降、ERASは、大腸手術のみならず、ほぼ全領域の手術に応用され、患者の回復促進・QOL向上・診療の効率化・チーム医療などいろいろな観点での有用性が多くの施設で検討され、また医療経済上の観点からの詳細な報告も多い。本ワークショップでは、ERASの原点でもある大腸癌治療におけるERASについての最新の知見を発表いただき、活発な討論を期待したい。

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17.食道胃接合部癌の治療戦略

食道胃接合部癌(食道胃接合部の上下2cmに中心を持つ癌)の外科治療において、腫瘍の中心の位置、食道浸潤長、組織型に応じて、縦隔リンパ節と腹腔内リンパ節の郭清範囲、さらに胃切除術式と再建術式が適切に選択される必要がある。また開胸や経裂孔的アプローチ、胸腔鏡や腹腔鏡、縦隔鏡を用いる低侵襲的アプローチなどが選択可能である。一方、治癒切除可能症例に対して術前や術後の補助化学療法が扁平上皮癌は食道癌に、腺癌は胃癌に準じて行われている。切除不能または再発症例に対しても同様に化学療法が行われ、局所制御能を向上させる化学放射線療法の有用性も期待されている。食道胃接合部癌の治療に関して斬新な考え方や新しい方向性などを示していただきたい。

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18.肥満患者に対する外科各領域の問題点とその対策

肥満患者では、糖尿病、高血圧などの関連合併症を有している率が高い。手術や周術期管理において、困難さを感じることは外科医であれば経験しているものと考えられる。しかしながら、各領域でどのような点が問題となっており、またどのような対策が必要で、実際考慮されているかは、十分明らかになっているとは言い難い。そこで、本ワークショップでは、各領域(乳腺、心血管、呼吸器、消化器(消化管、肝胆膵))から、それぞれの問題点、対策を論じていただきたい。それらを共有することで、各領域へのfeed backになるようなセッションを考えている。また、ワークショップであるので、現在進行形の取り組みも歓迎する。

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19.Long distal bypassの功罪 ―バイパス vs カテーテル治療―

下肢動脈の長い閉塞病変や多発性病変を有する重症虚血肢(CLI)に対する治療の目的である痛みの除去と大切断の回避のためには、下腿への血行再建が必要である。Long distal bypassには、良好な自家静脈、耐術可能な全身状態、出来れば2年以上の生命予後等の要素を満たすことが望まれる。一方、カテーテル治療は低侵襲であるが長い閉塞病変への治療は不確実かつ長期成績に劣る。第3の治療戦略としてハイブリッド治療があるが、いずれの治療法にも長短がある事を念頭に患者に応じて使い分ける事が肝要である。本ワークショップでは、CLIに対する至適治療法の選択基準や新しい治療法を発表していただきたい。

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20.担癌患者に対する開心手術のストラテジー

今日の高齢者社会においては、担癌患者への心臓血管外科治療の機会も増加しており、今後の超高齢化時代において直面すべき大きな問題となることが予想される。とりわけ、開心術を要する担癌患者治療については、癌の病期と開心術の侵襲性の関係、体外循環の腫瘍免疫へおよぼす影響等の問題がある。本ワークショップにおいては、現時点における各施設からの対象患者に対する治療方針およびその治療結果について報告していただき、それに基づいて、外科関連の総合学会である本学会の特質を踏まえて、総合的、集学的治療の指針が模索できれば、大きな成果が得られるのではと考える。

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21.呼吸器外科における低侵襲医療の新たな展開

呼吸器外科における低侵襲医療の代表は今や手術症例の半数以上を占めるようになった胸腔鏡手術であり、最近ではロボット支援手術の症例数も増加しつつある。しかし、真の低侵襲医療は合併症の軽減、早期回復、良好なQOL、疾患の根治性に寄与してはじめて受け入れられる。本ワークショップでは、呼吸器外科における低侵襲医療の新たな展開として、胸腔鏡手術、ロボット支援手術をはじめ、ポート手術、単孔式手術など低侵襲化の工夫、それ以外にも各施設で取り組んでいる低侵襲化の試みや進行性の研究、斬新なアイデアについて幅広くとりあげ、討論や助言をすることにより、呼吸器外科手術における更なる低侵襲化の方向性を探りたい。

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22.小児外科領域における手術の革新:コツと技【Video含む】

小児外科領域の手術において、今後革新をもたらすような新しい手技、器具、技術、治療戦略、画像診断などを導入した演題を広く公募する。発表では、革新的技術のコツや技などのビデオ供覧も募集する。そして新しい考え方・ものの導入により、小児外科手術において何が大きく変わり、患児の予後がどのように改善されたのか、またはされうるのかを、その成績などを提示していただき、それに対し参加される会員の多くの意見を求める。本ワークショップでは、小児外科領域の新たな可能性を創造していくための視点をともに考える機会としたい。

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23.小児外科領域における幹細胞研究

自己複製能と多分化能をあわせもつ幹細胞として、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、体性幹細胞、癌幹細胞が確認されている。これら幹細胞を用いた研究は、病気の原因解明、新薬の開発、分化誘導による細胞移植治療、組織・臓器再生などの再生医療に応用されているが、小児外科医療に関わる領域においても、最近、種々の幹細胞を用いた研究の報告が散見されてきている。本ワークショップでは、小児外科疾患の病態解明、診断、治療等の幹細胞を用いた進行中の研究について提示していただき、今後の研究の方向性について討議していただきたい。

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24.鼡径ヘルニア手術―温故知新―

鼠径部ヘルニア治療においては、鼠径部切開法による組織縫合法が治療の中心であったが、1991年前後には鼠径部切開法によるメッシュ法と腹腔鏡法が同時期に導入され、本邦でのその治療法は大きな転機を迎えた。小児ではLPEC法も導入され、現在では成人症例にも適応拡大が検討されている。様々なメッシュが開発され、その固定機器も変化している。各施設の鼠径部ヘルニア手術手技の変遷を提示していただき、過去の手術成績の検証に基づいた現時点での最新の手術手技とその教育法を述べていただきたい。鼠径部切開法を含めた鼠径部ヘルニア治療法全体における将来の展望も含め、十分な討論時間を設けて、活発な議論を演者間で展開したい。

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