このたび、第115回日本外科学会定期学術集会会頭を拝命致し、2015年4月16日(木曜日)~18日(土曜日)の3日間、名古屋国際会議場にて学術集会を開催させていただくこととなりました。名古屋大学腫瘍外科学教室(旧第一外科)といたしましては、私の恩師である二村雄次先生が2005年の第105回学術集会を担当されて以来となります。2010年には名古屋大学消化器外科学教室(旧第二外科)の中尾昭公先生が第110回学術集会を担当されていますので、名古屋で5年おきに三回続けて本定期学術集会が開催されることになります。日本で最も伝統ある本学会を、日本外科学会の先生方のご支援を賜り開催させていただくことは大変光栄なことであり、改めて深く感謝申し上げます。
今回のメインテーマは、「メスの限界を求めて」と致しました。外科学の進歩、特に今世紀になってからの進歩には目を見張るものがあります。鏡視下手術の適応拡大、ロボット手術の導入、新しい化学療法を取り入れた腫瘍外科手術(conversionあるいはadjuvant surgery)、遺伝子治療など10 ~ 20年前には考えられないような治療法が拡く臨床応用されるようになってきています。しかし、先進的な治療を優先するあまり、ややもすると従来の外科手術があたかも“時代遅れ”と評価される風潮も感じられます。我々、外科医は“本当にもうこれ以上はできない”、という外科手術の限界を追求しえたかどうかは、自分自身の経験に照らしてみても疑問と言わざるをえません。本学術集会では外科学の本道である手術に焦点を当て、“メスの限界”をそれぞれの分野で見極めるような研究の成果を発表し、議論していただければと考えております。
これまで上級演題にはシンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップと3形式がありました。しかし、本学会からは1)ワークショップを廃止し、シンポジウム(総合討論なし)とパネルディスカッション(総合討論あり)の2形式で行うこと、2)特別講演、招請講演、教育講演などと呼ばれていたものは全て特別講演として扱うことが、学術委員会で決定されました。したがって、これに則って学術集会を運営いたします。上級演題は広く中堅と若手外科医からの応募を期待して原則公募で行い、厳正な採点に基づいて採否の決定を行う予定です。また、プレナリーセッション、要望演題、一般演題を多く設け、できるだけ多くの会員にご参加いただきたいと考えておりますが、会場設定を工夫し、これらは全て口演で発表いただく予定です。さらに、研修医セッションも従来通り設け、若手研修医の先生方に発表の場を提供いたしますが、これはポスターで行うことになると思います。一方、特別企画として専門医制度、NCD、混合診療導入の是非、外科医の労働環境、国際化時代における学会邦文誌の在り方など重要な問題を取り上げ、多くの会員の皆様にメッセージとして届ける工夫をいたします。
日本外科学会は例年4月の開催ですので、桜の満開の時期と重なることが多く、そのイメージが強いのですが、4月中旬開催予定の本学術集会期間中は、残念ながら既に満開は終了していることと思います。名古屋城の素晴らしい桜は楽しめませんが、参加していただいた日本外科学会会員の皆様にとって本学術集会が記憶に残る有意義な集会となるよう、心からのホスピタリティーを準備してお待ちしております。